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カジカ (魚)

日本固有種のカサゴの仲間。地方あるいは亜種により絶滅危惧種。

カジカ(鰍、杜父魚、鮖、Cottus pollux)は、カサゴ目カジカ科に属する魚[1]。地方によっては、他のハゼ科の魚とともにゴリドンコと呼ばれることもある。 体色は淡褐色から暗褐色まで、地域変異に富んでいる。日本固有種で、北海道南部以南の日本各地に分布する。ただし、北海道に生息するのは小卵型のみである。

カジカ
ウツセミカジカ
ウツセミカジカ
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: カサゴ目 Scorpaeniformes
: カジカ科 Cottidae
: カジカ属 Cottus
: カジカ C.pollux
学名
Cottus pollux
Günther, 1873
和名
カジカ
英名
Japanese fluvial sculpin
Bullhead
25cmほどに成長するカジカ科のカマキリ(標準和名:アユカケ

分類については定説がまだなく、大卵型(河川陸封型)、中卵型(両側回遊型)、小卵型(両側回遊型)をそれぞれ別種に、湖沼陸封型は小卵型と亜種に分ける説なども出ている。

目次

生態編集

生活型によって、一生を淡水で過ごす河川型を大卵型、孵化後に川を下り稚魚の時期を海で過ごして成魚になると再び遡上する小卵型、琵琶湖固有のものをウツセミカジカ (Cottus reinii) と分けることが多かったが、近年の研究により小卵型にウツセミカジカを含め、大卵型と小卵型に分けるようになった。また、これらは別種レベルの違いがあると考えられている。大卵型は、山地の渓流などの上流域を中心に、小卵型は中流域から下流域にかけて生息する。石礫中心の川底を好み、水生昆虫や小魚、底生生物などを食べる。

  • 河川型(湖沼陸封型)
淡水を生活圏とし、水棲昆虫を餌とする。きれいな水を好みイワナヤマメアマゴ等の魚と生息域が重なる。カジカ及びカンキョウカジカの性的成熟は1年魚以上で、オスは体長7cm、メスは体長6cmを越えると産卵を行う。卵には付着性があり卵塊となって石に付き、オスが孵化まで保護をする。産卵床の形成場所は、比較的流れの緩い「平瀬」や「とろ場」が多く、浮き石や沈み石は用いない。また、泥砂質の河床も利用しない。開口部が1箇所の洞窟状になった動きにくい石の河床との隙間が多く利用される。水通しの悪い卵塊では、ミズカビに犯され孵化しない。
山地渓流の個体はダムや砂防堰堤などの構造物の設置によって移動が妨げられ、個体群の分断化がより進行している。また、平地域の個体は、埋め立て、コンクリート護岸化、道路建設などによって生息適地が縮小し、湧水量の減少にともない生息数が減少している。
  • 両側回遊型[2]
比較的流れの緩やかな砂礫質の川底を好む。広い分布域を持つが、ダムの建設により降海と遡上が阻害され全国的に減少している。
  • 降河回遊型
河川(淡水)で繁殖を行い、稚魚期を海水中で過ごし河川に遡上する。稚魚期は河口付近の表層を遊泳し、有る程度成長すると着底生活を送る。また、孵化後80日前後の30mm程度に成長すると遡上を開始すると考えられる[3]

保護編集

条例によっては、捕獲可能な漁期と捕獲制限体長が設定されている。また、保護のため稚魚を育成した放流が行われているが、放流による定着に失敗した例も報告されている。長野県での放流試験で9ヶ月後の生存率は、約30%であった[4][5]

カジカ属の種編集

  • 河川型(湖沼陸封型)
カジカ
学名:Cottus pollux Günther,1873
宮崎県、大分県、東海近畿、本州の日本海側、四国太平洋側に生息、受精卵直径 1.4–1.7mm、産卵期は1月–4月頃、水深15cm–70cmの直径10cm–30cm程度の石に生み付ける。
  • 両側回遊型[2]
ウツセミカジカ
学名:Cottus reinii Hilgendorf,1879
北海道南部の日本海側、本州、四国、九州西部、琵琶湖
エゾハナカジカ
学名:Cottus amblystomopsis Schmidt,1904 (Sakhalin sculpin)
北海道の津軽海峡側から標津地方までの太平洋とオホーツク海側の河川、サハリンアムール川水系に分布。
ハナカジカ
 
ハナカジカ
学名:Cottus nozawae[6]
北海道、青森県、秋田県、山形県、岩手県、新潟県。渓流釣りにおいてニジマスヤマメの外道でよく釣れる。エゾハナカジカとは棲み分けをし、より上流に生息。夏季の最高水温が20℃以下の流域にのみ生息し河川内で一生を送る生活史を持つ。3–4月初めに繁殖し、孵化までオスによって保護される。現在生息しているいずれの河川でも生息数は少なく、河川間の交流がないことから河川毎の集団は遺伝的に近いが、この種全体としては分化が進んでいる。山形県や岩手県では、各々の県でレッドデータブック[7][8]で希少種に指定し保護された河川がある一方で、指定外の地域では保護されていない。食用にもなり、フライや天ぷらにして食べられる。
カンキョウカジカ
学名:Cottus hangiongensis Mori,1930
北海道南部から本州、四国、九州、国外では朝鮮半島東部と沿海州に分布し河川の下流から上流に生息する。
ヨーロッパブルヘッド
 
ヨーロッパブルヘッド Cottus gobio(英語)
学名:Cottus gobio リンネ,1758 (European bullhead)
  • 降河回遊型
カマキリ[3][9]
学名:Cottus kazika Jordan and Starks,1904 (Fourspine sculpin)
(一般名:アユカケ)太平洋側は神奈川県相模川以南、日本海側は青森県深浦町(旧岩崎村)津梅川以南。

ヤマノカミ属の種編集

ヤマノカミ[3]
学名:Trachidermus fasciatus (Roughskin sculpin)
有明海と流入河川に生息、受精卵直径 1.9–2.2mm、産卵期は1月–3月頃。

利用編集

 
ゴリ(カジカ類)の唐揚げ

見た目は悪いが、とても美味な魚とされる[10]。汁物、鍋料理では、大変美味な出汁が良くでる為「なべこわし」とも称される。

日本各地で食用にされ[11]、汁物、味噌汁・鍋料理や佃煮、甘露煮などにして食される[12]。代表的なものに石川県金沢市郷土料理ゴリ料理」。

名称編集

日本語で「鰍」は「カジカ」を意味するが、中国語で「鰍」の表記はドジョウを意味し、「カジカ」は「杜父魚」と書かれる[注釈 1]

なお、カジカは石伏(いしぶし)、石斑魚(いしぶし)、霰魚(あられうお)、川鰍(かわかじか)、ぐず、川虎魚(かわおこぜ)などの別名を持つ[13]

保全状態評価編集

絶滅危惧IB類 (EN)環境省レッドリスト

河川改修などにより生息環境が圧迫を受け、各地で個体数が減少している。2007年版の環境省レッドリストには中卵型 Cottus sp. と小卵型 Cottus reinii が記載された。

脚注編集

注釈編集

  1. ^ カジカ(鰍、杜父魚、Cottus pollux)の中国名は、「鈍頭杜父魚(中国語)を参照。

出典編集

  1. ^ 環境省 1995.
  2. ^ a b 東京水産大学 2002, pp. 25-32.
  3. ^ a b c 水産大学校研究報告 2004, pp. 83-92.
  4. ^ 長野県水産試験場 2000a, pp. 1-3.
  5. ^ 長野県水産試験場 2000b, pp. 11-13.
  6. ^ Snyder 1911, pp. 525-549.
  7. ^ 環境省 2000.
  8. ^ 日本のレッドデータ検索システム 2017.
  9. ^ お魚瓦版 2007, pp. 3-4.
  10. ^ 玉置標本「野を歩けばトリュフ ウツボの味に悶えカジカの「骨酒」で温まる「捕まえて、食べる」! 晩秋編」『週刊新潮』第62巻第46号、新潮社、2017年11月、 48-51頁、 ISSN 0488-7484
  11. ^ 「養殖ウオッチング イワナ カジカ 自家養殖魚で特産料理を提供--顧客も納得・信頼の魚づくりを実践 いわな茶屋」『養殖』第39巻第12号、緑書房、2002年11月、 13-16頁、 ISSN 0044-0671
  12. ^ 島田玲子、加藤和子、河村美穂、名倉秀子、木村靖子、徳山裕美、松田康子、駒場千佳子 et al.「埼玉県の家庭料理 主菜の特徴: 川魚の利用」『日本調理科学会大会研究発表要旨集』第30巻、日本調理科学会、2018年、 215頁、 doi:10.11402/ajscs.30.0_215
  13. ^ 佐藤一郎 1979, p. 57.

参考文献編集

関連項目編集

関連文献編集

  • Yagami, T. (2000). “Patchy distribution of a fluvial sculpin, Cottus nozawae, in the Gakko River system at the southern margin of its native range”. Ichthyol. Res. 47: 277-286. 
  • 後藤晃「回遊形態の分化様式:カジカ類」『水生生物の卵サイズ-生活史変異、種分化の生物学-』後藤晃・井口恵一朗(編)、海游舎、東京、2001年、171-19頁。
  • Goto, A.; R. Yokoyama; Yamazaki,Y.; Sakai, H. (2001). “Geographic distribution pattern of the fluvial sculpin, Cottus nozawae (Pisces: Cottidae), supporting its position as endemic to the Japanese Archipelago”. Biogeography 3: 69-76. 
  • Yagami, T.; Yokoyama, R.; Goto, A. (2002). “Genetic fragmentaion of populations of the fluvial sculpin Cottus nozawae (Pisces: Cottidae) at the southern margin of its native range”. Can. J. Zool. 80-: 873-881. 
  • Yokoyama, R.; Goto, A. (2002). “Phylogeography of a fluvial sculpin, Cottus nozawae, from the northeastern part of Honshu Island, Jpn”. Ichthyol. Res. 49: 147-155. 

外部リンク編集