カモシカ

偶蹄目ウシ科の属、それに属する種の総称
カモシカ属から転送)

カモシカ羚羊は、哺乳綱偶蹄目ウシ科ヤギ亜科に分類されるカモシカ属Capricornis)に属す種の総称[5]シーロー亜属のスマトラカモシカ(シーロー)、カモシカ亜属のニホンカモシカタイワンカモシカの3種が属す[要出典]。これらはアジアの山岳部を生息域とする。

カモシカ
ニホンカモシカ
ニホンカモシカ Capricornis crispus
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: 偶蹄目 Artiodactyla
: ウシ科 Bovidae
亜科 : ヤギ亜科 Caprinae
: カモシカ属 Capricornis
学名
Capricornis Ogilby, 1837[1][2]
模式種
Antilope thar Hodgson, 1831[1]
和名
カモシカ属[3]
英名
Serow[2][4]
野生のニホンカモシカ

シカの名が入っているが、シカの属するシカ科ではなく、ウシヤギと同じウシ科に属する[6]。したがって、シカとは違い、ウシ科のほかの種同様、角は枝分かれせず、生えかわりもない。

羚羊をカモシカではなくレイヨウと読めば、アンテロープ、つまり、ウシ科の大部分を含む(しかしカモシカは含まない)不明確なグループのことになる。細く伸びた足を指す「カモシカのような足」という表現に現れるカモシカとは、本来はレイヨウのことで[4]、羚羊をカモシカと呼ぶように変化したことで混同されたが、実際のカモシカの足は太い[7]

また、日本ではしばしば、カモシカと言えば、国内に棲息する唯一のカモシカ類であるニホンカモシカを指す[8]山形県栃木県山梨県長野県富山県三重県の県の獣にも指定されている。

分類 編集

ゴーラル属に近縁と考えられている[1]

以下の分類は、Mori et al.(2019)に従う[9]。和名は川田ら(2018)に[3]、英名はGrubb(2005)に従う[1]

語源 編集

本来はニホンカモシカを指した。その語源はカモ + シカ(鹿)であるが、カモの語源には諸説ある。

  • ニホンカモシカが険しい山岳(かま)に住むことから。
  • 毛氈(もうせん、けむしろ、かも)にニホンカモシカの毛を織ったことから[8]
  • ニホンカモシカは、古くは狩猟対象であり食用とされていた、その味が鴨のように美味だから「カモシカ」という説もある。
  • 谷間などを走っている様を上から見下ろすと、カモシカの背中の毛色が揺れ動き鳥などが飛んでいるようにも見えたから、という説もある。

関連項目 編集

脚注 編集

  1. ^ a b c d Peter Grubb, “Order Artiodactyla,” In Don E. Wilson & DeeAnn M. Reeder (eds.), Mammal Species of the World (3rd ed.), Volume 1, Johns Hopkins University Press, 2005, Pages 637-722.
  2. ^ a b Colin Groves and Peter Grubb, “Capricornis Ogilby, 1837,” Ungulate Taxonomy, Johns Hopkins University Press, 2011, Pages 255-261.
  3. ^ a b 川田伸一郎・岩佐真宏・福井大・新宅勇太・天野雅男・下稲葉さやか・樽創・姉崎智子・横畑泰志「世界哺乳類標準和名目録」『哺乳類科学』第58巻 別冊、日本哺乳類学会、2018年、1-53頁。
  4. ^ a b 関 1980, p. 24.
  5. ^ コトバンク カモシカ
  6. ^ 関 1980, pp. 22–23.
  7. ^ フジテレビトリビア普及委員会『トリビアの泉〜へぇの本〜 5』講談社、2004年。 
  8. ^ a b 関 1980, p. 22.
  9. ^ Emiliano Mori, Luca Nerva, Sandro Lovari, “Reclassification of the serows and gorals: the end of a neverending story?,” Mammal Review, Volume 49, Issue 3, 2019, Pages 256-262.

参考文献 編集

  • 千葉彬司 『カモシカ物語 中公新書』中央公論社(現:中央公論新社)、1981年4月
  • 落合啓二 『カモシカの生活誌』 どうぶつ社、1992年12月
  • 小野勇一『ニホンカモシカのたどった道 中公新書』中央公論新社、2000年6月
  • 関, 勝「カモシカ」(PDF)『森林立地』第22巻第1号、森林立地学会、1980年、22-27頁、doi:10.18922/jjfe.22.1_22ISSN 0388-8673 

外部リンク 編集

  •   ウィキスピーシーズには、カモシカに関する情報があります。
  •   ウィキメディア・コモンズには、カモシカに関するカテゴリがあります。