カントルカ (Kantorka) は、ソルブ人の民俗行事における役職のひとつ。女声合唱団のリーダー[1]。合唱団長[2]。「前唱者」と訳される例もある[3]

復活祭の夜、村の女性たちはカントルカの家に集合、合唱団となって深夜にカントルカの家を出発、賛美歌を合唱しながら村内の家々をまわる。その後は合唱団用のベンチにすわりながら、日の出まで、神を讃える賛美歌を歌いつづける[2]。合唱は、まずカントルカが賛美歌の一節をソロで歌い、つづけて合唱団がその一節をコーラスで歌うことを繰り返す[1][4]

クラバート 編集

オトフリート・プロイスラーの児童小説『クラバート』 (Krabat) は、ソルブ人の村々が舞台である。主人公クラバートの命を救うヒロインは、物語のつづく「3年」の間、シュヴァルツコム村のカントルカ役についていた少女で、作中では最後までその名が明かされることはない。中村浩三の日本語訳では「ソロを歌う娘」、鷲巣由美子の部分訳[5]では「カントルカ」、トランスフォーマー社から発売された映画『クラバート 闇の魔法学校』日本版DVD[1]の字幕では「カントーカ」と片仮名表記されている。

注釈 編集

  1. ^ a b 『ソルブ通信』,安藤邦光「ザプスト」
  2. ^ a b 『ソルブ通信』「ソルブの復活祭 (Ostern)」
  3. ^ クラバート 闇の魔法学校』字幕。主人公が、名乗ろうとするヒロインをさえぎって「カントーカ(前唱者)!」と呼びかけ、ヒロインが「それって、わたしのこと?」と応じる場面がある。
  4. ^ オトフリート・プロイスラー『クラバート』(偕成社、1980年)、p.71。
  5. ^ 『ドイツ語を読む 三訂正版』(三修社; 2014年2月3日)所収 (pp.164-185)

外部リンク 編集