ガドリン石(Gadolinite)は、セリウムランタンネオジムイットリウムベリリウムケイ酸塩で構成されるケイ酸塩鉱物であり、組成は(Ce,La,Nd,Y)2FeBe2Si2O10である。組成によって、セリウムが多ければ-(Ce)[1]、イットリウムが多ければ-(Y)[2]、ネオジムが多ければ-(Nd)[3]を付けて呼ばれ、2023年現在ではこの3種が承認されている(日本語では、「ガドリン石」の頭に卓越する元素名を付ける)。35.48%のイットリウム族希土類元素、2.7%のセリウム族希土類元素、最大11.6%の酸化ベリリウム、痕跡量のトリウムを含む。スウェーデンノルウェーアメリカ合衆国テキサス州コロラド州)で見られる。

ガドリン石
ガドリン石
分類 ネソケイ酸塩鉱物
シュツルンツ分類 09.AJ.20
化学式 (Ce,La,Nd,Y)2FeBe2Si2O10
プロジェクト:鉱物Portal:地球科学
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現在、ケイ酸塩リン酸塩ヒ酸塩を含む近縁の鉱物がガドリン石スーパーグループ[4]としてまとめられており、ダトー石英語版セリウムヒンガン石など非承認のものを含めて16種が含まれる。

特徴 編集

ガドリン石は極めて珍しい鉱物で、通常整った結晶として産出する。ほぼ黒色で、ガラス質の光沢を持つ。ただし、含まれる放射性元素の影響によりメタミクト化することもある。モース硬度は6.5-7、比重は4.0-4.7の間である。断口は貝殻状、条痕は灰緑色である。比較的低温で発光する。

発見と命名 編集

1792年にこの鉱物からイットリウムの酸化物(イットリア)を初めて単離したフィンランドの鉱物学者ヨハン・ガドリンに因んで1800年に命名された。希土類元素ガドリニウムも同じ人物の名前が由来であるが、ガドリン石は痕跡量程度しかガドリニウムを含まない。ガドリンがこの鉱物を分析した時、彼は2つ目の元素を発見する機会を逃した。彼がアルミニウムだと考えていたものは実際には、公式には1798年まで発見されないベリリウムであった。

利用 編集

ガドリン石とユークセン石英語版はかなり豊富に存在し、将来のイットリウム族希土類元素源になり得ると考えられている。現在ではこれらの元素はモナズ石から精製されている。

脚注 編集

  1. ^ Gadolinite-(Ce), mindat.org
  2. ^ Gadolinite-(Y), mindat.org
  3. ^ Gadolinite-(Nd), mindat.org
  4. ^ Gadolinite Supergroup, mindat.org

出典 編集