キキーモラロシア語: кики́мораキキーマララテン文字表記の例: Kikimora)は、スラヴに伝わる、働き者の味方とされる謎の多い幻獣

キキーモラ(イヴァン・ビリビン画)

名前の由来 編集

キキーモラの名は、語源的には「キキー」と「モーラ」に分けることができる。前者の意味は不明で、さまざまな説が唱えられており、「キーキー」という擬音語からという考え方が有力である[1]。後者の「モーラ」はスラヴ人の民間伝承に登場する吸血夢魔モーラである。

外見 編集

外見については複数の説がある。ある立場では、顔は白鳥のようなくちばしがあり、胴体は、足が。尾はボルゾイである。本項目の画像はこの説に基づいている。

別の伝承では小柄で痩せた、背の曲がった老婆姿の妖怪とイメージされている。

不幸な子供の死霊がキキーモラになるという伝説もあり、実際にロシアで一般的に信じられているキキーモラ像は、決して年をとらない少女である。

行動 編集

目立つのを嫌うせいか、家の木陰にひそんでいる。働き者には願いをかなえ、怠け者は餌として喰らって行く。性格は大抵おっとりで、害されても抵抗はしない。他方で夜中に大暴れをし、騒音をまき散らす妖精とする解釈もある。また、キキーモラが特に強く関心を持っているのは機織りといわれ、夜中に大きな音を立てて機を織るという伝えもある。

キキーモラを老婆とする場合は家と密接な関連があるようで、家の中では騒いで安眠を妨げたり、火事、病などの災いをもたらす。また余所から来た大工がキキーモラを新築の家の中に入れて細工・呪術をしているという迷信もある。

キキーモラが登場する作品 編集

小説 編集

  • 香山滋『キキモラ――してやられた妖精』(1952年) - 短編小説。人間の少女の姿をした、他人の幸福をねたみ不幸にしようとする妖精として登場する。

漫画 編集

  • 『モンスター・コレクション』2000年
  • 『靴ずれ戦線』2012年

短編 編集

ゲーム 編集

楽曲 編集

脚注 編集

  1. ^ 栗原成郎『吸血鬼伝説』、河出書房新社、1995年、129ページ。

参考文献 編集

  • 栗原成郎『吸血鬼伝説』(河出書房新社、1995年、ISBN 4-309-47282-6) - 128-131ページの「妖精キキーモラ」の節において、キキーモラに関する伝説や諸特徴の紹介、および夢魔モーラとの関係に関する考察がなされている。