キツネザル下目

哺乳類サル目に属する一群の動物が含まれる分類の一つ。
キツネザルから転送)

キツネザル下目[3](標準和名キツネザル型下目、キツネザルかもく、Lemuriformes)は、霊長目に分類される下目。

キツネザル型下目
ワオキツネザル
ワオキツネザル Lemur catta
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: 霊長目 Primates
亜目 : 曲鼻亜目 Strepsirrhini
下目 : キツネザル型下目 Lemuriformes
学名
Lemuriformes Gregory, 1915[1]
和名
キツネザル型下目[2]

分布 編集

マダガスカル[1]

分類 編集

下位分類にインドリ上科Indrioideaを認めたり、ロリス型下目に分類される科をロリス上科Lorisoideaとして本下目に含める説もあった[1]。アイアイ科のみでアイアイ上科を構成するが、他の上科に含める説もある[1]。内部形態から、コビトキツネザル科をロリス型下目に分類する説もあった[1]

以下の分類・和名は、日本モンキーセンター霊長類和名リスト(2018)に従う[3]

名称 編集

学名は、キツネザル属 Lemur に上位タクソン名を作る語尾 -iformes をつけたもの。lemur は、ローマ神話での死者の霊レムール (Lemur)(複数形レムレース (Lemures) で言及されることも多い) から。

英語ではキツネザル下目全体を lemur(リーマー)という。また、ヒヨケザルをflying lemurという。

生息域 編集

マダガスカル島と、コモロ諸島など周辺のいくつかの孤島にのみ生息する。これらのキツネザル類はかつて(6000万から5000万年前)はアフリカ大陸に生息していたものが、流木に掴まるなどの形でマダガスカル島周辺に漂着し、独自の進化をとげて現在に至ったという研究報告がなされている[4]

特徴 編集

インドリを除き、長いを持ち、個体間のコミュニケーションや、樹上でバランスをとるのに使う。

だけでなく足指も長く親指が対向し、枝を把握できる。

平爪だが、足の第3指のみ鉤爪で、グルーミングに使う。

人間との関係 編集

デューク大学の学芸員は、人間の肉を抉り取るほどの威力を持つ鋭い歯と攻撃的な性格を指して「キツネザルは最悪のペットです」と意見している。しかも排泄のしつけが不可能であり、その排泄物には多くの病原体が潜む。同大学キツネザルセンターへは、キツネザルを手に余して「引き取ってほしい」と頼む電話が無数にかかるという[5]

出典 編集

  1. ^ a b c d e 岩本光雄 「サルの分類名(その8:原猿)」『霊長類研究』第5巻 2号、日本霊長類学会、1989年、129 - 141頁。
  2. ^ 川田伸一郎他 「世界哺乳類標準和名目録」『哺乳類科学』58巻 別冊、日本哺乳類学会、2018年、1 - 53頁。
  3. ^ a b 日本モンキーセンター霊長類和名編纂ワーキンググループ 「日本モンキーセンター 霊長類和名リスト 2018年11月版」(公開日2018年12月16日・2021年8月5日閲覧)
  4. ^ Ali, J. R.; Huber, M. (2010), “Mammalian biodiversity on Madagascar controlled by ocean currents”, Nature 463 (7281): 653–656, doi:10.1038/nature08706 
  5. ^ SNSに惑わされるな、飼うとヤバい動物10種(4/4ページ) ナショナルジオグラフィック日本版 2019.02.03 (2020年8月8日閲覧)[出典無効]

関連項目 編集