キニザリン(quinizarin)はアントラキノン誘導体の一つ。別名、1,4-ジヒドロキシアントラキノン(1,4-dihydroxyanthraquinone)、C.I.ソルベントオレンジ86(C.I.Solvent Orange 86)[1]。常温状圧では橙色または赤褐色の結晶粉末である。アントラキノンの1,4位にそれぞれヒドロキシル基が置換した誘導体である。全部で10種あるジヒドロキシアントラキノン異性体の一つであり、グリコシドとして少量のみセイヨウアカネRubia tinctorum)の根で合成される[2]

キニザリン
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識別情報
CAS登録番号 81-64-1 チェック
PubChem 6688
ChemSpider 6433 チェック
ChEBI
ChEMBL CHEMBL17594 チェック
特性
化学式 C14H8O4
モル質量 240.21 g/mol
外観 橙色または赤褐色の結晶粉末
融点

198–199 °C

沸点

450 °C

特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

合成法 編集

無水フタル酸と4-クロロフェノールを反応させ、続けて塩素加水分解して合成する[3]

C6H4(CO)2O + ClC6H4OH → C6H4(CO)2C6H2(OH)Cl + H2O
C6H4(CO)2C6H2(OH)Cl + H2O → C6H4(CO)2C6H2(OH)2 + HCl

または、非効率ながら無水フタル酸とヒドロキノンからも合成できる。

用途 編集

安価な染料であり、ガソリン灯油の着色に使用される。インダンスレンアリザリン誘導体の合成中間体でもある。ヒドロキシル基部分を塩素化、臭素化し他の染料も合成する。スルホン化させたアニリン誘導体でアミノ化するとアシッドバイオレット43ができる。また、カルシウムバリウムレーキ顔料を作る[3]

出典 編集

  1. ^ キニザリン”. chemicalbook. 2012年2月26日閲覧。
  2. ^ Goverdina C. H. Derksen, Harm A. G. Niederländer and Teris A. van Beek (2002), Analysis of anthraquinones in Rubia tinctorum L. by liquid chromatography coupled with diode-array UV and mass spectrometric detection. Journal of Chromatography A, Volume 978, Issues 1-2, Pages 119-127. doi:10.1016/S0021-9673(02)01412-7
  3. ^ a b Hans-Samuel Bien, Josef Stawitz, Klaus Wunderlich “Anthraquinone Dyes and Intermediates” Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry 2002 Wiley-VCH, Weinhem. doi:10.1002/14356007.a02_355

関連項目 編集