キン族

ベトナムの主要民族
この項目には、一部のコンピュータや閲覧ソフトで表示できない文字(CJK統合漢字拡張B)が含まれています詳細

キン族(キンぞく、京族ベトナム語Người Kinh/ 𠊛京中国語: 京族)、または ベト族越族ベトナム語Người Việt/ 𠊛) は、ベトナムの主要民族で、狭義におけるベトナム人である。

キン族 / ベト族
Vietnamese people.png
左上から:ベトナム中部の子ども達、阮恵阮廌咸宜帝ホー・チ・ミン、書道をする男性、アオザイの女性、南芳皇后(保大帝の皇妃)、ヴォー・グエン・ザップ、グエン・チ・ゾアン(国家副主席)、ゴ・バオ・チャウ
総人口
9000 万人
居住地域
 ベトナム82,085,826 (2019年)[1]
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国2,067,527 (2016年)[2]
カンボジアの旗 カンボジア400,000-1,000,000[3][4][5]
日本の旗 日本420,415 (2020年)[6]
フランスの旗 フランス~400,000[7][8]
中華民国の旗 台湾320,000 (2019年)[9]
オーストラリアの旗 オーストラリア>300,000 (2018年)[10][11]
カナダの旗 カナダ240,514[12]
大韓民国の旗 韓国224,518 (2020年)[13]
ドイツの旗 ドイツ188,000 (2019年)[14]
ロシアの旗 ロシア150,000[15]
ラオスの旗 ラオス122,000[16]
タイ王国の旗 タイ100,000[17]
 チェコ90,000[18]
マレーシアの旗 マレーシア80,000[19]
ポーランドの旗 ポーランド60,000-80,000[20]
イギリスの旗 イギリス50,000-100,000[21]
アンゴラの旗 アンゴラ45,000[22]
 ウクライナ10,000-50,000[23][24]
中華人民共和国の旗 中国36,205[25]
フィリピンの旗 フィリピン27,600[要出典]
 ノルウェー27,366 (2020年)[26]
オランダの旗 オランダ23,488 (2019年)[27]
 スウェーデン20,676 (2020年)[28]
マカオの旗 マカオ~20,000 (2018)[29]
アラブ首長国連邦の旗 アラブ首長国連邦20,000[30]
サウジアラビアの旗 サウジアラビア20,000[31][32][33]
 デンマーク15,953 (2020年)[34]
ベルギーの旗 ベルギー14,000 (2012年)[35]
 フィンランド12,051[36]
シンガポールの旗 シンガポール12,000 (2012年)[37]
言語
ベトナム語
宗教
大乗仏教が支配的、カトリック道教儒教を背景とする。
関連する民族
ムオン族

分布編集

キン族はベトナムの他、ベトナムの周辺国(中国ラオスカンボジアタイ)でも、少数民族として暮らしている。

中国語普通話では、日本語表記するとジン族漢字表記は同じく京族)に近い発音で読む。ジン族は民族識別工作により、「中国の少数民族」の1つと中国政府に認定されている。ジン族は主に広西チワン族自治区に住んでいる。

また、ベトナム戦争によって発生した難民が、アメリカ香港オーストラリアなどに多数亡命している。特に、オーストラリアでは1990年にオーストラリア国内で誕生したベトナム系の人口が、難民として流入してきた人口を上回り、芸術スポーツの分野で活躍する者も出てくるなど一定の社会基盤を築いている。

また、近年では出稼ぎ労働者配偶者として台湾などへの移住が増えており、「越南勞工」、「越南新娘」と呼ばれている。

日本国内では他の在日外国人と比較するとその割合は多くなかったが、特に2010年代になって上昇。法務省入国管理局の統計によれば、2016年末現在における在留外国人数中の(キン族を含む)国籍上のベトナム人の数は19万9990人 (構成比8.4%、対前年比+36.1%)で、製造業の現場での雇用減により減少したブラジル人を抜き、国籍としてのベトナム人の比率は、朝鮮人・韓国人中国人フィリピン人に次いで4位に浮上している[38]

歴史編集

キン族は現在の中国南部が起源と言われているが、詳しいことは定かではない。モン族との関連が一部から指摘されている。

紀元前には、現在のベトナム北部に当たる地域で勢力を伸ばし、東南アジア最古の青銅器文化として知られるドンソン文化を発達させ、原始的だが小規模な国家群を形成していた。これが、現在のキン族の直接の先祖である民族(古越人)である。

同地域は成立以後、千年以上にわたって中国の支配を受け続けたため、東南アジアの他の周辺地域の民族と違って例外的にインド文明をほとんど受容せず、漢字を使用し、中国風の姓を持つようになるなど中国文明を幅広く受け入れていった。だが、完全に中国に同化することはなかった。一定の独立性を保ち、しばしば中国の中央に対して反乱も起こした。この時期の同地域勢力の中には、現代ベトナムの歴史教育では独立王朝として扱われている物もある。また、現在のベトナム中部から南部に当たる地域では、オーストロネシア語族系統の古チャム人(後のチャム族)がチャンパ王国を形成していた。

末期の中央政府の混乱で中国の支配が衰えると、938年に最初のキン族の王朝とされる呉朝が成立する。さらに丁朝と呼ばれる王朝が興った。ベトナム史略等、ベトナムの史書は、この丁朝以降を正式なベトナムの王朝として扱っている物が多い。これらの王朝は、周辺の少数民族を従えながら南進し、チャンパ王国としばしば争い、17世紀には黎朝が現在のベトナム領土をほぼ確定させた。

以後、1887年フランス領インドシナの成立でフランスによる植民地化が成され、さらに1940年、日本の仏印進駐によってベトナムは二つの国によって統治されることになるが、後に独立を達成してベトナム戦争、中越戦争を経て現在に至る。

文化編集

ベトナムはインドシナ半島に存在しているが、インドシナとはその名の通りインドと中国の間にある。中国に近い地域であったベトナム北部に居住していたキン族は他の民族がインド文明を受容したのに対して、中国文明を受容することになる。

中国文明を受容したため、中国に類似する文化が数多くある。中国風の名を名乗り、文字や文章は漢字・漢文を使用していた漢字文化圏である。そもそも、ベトナムという名称自体が「越南」という漢字のベトナム語読み(漢越読み)である。かつては、ベトナム語を表すためにチュノムと呼ばれる漢字を応用した独自の文字を使用していた。現在では、フランス人宣教師により考案された補助記号を付けたラテン文字であるクォック・グー(国語)が使用され、漢字、チュノムとも冠婚葬祭を除いてはほとんど用いられなくなっている。

宗教編集

民族で統一された宗教は存在しないが、キン族においては仏教道教儒教に加え、フランス植民地時代に伝えられたキリスト教(主にカトリック)が信仰されている。極少数ながら、チャム族等の少数民族との交流によって、彼らが信仰しているイスラム教を受容したムスリム/ムスリマも存在する。その他に、田畑や道路の辻などに置いた祠に線香をあげるような土着信仰も根強い。新宗教としては、儒教、道教、仏教、キリスト教、イスラム教を混淆させたカオダイ教や、仏教系のホアハオ教も盛んである。

脚注編集

  1. ^ Report on Results of the 2019 Census”. General Statistics Office of Vietnam. 2020年5月1日閲覧。
  2. ^ ASIAN ALONE OR IN ANY COMBINATION BY SELECTED GROUPS: 2016”. U.S. Census Bureau. 2017年9月24日閲覧。
  3. ^ Ponnudurai, Parameswaran (2014年3月19日). “Ethnic Vietnamese in Cambodia Left in Limbo Without Citizenship”. Radio Free Asia. RFA Khmer Service. https://www.rfa.org/english/news/cambodia/vietnamese-03192014205359.html 2018年3月13日閲覧。 
  4. ^ Vietnamese in Cambodia”. Joshua Project. 2018年3月13日閲覧。
  5. ^ A People in Limbo, Many Living Entirely on the Water”. The New York Times (2018年3月28日). Template:Cite webの呼び出しエラー:引数 accessdate は必須です。
  6. ^ 令和2年6月末現在における在留外国人数について”. Immigration Services Agency, Ministry of Justice (2020年10月9日). 2021年2月2日閲覧。
  7. ^ Les célébrations du Têt en France par la communauté vietnamienne” (フランス語). Le Petit Journal. 2020年9月28日閲覧。
  8. ^ Étude de la Transmission Familiale et de la Practique du Parler Franco-Vietnamien (in French) Retrieved on 22-12-2015.
  9. ^ Chinese Television System. (2019年3月16日). https://news.cts.com.tw/cts/life/201903/201903161954928.html 
  10. ^ 2016 Census Community Profiles”. Australian Bureau of Statistics. 2018年4月11日閲覧。
  11. ^ Statistics, c=AU; o=Commonwealth of Australia; ou=Australian Bureau of (2012年5月24日). “Main Features - Country of birth”. www.abs.gov.au. Template:Cite webの呼び出しエラー:引数 accessdate は必須です。
  12. ^ Census Profile, 2016 Census”. Statistics Canada (2017年2月7日). 2018年7月19日閲覧。
  13. ^ Vietnam ranks second in number of foreigners staying in RoK
  14. ^ Bevölkerung in Privathaushalten 2019 nach Migrationshintergrund”. Federal Statistical Office of Germany (Statistisches Bundesamt) (2020年7月28日). Template:Cite webの呼び出しエラー:引数 accessdate は必須です。
  15. ^ L. Anh Hoang; Cheryll Alipio (2019). Money and Moralities in Contemporary Asia. Amsterdam University Press. ISBN 9789048543151 
  16. ^ [1]
  17. ^ Chủ tịch Quốc hội gặp gỡ cộng đồng người Việt Nam tại Thái Lan” (ベトナム語). 2021年2月2日閲覧。
  18. ^ https://www.e-polis.cz/clanek/specifika-zivota-vietnamske-komunity-v-cr.html
  19. ^ “Viet Nam, Malaysia’s trade unions ink agreement to strengthen protection of migrant workers”. International Labour Organization. (2015年3月16日). https://www.ilo.org/hanoi/Informationresources/Publicinformation/newsitems/WCMS_353252/lang--en/index.htm 
  20. ^ Wietnamczycy upodobali sobie Polskę. Może być ich 60 tys. w naszym kraju” (ポーランド語). www.wiadomosci24.pl. 2015年11月2日閲覧。
  21. ^ Vietnam who after 30 years in the UK”. 2021年2月6日閲覧。
  22. ^ Cuộc sống người Việt ở Angola”. RFA (2013年6月1日). Template:Cite webの呼び出しエラー:引数 accessdate は必須です。
  23. ^ Vietnamese come to Ukraine for a better life, although many long to return to homeland”. Kyiv Post (2009年12月3日). Template:Cite webの呼び出しエラー:引数 accessdate は必須です。
  24. ^ Protecting Vietnamese community in Ukraine”. Vietnamese Embassy in Ukraine. 2021年2月2日閲覧。
  25. ^ Major Figures on Residents from Hong Kong, Macao and Taiwan and Foreigners Covered by 2010 Population Census”. National Bureau of Statistics of China (2011年4月29日). 2011年5月4日閲覧。
  26. ^ Immigrants and Norwegian-born to immigrant parents”. 2021年2月2日閲覧。
  27. ^ Population; sex, age, migration background and generation, 1 January”. Statistics Netherlands. 2021年2月2日閲覧。
  28. ^ Population by country of birth and year”. 2021年2月2日閲覧。
  29. ^ Việt Nam opens consulate office in China’s Macau”. 2021年2月2日閲覧。
  30. ^ Embassy of the UAE in Hanoi » Vietnam - UAE Relations-Bilateral relations between UAE - Vietnam”. 2014年2月25日閲覧。
  31. ^ CỘNG ĐỒNG NGƯỜI VIỆT NAM Ở Ả-RẬP XÊ-ÚT MỪNG XUÂN ẤT MÙI - 2015”. 2021年2月6日閲覧。
  32. ^ Người trong cuộc kể lại cuộc sống "như nô lệ" của lao động Việt ở Ả Rập Saudi”. 2021年2月6日閲覧。
  33. ^ Tình cảnh ‘Ô-sin’ Việt ở Saudi: bị bóc lột, bỏ đói”. 2021年2月6日閲覧。
  34. ^ FOLK1C: Population at the first day of the quarter by region, sex, age (5 years age groups), ancestry and country of origin” (英語). Statistics Denmark. Template:Cite webの呼び出しエラー:引数 accessdate は必須です。
  35. ^ [2]. Chimviet.free.fr(in French). Retrieved on 2019-11-19.
  36. ^ http://pxnet2.stat.fi/PXWeb/pxweb/en/StatFin/StatFin__vrm__vaerak/statfin_vaerak_pxt_11rv.px/table/tableViewLayout1/?rxid=726cd24d-d0f1-416a-8eec-7ce9b82fd5a4
  37. ^ [3]
  38. ^ 平成28年末現在における在留外国人数について(確定値)

関連項目編集