クォンセット・ハット
クォンセット・ハット (Quonset hut ) は、トタンによる軽量のプレハブ工法で製作された、かまぼこ型の建物。第一次世界大戦中にイギリスで開発されたニッセン・ハットを基にしている。第二次世界大戦中、何十万ものクォンセット・ハットが製作され、民間にも払い下げされ、クォンセット・ハットは一般に知られるようになった[1]。クォンセット・ハットの名はロードアイランド州ノースキングスタウンのデイヴィスヴィルの海軍建設大隊センターにあった最初の工場クォンセット・ポイントから名付けられた。
デザインおよび経緯編集
クォンセット・ハットは世界中の様々な建築会社により建設されたが、1941年、アメリカ海軍が特別な技術がなくても建てられ、軽量で海運で搬送可能な多目的の施設が必要となったことから初めて製作された。アメリカ海軍はジョージ・A・フラーに建設を依頼した。第1号は60日間の契約で完成した。
オリジナルのデザインは16フィート×36フィート(5m×11m)、半径8フィート(2.4m)のスチール部材で建設された。外側には波型のスチール板が張られた。両端はドアや窓のある合板で覆われた。圧縮木材の裏張りや木製の床など内装も施された。この建物はコンクリートや深基礎の上にも設置でき、木製の床を敷けば地面に直接建てることができた。
オリジナルのデザインは軍事用ではない低品質のスチールが使用され、錆びつきやすかった。アメリカ合衆国は第二次世界大戦の太平洋戦域では完璧な「パシフィック・ハット」が使用された。
最も多く製作されたデザインは20フィート×48フィート(6m×15m)、半径10フィート(3m)、使用可能面積720平方フィート(67m²)で、両端の出入口を気候から守るために4フィート(1.2m)の覆いがかけられた。他に、20フィート×40フィート(6m×12m)、40フィート×100フィート(12m×30m)などのサイズがあり、倉庫向きのものもあった。
内部はバラック、トイレ、事務所、歯科医療所、隔離所、住宅、パン屋など様々な用途で使用できた。
第二次世界大戦中、15万から17万のクォンセット・ハットが製造された。戦後アメリカではこれらのクォンセット・ハットを民間に払い下げた。現在も全米に多くのクォンセット・ハットが残っている。またこれらは離れとして使用され、軍事博物館や第二次世界大戦に関する博物館として使用されることもある。いくつかは現在も朝鮮半島の軍事境界線近くのレッド・クラウドやケイシーなどの米軍キャンプ、ハワイ島のトレーニング・エリアなどで使用されている。
また戦後カリフォルニア州ロサンゼルスにある、ロジャー・ウィルトン・ヤングの功績を称えて名付けられたロジャー・ヤング・ヴィレッジで仮設住宅として使用され、日系人の強制収容所に収容されていた日本人や日系アメリカ人もここに住んでいた。
テネシー州ナッシュビルにあるコロムビア・レコードのスタジオBも「クォンセット・ハット」と呼ばれていた。
関連事項編集
脚注編集
- ^ Newman, Alexander (November 28, 2003). Metal Building Systems: Design and Specifications. McGraw-Hill Professional. p. 2. ISBN 0071402012
- ^ World War II and the expansion of Michigan State, Matthew Herek, 16 November 1999, self-published.
- ^ Quonset : Metal Living for a modern Age.
- ^ Quonset Huts, waymarking.com.
外部リンク編集
- History of Quonset Hut - ウェイバックマシン(2015年6月10日アーカイブ分) from the U.S. Naval History Center website
- Quonset Huts at Guampedia, Guam's Online Encyclopedia
- Quonset Huts Briny Breezes Florida
- Quonset Hut
- Quonset Huts, At National Airport, Arlington, Arlington County, VA at the Historic American Buildings Survey (HABS)