クサナギカズラ Asparagus asparagoides (L.) は、クサスギカズラ属の植物の1つで、観賞用に栽培されるアスパラガスの1つである。仮葉が幅広く、普通の葉のように見える。

クサナギカズラ
Asparagus asparagoides
Asparagus asparagoides
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 単子葉類 monocots
: キジカクシ目 Asparagales
: キジカクシ科 Asparagaceae
亜科 : クサスギカズラ亜科 Asparagoideae
: クサスギカズラ属 Asparagus
: クサナギカズラ A. asparagoides
学名
Asparagus asparagoides (L.)
英名
Smilax Asparagus
図版

特徴 編集

蔓性常緑多年草で、は紡錘形に肥大する[1]は細くてよくを出し、他物に巻き付いて登るように伸び、長さは2-3mに達する。仮葉は互生し、長さは3cm程度、卵円形で先端が尖り、平行脈が走る[2]。葉には光沢がある[1]

花期は冬[1]は細い花柄の上に2-3個ついて、緑白色で芳香がある。液果は暗紫色に熟し、1-3個の種子を含む[2]

名前について 編集

種小名の語尾は「○○もどき」の意味なので、この学名を素直に解釈すると、『アスパラガスに似ているがアスパラガスではないアスパラガス』という奇妙なものとなってしまう。これは、原記載の時、リンネは本種をクサスギカズラ属ではないと判断し、 Medeola asparagoides と命名し、後に本属に移ったことによる。ちなみに本種の異名には Asparagus medeoloides というのがあり、なおさらにややこしいことになっている。この種がサルトリイバラ科シオデ属Smilax)と判断されたこともあり、シノニムには Smilax asparagoides hortというのもある。

園芸分野では学名仮名読みのアスパラガス・アスパラゴイデスも通るが、他にアスパラガス・スマイラックスが使われることもある。これは本種の葉がシオデ属のそれに似ているために、その属名Smilax を英語読みして使っているのである。英名もこれに当たる Smilax Asparagusである。更に旧属名の仮名読みであるメディオラが使われることもある[3]

分布 編集

南アフリカ原産[1]

利用 編集

観葉植物として栽培される。蔓性なので釣り鉢や行灯仕立て(鉢の上に枠を立てて絡ませる)にするほか、切り花としても利用する。日本には明治10年頃に渡来した[1]。葉の光沢が美しいもので、利用法としては、テーブルデコレーションブーケコサージなども挙げられる[4]

出典 編集

  1. ^ a b c d e 本田他監修(1984),p.561
  2. ^ a b 『園芸植物大事典 1』,(1994),p.88
  3. ^ この項は『園芸植物大事典 1』,(1994),p.88
  4. ^ 浅山他(1977),p.147

参考文献 編集

  • 本田正次他監修、『原色園芸植物大圖鑑』、(1984)、北隆館
  • 『園芸植物大事典 1』、(1994)、小学館
  • 浅山英一他、『原色図譜 園芸植物 温室編』、(1977)、平凡社