数学解析学の分野におけるクレインの条件(クレインのじょうけん、: Krein's condition)とは、指数関数の和

が実数直線上のある重み付き L2 空間において稠密であるための必要十分条件を与えるものである。マルク・クレインによって1940年に発見された[1]。他にもクレインの条件と呼ばれるある系(corollary)があり、こちらはモーメント問題英語版の不定性のための十分条件を与えるものである[2][3]

内容 編集

μ を、実数直線上のある絶対連続測度で、dμ(x) = f(x) dx が満たされるものとする。指数関数の和

 

L2(μ) において稠密であるための必要十分条件は

 

が成立することである。

モーメント問題の不定性 編集

μ を上述のように定められる測度とする。μ のすべてのモーメント

 

は有限であると仮定する。もし

 

が成立するなら、μ についてのハンバーガーのモーメント問題英語版は不定である。すなわち、R 上の別の測度 ν ≠ μ

 

を満たすようなものが存在する。この事実は、上述のクレインの定理の必要性(only if)の部分より従う[4]

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とする。このとき測度 dμ(x) = f(x) dxスティルチェス=ウィガート測度と呼ばれる。今

 

が成立するため、μ についてのハンバーガーのモーメント問題は不定である。

参考文献 編集

  1. ^ Krein, M.G. (1945). “On an extrapolation problem due to Kolmogorov”. Doklady Akademii Nauk SSSR 46: 306–309. 
  2. ^ Stoyanov, J. (2001), “Krein condition”, in Hazewinkel, Michiel, Encyclopedia of Mathematics, Springer, ISBN 978-1-55608-010-4, https://www.encyclopediaofmath.org/index.php?title=Krein_condition 
  3. ^ Berg, Ch. (1995). “Indeterminate moment problems and the theory of entire functions”. J. Comput. Appl. Math. 65: 1–3, 27–55. doi:10.1016/0377-0427(95)00099-2. MR1379118. 
  4. ^ Akhiezer, N. I. (1965). The Classical Moment Problem and Some Related Questions in Analysis. Oliver & Boyd