クロマルハナバチ(黒丸花蜂、学名Bombus ignitus)は、昆虫綱ハチ目(膜翅目)・ミツバチ科に分類されるマルハナバチの一種。

クロマルハナバチ
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 昆虫綱 Insecta
: ハチ目(膜翅目) Hymenoptera
亜目 : ハチ亜目(細腰亜目) Apocrita
上科 : ミツバチ上科 Apoidea
: ミツバチ科 Apidae
亜科 : ミツバチ亜科 Apinae
または マルハナバチ亜科 Bombinae
: マルハナバチ族 Bombini
: マルハナバチ属 Bombus
: クロマルハナバチ
B. ignitus
学名
Bombus ignitus
Smith, 1869
和名
クロマルハナバチ

分布 編集

日本本州四国九州)、中国朝鮮半島に分布する[1][2]

平野部の里山に生息する[3]。クロマルハナバチは標高の低い地域に生息し、標高の高い地域に生息するオオマルハナバチと棲み分けしている[3]

クロマルハナバチは、環境省のレッドリスト2020でノサップマルハナバチとともに準絶滅危惧種に指定されている[4]。また、福岡県レッドデータブック2014で絶滅危惧IB類に指定される[5]など、都道府県レベルでも減少傾向が指摘されている。2021年6月の時点で、東京都と神奈川県で絶滅種とされていることを含めて16の都道府県でレッドデータリスト掲載種となっている[6]

特徴 編集

近縁のコマルハナバチと比べて、体毛は短く整っておりボサボサとならない[2]

マルハナバチの中でも舌が短く、花筒が短い花を好む[3]。花筒に穴をあける盗蜜を行い、他のハチがあけた穴を二次利用することもある[3]

利用 編集

日本ではトマトハウス栽培花粉媒介昆虫としてヨーロッパ原産のセイヨウオオマルハナバチが利用されてきたが、外来種として問題視されるようになると、今度は日本に元々生息する在来種であるクロマルハナバチが代替で活用され始めた。しかし、大量生産された特定地域の個体群のクロマルハナバチが野外に逸出すれば、国内外来種として地域のマルハナバチを遺伝子レベルで脅かすことが懸念されている[2]。クロマルハナバチはセイヨウオオマルハナバチと同等、もしくはそれ以上の問題を引き起こす危険性が指摘されている[7]

脚注 編集

参考文献 編集

  1. ^ 鷲谷いづみ・加藤 真・鈴木和雄・小野正人『マルハナバチ・ハンドブック 野山の花とのパートナーシップを知るために』文一総合出版、1997年4月。ISBN 978-4829921104 
  2. ^ a b c 飯嶋一浩「クロマルハナバチBombus ignitus Smithの分布について」『保全生態学研究』第6巻第1号、日本生態学会、2001年、75-78頁。 
  3. ^ a b c d 飯嶋一浩・光畑雅宏・東山 了「2001年クロマルハナバチ分布調査結果報告」『保全生態学研究』第7巻第1号、日本生態学会、2002年、25-31頁。 
  4. ^ 環境省レッドリスト2020別添資料3。29ページ.
  5. ^ https://www.fihes.pref.fukuoka.jp/kankyo/rdb/rdbs/detail/201400188
  6. ^ 日本のレッドデータ検索システム。2021年6月17日閲覧。クロマルハナバチ。日本のレッドデータ検索システム。
  7. ^ 米田昌浩・土田浩治・五箇公一「商品マルハナバチの生態リスクと特定外来生物法」『日本応用動物昆虫学会誌』第52巻第2号、2008年、47-62頁。