グリーンアロー: Green Arrow)は、DCコミックスの出版するアメリカン・コミックスに登場する架空のスーパーヒーロー、及びコミックのタイトル[1]。緑のコスチュームに身を包み、弓矢を武器とする。

概要 編集

初代と2代目が存在するが、本項では特に断らない限り、初代について説明する。また、彼のサイドキック(助手)であったロイ・ハーパー(初代スピーディ、アーセナル、レッドアロー)についても説明する。

初代グリーンアロー 編集

グリーンアロー
出版の情報
出版者DCコミックス
初登場More Fun Comics #73 (1941年11月)
クリエイターモート・ウェイシンガー
ジョージ・パップ
作中の情報
本名オリバー・クイーン
種族人間
出身地スターシティ
所属チームクイーン・インダストリーズ
ジャスティス・リーグ
アウトサイダーズ
勝利の七兵士
パートナースピーディ
グリーンランタン
ブラックキャナリー
バットマン
ザ・フラッシュ
能力

人物 編集

本名:オリバー・ジョナス・"オリー"・クイーン (Oliver Jonas "Ollie" Queen)

本拠地はスターシティ。初出は『モア・ファン・コミックス』#73(1941年11月)。弓術の名人であり、また格闘技の訓練も積んでおり、常人以上の腕力や耐久力を有している[2]

元の彼は、大富豪でプレイボーイだった。南海への船旅で、ビジネスパートナーに裏切られた彼は海へ落とされ、孤島へ辿り着く。その島には麻薬の密売組織が存在していたが、彼は急造の弓矢でこれと戦い、壊滅させた。故郷への帰還が叶った彼は、社交界のコスチューム・パーティにロビン・フッドの仮装で参加する。そのイベントを強盗が襲ったが、彼は仮装のまま撃退した。この時、仮装の人物に「グリーンアロー」の名前がつけられた。この時期のコスチュームの頭部は帽子だったが、後にフードになった[注釈 1]

グリーンアローとなった彼は、自警団員として犯罪者との戦いを開始する。2代目グリーンランタン/ハル・ジョーダンと出会ったベトナムへの旅の後、オリバーは犯罪の遠因である自社の兵器製造部門を売却した。慈善事業にも意欲的に関わりはじめ、自身もロイ・ハーパーという少年を養子にする。ロイはサイドキックとなり、スピーディと名づけられた。彼はグリーンアローに似た装備を身に付けているが、色は赤を基調としていた。

この頃、彼はまだジャスティス・リーグに加入していなかったが、匿名で資金を提供していた。また、アロープレーン、アローカー、アローケイブなどの装備や施設を建造・保有していたが、それらはバットマンへのリスペクトと考えられている[2]。この後、正式にリーグに加盟したものの、かなり若い2代目ブラックキャナリーと恋に落ちた。やや後に、以前のパートナーであるジョン・デレオンに騙され、財産を奪い取られてしまう。オリバーは挫けず、グリーンランタン/ハル・ジョーダンと共にアメリカ再発見の旅に出発し、人種差別、狂信者、環境破壊などの問題に直面する。ブラックキャナリーを伴う場合もあった。

オリバーの不在で、ロイは「指導者に見放された」と思い込み、ヘロイン中毒に陥ってしまう。養母に等しい関係のブラックキャナリーが更生に手を貸し、誘惑を絶つことができた。ロイは中央諜報局 (CBI) に所属する。一方、オリバーはリーグの方針に疑問を持ち、脱退した。『ブレイブ&ボールド』#85(1969年8月)「上院議員暗殺事件」においてコスチュームを変える。また、口ひげを生やしはじめ、態度は反抗的になった[3]。メトロポリス上空で飛行機が爆破され、死亡したことがある。この時は、長年の親友であるパララックスことハル・ジョーダンにより復活した。死亡中はコナー・ホークがグリーンアローの名を継いでいた。2代目スピーディが登場したのは復活後である。

関連人物 編集

ダイナ・ローレル・ランス
リーグの一員でスーパーヒロインの2代目ブラックキャナリー。後に結婚[4]
ヴァーティゴ伯爵
グリーンアローの宿敵。視覚にめまいを引き起こさせる力を持つ貴族の末裔。
クロック・キング
不治の病の妹を救うために時計のコスチュームで強盗を行うが、グリーンアローに敗北し妹は病死したため、グリーンアローを憎むようになる宿敵。

映像作品 編集

初代グリーンアローの映像作品

アニメ『ジャスティス・リーグ・アンリミテッド
声 - キン・シュリナー
日本未放送。準レギュラーで、ブラックキャナリーとのエピソードが複数回ある。
アニメ 『ザ・バットマン
声 - クリス・ハードウィック、日本語吹替 - 山野井仁
数話にゲスト出演。
アニメ『バットマン:ブレイブ&ボールド
声 - ジェームズ・アーノルド・テイラー、日本語吹替 - 内田夕夜
セミレギュラーに近い。バットマンとはライバル関係にあるが、信頼も深い。
アニメ『ヤング・ジャスティス
声 - アラン・テュディック、日本語吹替 - 山野井仁
ジャスティスリーグの一員。第1話から登場しているが、セリフのないこともある。
アニメ『グリーン・アロー
声 - ウィル・フリードル
DC Nation Shortsの短編アニメ。現在はYouTubeの公式チャンネルで全3話が無料視聴できる。
アニメ『ジャスティス・リーグ・アクション
声 - クリス・ディアマントポロス
ドラマ『ヤング・スーパーマン
演 - ジャスティン・ハートリー
クラーク・ケントがスーパーマンになるまでを描いた作品。第112話(シーズン6第2話)「新しい能力」(Sneeze)でオリバー・クイーンが初登場。クラークより年長だが、20代後半程度であり、まだ若い。
クイーン産業の代表であり、大富豪。当初からグリーンアローとして活動していた。レックス・ルーサーとは寄宿舎学校時代からの縁だが、当時のレックスはイジメの対象であった(オリバーのグループがイジメていた)。
レギュラーとしてファイナル・シーズンのシーズン10まで参加しており、ヒーローチーム[注釈 2]のリーダーも務めていることから、準主役の扱い(ジミー・オルセン死亡後は、クラーク以外で唯一の男性レギュラー)。
本作ではロイス・レーンとの交際を経て、本作オリジナルキャラクターのクロエ・サリバンと結婚した。回想シーンではテス・マーサとの恋も描かれている。
ドラマ『ARROW/アロー
演 - スティーヴン・アメル、日本語吹替 - 日野聡
オリバー・クイーン(グリーンアロー)が主役のドラマ。現代風に設定を一新している。劇中ではグリーンアローではなくアローと呼ばれる。
シーズン3終盤で表向きにアローは死んだことになっているので、シーズン4からアローの意志を受け継いだ者としてグリーンアローを名乗る。
デッドショットなどのヴィランの他、ハントレスなども登場している。シーズン2からはスレイドウィルソンがデスストロークとして登場。

2代目グリーンアロー 編集

人物 編集

本名:コナー・ホーク。本拠地はスターシティ。初出は『グリーンアロー』Vol.2#0(1994年10月)[2]

オリバーとサンドラ・ムーンデイ・ホークの息子。父親に会うことなく、仏教徒によって僧侶になるべく育てられた。全世界でベスト5に入る武術の達人だが、世間知らず。また惚れっぽい性格でもある。

父が僧院を再び訪れた際、息子とは名乗らずに彼と同行し、旅に出る。その後、彼に息子だと告げた。父の死亡後、コナーは、2代目グリーンアローとなり、跡を継いだ。父の生還後は、共にスターシティを守っている[3]

関連人物 編集

サンドラ・ムーンデイ・ホーク
コナー・ホークの母[3]

サイドキック 編集

初代スピーディ 編集

人物 編集

本名:ロイ・ハーパー

初代スピーディとしてサイドキックとなり、やがて独立し、アーセナルレッドアローへと名を改めた。

彼は、幼い頃に山火事で父を亡くした。父は森林レンジャーであり、ナハボ族のまじない師であるブレイブ・ボウを救うために命を落としたのだった。ブレイブ・ボウは感謝の証として、孤児になったロイを引き取り、育てた。ロイは成長すると、弓矢の名手となり、同時に長距離ランナーとしても目覚しい進歩を遂げていた。グリーンアローの大ファンでもあるロイは、彼が町を訪れた際、手際よく強盗を捕らえ、そのために「スピーディ」と名づけられた。

ブレイブ・ボウの死亡後、ロイはオリバーに引き取られる。グリーンアローは「ジャスティス・リーグ」に、スピーディは「ティーン・タイタンズ」に加盟し活躍する。アローが2代目グリーンランタンと共にアメリカ再発見の旅に出た際は「見捨てられた」と絶望し、ヘロイン中毒に陥る。この危機はブラックキャナリーの助けで乗り越えることができた。

ロイは中央諜報局(CBI)に参加し、日本での任務に携わる。この時、チェシャーという美女と深い仲になるが、彼女は暗殺者であった。後に彼女はリアンという娘を産むが投獄され、ロイが引き取ることになる。

チェックメイトという組織に所属した折、ロイはスピーディからアーセナルへ名前を変えた。以後、タイタンズ、アウトサイダーズのリーダーを務め、「レッドアロー」に改名しリーグに加わった[5]

映像作品 編集

初代スピーディの映像作品

アニメ『バットマン:ブレイブ&ボールド
声 - ジェイソン・マースデン、日本語吹替 - 私市淳
グリーンアローのサイドキックとして登場。
アニメ『ヤング・ジャスティス
声 - クリスピン・フリーマン、日本語吹替 - 私市淳
第1話でグリーンアローから離反し、第6話以降、レッドアローと名乗り、第25話でリーグ入りを認められている。
ドラマ『ARROW/アロー
演 - コルトン・ヘインズ、日本語吹替 - 遠藤純平
情報収集をする補佐的な役割をする。劇中ではスピーディではなくアーセナルと呼ばれる。

2代目スピーディ 編集

人物 編集

本名:ミア・ディアデン

幼い頃に暴力的な家庭から家出し、ホームレスとなった。売春婦として生活費を稼いでいたが、オリバーに引き取られ、青少年更正センターに預けられた。ミアはコナーとともに訓練を受けて弓術や格闘技を上達させ、新しいスピーディとなった[3]

過去の稼業のため、エイズに感染している[6]。オリバーはプレイボーイの習慣が改まらず、浮き名を流している。

映像作品 編集

2代目スピーディの映像作品

ドラマ『ARROW/アロー
演 - ウィラ・ホランド、日本語吹替 - 坂井恭子
オリバーの妹テア・クイーンというキャラクターがスピーディとして登場。

関連キャラクター 編集

アルテミス 編集

一部の作品でサイドキック的な役割として、またライバル的な役割として登場することがある。

アルテミスの映像作品
アニメ『ヤング・ジャスティス
声 - ステファニー・ルムラン、日本語吹替 - 中嶋ヒロ
グリーンアローのサイドキックとして、ヤング・ジャスティスに加入。
ドラマ『ARROW/アロー
演 - マディソン・マクラフリン

シャドウ 編集

東洋人の女性暗殺者で、長弓の使い手。ロバートという息子を産む[4]。日本人の友永というヤクザの娘。父は任務に失敗したため切腹して果てた。彼女は父の敵である元アメリカ軍人を暗殺するために渡米した。左肩から左腕にかけて、赤い龍の刺青をしている[7]

シャドウの映像作品
ドラマ『ARROW/アロー
演 - セリナ・ジェイド、日本語吹替 - 田村睦心
ヤオ・フェイの娘。孤島において、オリバーに弓矢の極意を教える。

書誌情報 編集

翻訳版 編集

小学館集英社プロダクション[8]
小学館集英社プロダクション[9]

原語版 編集

タイトル 刊行日 ISBN
Green Arrow: Quiver 2003年5月 978-1563899652
Green Arrow: Year One 2009年4月 978-1401217433
Green Arrow: The Longbow Hunters 2012年9月 978-1401238629
Green Arrow: A Celebration of 75 Years 2016年7月 978-1401263867
Green Arrow by Kevin Smith 2016年7月 978-1401265267
(1988年-1998年)
Vol.1: Hunters Moon 2013年12月 978-1401243265
Vol.2: Here There Be Dragons 2014年10月 978-1401251338
Vol.3: The Trial of Oliver Queen 2015年6月 978-1401255237
Vol.4: Blood of the Dragon 2016年1月 978-1401258221
Vol.5: Black Arrow 2016年5月 978-1401260798
Vol.6: Last Action Hero 2016年9月 978-1401264574
Vol.7: Homecoming 2017年1月 978-1401265748
Vol.8: The Hunt for the Red Dragon 2017年5月 978-1401269036
Vol.9: Old Tricks 2018年1月 978-1401275310
The New 52 (2012年-2016年)
Vol.1: The Midas Touch 2012年6月 978-1401234867
Vol.2: Triple Threat 2013年1月 978-1401238421
Vol.3: Harrow 2013年9月 978-1401244057
Vol.4: The Kill Machine 2014年3月 978-1401246907
Vol.5: The Outsiders War 2014年10月 978-1401250447
Vol.6: Broken 2015年5月 978-1401254742
Vol.7: Kingdom 2015年11月 978-1401257620
Vol.8: The Nightbirds 2016年7月 978-1401262556
DC Rebirth (2016年-2018年)
Vol.1: The Death and Life Of Oliver Queen 2017年1月 978-1401267810
Vol.2: Island of Scars 2017年4月 978-1401270407
Vol.3: Emerald Outlaw 2017年8月 978-1401271336
Vol.4: The Rise of Star City 2017年12月 978-1401274542
Vol.5: Hard Travelin' Hero 2018年5月 978-1401278533
Vol.6: Trial of Two Cities 2018年12月 978-1401281717
ドラマ『ARROW/アロー』のコミカライズ
Arrow Vol.1 2013年9月 978-1401242992
Arrow Vol.2 2014年5月 978-1401246037
Arrow Season 2.5 2015年9月 978-1401257484
Arrow: The Dark Archer 2016年9月 978-1401263294

スピンオフ 編集

タイニー・タイタンズ
DCコミックスのサイドキック達が小学生となった日常を描いた作品。コミカルな絵柄と作風が特徴。スピーディ(ロイ・ハーパー)が登場する[10]

その他のメディア 編集

テレビドラマ、アニメ作品にもゲストやセミレギュラー、あるいは主役として登場する。太字は主要作品、それ以外は共演作品など。

ドラマ 編集

これら2作品では、ボイスチェンジャーを使用している(正体を隠す一環)。

アニメ 編集

  1. 『Green Arrow - "Onomatopoeiabot" (full)』 - YouTube
  2. 『Green Arrow - "Cupid" (full)』 - YouTube
  3. 『Green Arrow - "Brick" (full)』 - YouTube

ゲーム 編集

対戦型格闘ゲーム。プレイアブルキャラクターとして登場している[11]

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 前者はテレビアニメ『ザ・バットマン』、『バットマン:ブレイブ&ボールド』に登場したコスチュームであり、後者はテレビアニメ『ヤング・ジャスティス』、テレビドラマ『ヤング・スーパーマン』及び『ARROW/アロー』で見られる。
  2. ^ ジャスティス・リーグに相当するが、命名されていない。

出典 編集

  1. ^ スコット・ビーティほか 『DCキャラクター大事典』 赤塚京子ほか訳、小学館集英社プロダクション2011年、142頁。
  2. ^ a b c 『DCキャラクター大事典』 142頁。
  3. ^ a b c d 『DCキャラクター大事典』 143頁。
  4. ^ a b 『DCキャラクター大事典』 142-143頁。
  5. ^ 『DCキャラクター大事典』 26頁。
  6. ^ 『DCキャラクター大事典』 314頁。
  7. ^ 『DCキャラクター大事典』 304頁。
  8. ^ DCキャラクターズ:オリジン - ウェイバックマシン(2015年12月23日アーカイブ分)
  9. ^ グリーンアロー:イヤーワン - ウェイバックマシン(2016年1月31日アーカイブ分)
  10. ^ DC KIDS タイニー・タイタンズ #1[リンク切れ]
  11. ^ Green Arrow Injustice 2”. 2017年5月16日閲覧。