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概要編集

FIAが発行する国際モータースポーツ競技規則 付則J項(国際競技車両規則)の部門Ⅰ(量産車両)に属し、「ツーリングカーまたは大規模量産プロダクションカー」と定義される。市販車を改造するという点ではグループAグループNと同じだが、改造範囲により大きく複数のレギュレーションに分かれてる点が異なる。

グループRは大別すると二輪駆動のR1・R2・R3、四輪駆動ターボのR4・R5に分けられる。ベース車両は連続する12ヶ月間で2,500台が生産されている4座席の量産車であり、同時にグループAの公認も取得する必要がある。またそれに加えてVR(Varriant Rally、R1A、R1B、....R5まで個別に存在)と呼ばれる、改造についてのグループR独自の公認の取得も求められる。VRもグループA書式で有効な公認=VO(Variants Option)を得ていることが前提である。また各VR公認を得ている部品は、ベース車両に無いものや他社ブランドのものでも使用が可能である[1]

2006年からJWRC(ジュニア世界ラリー選手権)でグループN及びグループAの隙間を埋める形でグループR1〜R3が始まった。そして2011年にはグループN4の発展であるグループR4[2]、2013年にスーパー2000の後継カテゴリとしてグループR5が誕生して現在の形となった。なおR5は構想段階では『R4T』という名称が用いられていた[3]

その後数字が若い方が戦闘力が低いのは車両クラス名・カテゴリ名と矛盾してわかりづらいということから、2020年にR5を『RALLY2』、R4キットカーを『RALLY2キットカー』、R2を『RALLY4』、R5を『RALLY5』と改名することが決定されている(ただしR3は改名されない)[4]

ちなみに同じRがつくラリーカーのグループR-GTが存在するが、これは部門II(レーシングカー)のGTプロダクションカーを規定したものであり、グループRとは別の規定である。またWRC最高クラスのワールドラリーカー(WRカー)のベース車両と改造(WRCキット変型)は、グループRではなくグループAの特例として公認を受ける。

WRC2やFIA管轄の地域選手権ではたちまちメイン規定となり、マニュファクチャラーやプライベーターからグループGT3TCRに匹敵するほどの人気を集めている。日本では導入が遅れていたが、2015年に全日本ラリー選手権にR1〜R3車両が「RR車両」の名でJN5クラスに正式に導入され、加えて2019年にはR5のJN1(旧JN6)クラス参戦も認可された。また2017年に発足した日本スーパーラリーシリーズでは初年度から全てのグループR車両の参戦が可能である。

現行のグループRのクラス区分編集

グループ クラス 自然吸気排気量 過給排気量 気筒数 燃料 最低重量 駆動系式 主な該当選手権
R1 R1A 1,390cc以下 927cc以下 6気筒以下 ガソリン 980kg 2WD JWRC(ワンメイク)
APRC3
ERC3
JRC(JN2)
R1B 1,390cc超
1,600cc以下
927cc超
1,067cc以下
1,030kg
R2 R2B 1,030kg
R2C 1,600cc超
2,000cc以下
1067cc超
1,333cc以下
1,080kg
R3 R3C 1,080kg
R3D 過給のみ 2,000cc以下 ディーゼル 1,150kg
R3T 1,620cc以下 4気筒以下 ガソリン 1,080kg
R4 2,000cc以上 無制限 1,300kg 4WD APRC
JRS
(R4キットカー) 1,600cc 4気筒 1,230kg
R5 WRC2/WRC2プロ
APRC
ERC
JRC(JN1)
JSR

グループR1編集

グループRのエントリークラス。安全装備以外はほぼ無改造である。WRCでは地元プライベーター以外が使うことは極めて稀である。

R1公認車両編集

グループR2/R3編集

 
シトロエン・C2 R2(2015年)
 
アバルト・500 R3T(2011年)

グループRにおける二輪駆動車のメイン。R2とR3は技術的にかなり近く、特にR2CとR3Cはほとんどの部分で規則を共有する。参戦クラスも区別されないことがほとんどである。なお後輪駆動車は2019年現在までトヨタ・GT86 CS-R3のみとなっている。

WRCではWRC3を主戦場としていたが、2019年に同クラスが廃止されて以降はJWRCにワンメイク供給されるフォード・フィエスタR2以外は、R1同様地域選手権や地元プライベーターの使用がメインとなる。

R2公認車両編集

R3公認車車両編集

R4編集

2012年にグループNスーパー2000の戦闘力の差を埋めるために誕生した規定。2013年までのグループN4ホモロゲーション取得車両をベースに、軽量化やサスペンション・冷却性能向上のためのキット装着・ボンネットの開口部の作成・ターボの変更・窓ガラスの変更などが可能である。従来のグループNとは異なり、変型(VO・VR)のための追加生産は必要としない。これにより1キロあたり1秒の戦闘力の向上が望まれたものの、実際には0.3秒程度のアップに留まった。加えてN4の改造範囲の拡大によりR4を区別する必要も無くなったことから、最終的に両者はR4に統合された[5]。これにより従来のR4は「VR4」、N4は「グループNR4」の名称で区別される[6]。また2015年以降VR4は欧州イベントでの参戦を不可とされた(ただしFIAが主催していない地域ラリーやASN車両枠なら参戦可能)。

R4公認車両編集

R4キットカー編集

オレカの供給する共通コンポーネント(エンジン、駆動系、サスペンション)をグループA公認取得車に組み込むもので、地域選手権においてR5とR1~R3の隙間を埋めるという立場的な意味では従来のR4と近いが、技術的にはR4とは全くの別物である。また他のグループR車両は基本的にメーカーが開発・公認を受けるのに対し、R4キットカーはプライベーターが独自に開発を行う点が異なる。その為、ホモロゲーションの提出は不要。2018年から発売された。

R4キットで開発された車両編集

トヨタ・エティオス R4
オレカがR4キットを用いて一番最初に開発したラリーカー。ASM モータースポーツと共同開発であり、テストドライバーはステファン・サラザン。また、アルゼンチンのRC CompetitionがこのマシンのR4ラリーカーを制作中と明かしている。
ダチア・サンデロ R4
エティオスR4を開発したASM モータースポーツが現在作製中のラリーカー。
ルノー・クリオ R4
スペインのRMC モータースポーツが開発中のR4マシン。
フィアット・500X R4
フランスのミラノレーシングが開発中のラリーカー。2019年に完成し、4月の地方選手権でデビューを果たしている。
ヒュンダイ・i20 R4
南アフリカのチームラリー・テクニックが地元の選手権用に開発中とのこと。
マツダ・2 R4
同上。
アウディ・A1 R4
オーストリアのWIETチームが作製中のラリーカー。
シュコダ・ファビア R4
リトアニアのProレーシングが研究を終えたとされているラリーカー。
日産・マイクラ R4
オレカの作成したCGデモマシン。
ラーダ・カリーナ R4
オレカの作成したCGデモマシン。

R5編集

スーパー2000に代わり2013年に誕生した規定で、WRカーに次ぐ戦闘力を持ったグループR最強のマシン。グループR4の衰退により、各国ラリーで最高峰マシンとして採用される例が増えている。またWRC2でもワークスチームの参入が相次ぎ、WRC2プロクラスの創設にまで至っている。

FIA技術規則(J項)にはR5車両の排気量に関する記述は一切無いが、WRC公式サイトでは1.6リッターとされており、事実それ以外の排気量のR5マシンは存在しない。なおWRカーのレース専用エンジン規格『GRE』と同じ排気量であるが、R5の場合は同一グループ内の市販車に由来するエンジンを用いることが義務付けられている。

R5公認車両編集

シュコダ・ファビア R5
2015年デビュー。2016年にシュコダワークスチームのエサペッカ・ラッピがRC2クラス王者に輝くと2017年にポンタス・ティデマンド、2018年にヤン・コペッキーがRC2チャンピオンを達成した。2018年はRC2クラス13戦中11戦でファビアが優勝を果たしたほか、世界の28ものラリー選手権でファビアR5がチャンピオンに輝くなど世界中を圧巻したためか、2018年末にはチェコにてR5専用工場が建築された。WRC2プロクラスにもカッレ・ロバンペラを起用し参戦。2019年はエボモデルが登場予定。また、日本のクスコレーシングがこのマシンを使用している。
フォード・フィエスタ R5
世界初のR5マシン。開発はMスポーツ。2013年ラリー・フィンランドにてデビューを果たすと、そのままRC2クラス王者に輝く。2014年よりカタールのナッサー・アル=アティアが2年連続RC2チャンピオンとなるものの、2016年よりシュコダワークスの勢力が強くなり衰退気味にある。2019年より開始されるWRC2プロにも参戦。同年ラリー・フィンランドにて新型マシンが導入される予定。
プジョー・208 T16 R5
2014年にデビュー。ラリーを撤退したプジョーが作成したR5マシン。ERCではクレイグ・ブリーンが4勝を挙げるものの、RC2クラスでの優勝は0回に終わり、2017年以降は使用者が激減している。セバスチャン・ローブレーシングがこのマシンを使用していた。
シトロエン・DS3 R5
2014年ラリー・サルディニアでデビュー。2015年のラリー・モンテカルロでステファン・ルフェーブルがRC2クラス優勝を果たすものの、RC2クラスの優勝はこの1回のみであった。2017年にエボモデルが開発されるものの同年末にC3 R5がデビューしたためか、2018年以降はRC2クラスへの参戦台数が激減した。
ヒュンダイ・i20 R5
ステファン・サラザンやケビン・アブリングをテストドライバーとして起用し2016年にデビュー。しかし、ファビアやフィエスタとの戦闘力の差は圧倒的であり、2019年現在RC2クラスでの優勝はない。また、ヒュンダイワークスチームとして2017年に韓国人ドライバーを地方のラリーで起用。2018年にはRC2クラスにヤリ・フットネンを起用し本格的参戦を果たすものの、最高順位は2位に終わった。その他、WRカーでワークス参戦しているティエリー・ヌービルダニ・ソルドが地元のラリーにスポット参戦する際はこのマシンを使用している。
フォルクスワーゲン・ポロ GTI R5
2016年にWRCを電撃撤退したフォルクスワーゲンが開発したR5マシン。2018年第9戦ラリー・ドイツでデビューの予定であったが、チームは開発力不足と判断し、デビューを第12戦のラリー・カタルニアに延期する。ラリー・カタルニアでは元Mスポーツのエリック・カミリと2003年王者のペター・ソルベルグを起用し、ソルベルグはRC2クラス3位でフィニッシュを果たした。翌年より世界中のプライベートチームに運用され、ラリー・スウェーデンではRC2クラス1-3フィニッシュを達成した。
シトロエン・C3 R5
2017年末にフランスの地方ラリーで0カーとしてデビューしたシトロエン2台目のR5マシン。2018年のツールドコルスでデビューを果たし、ヨアン・ボナートがRC2クラス2位でフィニッシュしている。しかし、同年はシュコダワークスに圧巻され、RC2クラスでの優勝は達成できなかった。2019年より開始されるRC2プロにも参戦。開幕戦モンテカルロではボナートがRC2クラス優勝。第2戦スウェーデンでは昨年WRCワークスドライバーであったマッズ・オストベルグがRC2プロクラスを制している。

地域選手権限定で公認を受けたR5車両編集

三菱・ミラージュ R5
元ラリアート・スウェーデンのMパートABの開発したR5マシン。2015年に作成し、WRC復帰を目指して三菱にホモロゲーション提出を要求するも破談。そのためR5規格のマシン扱いであり、国際ラリー参戦したとしてもNATクラスである。しかし、イギリス選手権やアジア・パシフィックラリーなどでは公認車両として認められている。
トヨタ・エティオス R5
パラグアイのトヨタチームが開発したトヨタ史上初のR5マシン。国際ラリーには出場出来ず、南米選手権のみの出場となっている。
オペル・コルサ R5
2017年にドイツのフォルツァーレーシングが開発したオペル・コルサベースにしたR5モデルマシン。正式名称は「フォルツァー・コルサ R5」。ラリーポルトガルで展示され、将来的なWRC参戦を見越してオペル本社と交渉を予定しているとのことであったが、オペル側はR5に興味がないと一蹴している。
プロトン・アイリス R5
2017年にイギリスのメラーズ・エリオット・モータースポーツ(MEM)が開発を表明したR5マシン。2018年のWRCデビューを目処に開発を進め、マーカス・グロンホルムをテストドライバーとして起用した。イギリス選手権で先行デビューを果たすものの開発不足により2019年にデビューを延期。2018年12月にホモロゲーションを提出して国際ラリーへの出場は可能になったものの、RC2クラスやERCへの参戦は現時点ではない。
トヨタ・ヤリス R5
WRCトヨタのチームボストミ・マキネンが将来的に開発を予定していると明言したマシン。開発ドライバーはユホ・ハンニネンを予定しているとのことである。また、2018年ラリー・カタルニア終了後にスペインのラリーメディアがマキネンへのインタビューで既にR5のプロジェクトは始まっていると語っている。

2014年までのクラス区分編集

グループ クラス 排気量 最大気筒数 エンジン型式 燃料 最低重量 駆動系式 該当選手権
R1 R1A 1,400cc以下1 6気筒 自然吸気 ガソリン 980kg 2WD WRC3
JWRC
R1B 1,400cc超
1,600cc以下2
1,030kg
R1T 1,400cc以下 ターボ TBA
R2 R2B 1,400cc超
1,600cc以下2
自然吸気 1,030kg
R2C 1,600cc超
2,000cc以下
1,080kg
R3 R3C 1,600cc超
2,000cc以下
1,080kg
R3D 2,000cc以下 ターボ ディーゼル 1,150kg
R3T 1,620cc以下 4気筒 ガソリン 1,080 kg
R4 2,000cc以上 無制限 1,300kg 4WD WRC2
R5 1,400cc超
1,600cc以下
4気筒 1,200kg

脚注編集

参考文献編集

関連項目編集