UFOロボ グレンダイザー対グレートマジンガー

1976年に公開された日本のアニメ映画
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UFOロボ グレンダイザー対グレートマジンガー』(ユーフォーロボ グレンダイザー たい グレートマジンガー)は、1976年3月20日東映まんがまつりで上映された日本のアニメーション映画作品。

UFOロボ グレンダイザー対グレートマジンガー
Mazinger VS Grendiser[1]
監督 葛西治
脚本 藤川桂介
原作 永井豪とダイナミック企画[注釈 1]
製作 今田智憲
ナレーター 富山敬(予告編)
出演者 富山敬、石丸博也
音楽 菊池俊輔渡辺宙明
主題歌 ささきいさおこおろぎ'73「宇宙の王者グレンダイザー」
撮影 菅谷信行
編集 松原千佳子
製作会社 東映フジテレビ
配給 東映
公開 日本の旗1976年3月20日
上映時間 27分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
次作 グレンダイザー ゲッターロボG グレートマジンガー 決戦! 大海獣
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概要 編集

テレビアニメ『UFOロボ グレンダイザー』の映画化第2作であり、初の映画オリジナル作品[注釈 2]。『グレートマジンガー』のキャラクターは登場しない[注釈 3]ため、従来のクロスオーバー作品とは雰囲気が異なり、『UFOロボ グレンダイザー』の外伝的エピソードとなっている。

劇場版での作品世界にて、友軍的立場で存在している事になっている早乙女研究所とゲッターチーム(劇場版での時系列的にはゲッターロボG)は本作には登場せず、全く触れられない。

各作品の設定ではグレートマジンガーが身長25m、グレンダイザーが身長30mとサイズに差があるが、本作中では演出上、同等のサイズに描かれている。

本作以前の東映まんがまつりで、既存のヒーロー同士が「対」のタイトルを冠した作品で共闘することがあったが、本作では文字通りグレンダイザーと敵の手に落ちたグレートマジンガーが対決する。

なお英文タイトルは『Mazinger VS Grendiser[1]で、邦題とは逆にグレートの方が先であり、また『Great』がタイトルに入っていない。

あらすじ 編集

遅々として進まない地球侵攻計画に業を煮やしたベガ大王は、スカルムーン基地にバレンドス親衛隊長を派遣した。バレンドスは兜甲児を捕らえ、自白装置で情報を聞き出した際にグレートマジンガーの存在を知る。光子力研究所近郊にあるロボット博物館に展示されているグレートを強奪し、バレンドス自ら操縦して円盤獣と共にグレンダイザーに襲いかかった。

しかし、脱出した甲児の助言によってグレートの機能を一時的に止めることに成功する。バレンドスは撤退を図るが、グレンダイザーと甲児が搭乗したグレートの逆襲で母艦もろとも葬られた。こうして、つかの間の平穏が戻った。

主な登場人物 編集

宇宙科学研究所、シラカバ牧場
ベガ星連合軍
  • バレンドス親衛隊長:柴田秀勝
    本作のオリジナルキャラクター。ガンダル、ブラッキーに対し「作戦が成功したらお前たちはクビだ、生きたまま宇宙へ放り出す」と恫喝する。グレートマジンガーをいきなり操縦するなど優れた能力を持つが、機能停止に驚いてグレートを乗り捨て、反撃を許してしまい部下もろ共母艦と爆死する。
  • ガンダル司令:富田耕生[注釈 4]
  • ブラッキー隊長:緒方賢一[注釈 4]

予告編

  • ナレーター:富山敬

登場した円盤獣 編集

ジンジン
兜甲児をTFOごと捕らえた円盤獣。身長27メートル、体重310トン、マッハ7で飛行する[2]。円盤が上下に分割して[注釈 5]、上半身のみという特異な姿を現す。武器は伸縮自在の両手に備わったクローと、胸部(もしくは腹部)に複数並んだ発射口から撃ち出す破壊光弾[3][注釈 6]。ほかに、劇中では使用されていないが、目から破壊光線を出すとされている[2]。グレンダイザーとも対決するが、組み付いたところを反重力ストームで上空へ吹き飛ばされて両腕を引きちぎられたあげく、地面に落下・激突して爆発した。
グビグビ
バレンドスが操縦するグレートマジンガーを援護するために出撃し、2対1でグレンダイザーを苦しめた円盤獣。身長39メートル、体重350トン、マッハ6.5で飛行し、地上戦・地中戦が得意[2]。武器は両腕の、投擲兵器にもなるトゲの付いた回転シールド[注釈 7]と脚部に複数生えた鋭いクロー[3]。メルトシャワーを弾き、スピンソーサーやハンドビームも通用しない頑強さを見せるが[3]、腕の付け根をスクリュークラッシャーパンチで破壊されて左のシールドを失い、さらに物語終盤では甲児に奪還されたグレートマジンガーと戦って、アトミックパンチで右腕のシールドも粉砕され、ブレストバーンで爆散した。
コアコア
3基ある核を中心に空中の帯電エネルギーが集まってできた、他に例のない特殊な円盤獣。武器は同時に3つの核からシャワー状に放つ火の球(矢)[5]。核以外の部分には実体がなく、ダブルハーケンやグレートブーメランの投擲といった通常攻撃ではダメージを与えられない。ブレストバーンと反重力ストームでエネルギーを分解・吹き飛ばされながらもグレンダイザーに体当たりを敢行するが躱されてしまい、母艦に激突してもろともに爆発四散する。

スタッフ 編集

主題歌・挿入歌 編集

オープニング映像では、作詞に保富康午小池一雄がクレジットされていたが、小池作詞による歌は使用されなかった。

以下、全曲とも『UFOロボ グレンダイザー』より。

オープニングテーマ「宇宙の王者グレンダイザー」
作詞:保富康午 / 作曲:菊池俊輔 / 編曲:森岡賢一郎 / 歌:ささきいさおこおろぎ'73
TV版オープニング「とべ! グレンダイザー」は使用せず。
挿入歌「きみこそ勇者」
作詞:早乙女達人 / 作曲・編曲:菊池俊輔 / 歌:ささきいさお、コロムビアゆりかご会
挿入歌「とべ! グレンダイザー」
作詞:保富康午 / 作曲・編曲:菊池俊輔 / 歌:ささきいさお、コロムビアゆりかご会

同時上映 編集

作品名 原作 (声の)出演 備考
長靴をはいた猫
80日間世界一周
なべおさみ神山卓三滝口順平大塚周夫増山江威子 劇場用新作
ロボコンの大冒険 石森章太郎 山本圭子野田圭一島田歌穂大野しげひさ加藤みどり天本英世
一休さん 藤田淑子宮内幸平桂玲子山田俊司、野田圭一
秘密戦隊ゴレンジャー 石森章太郎 誠直也宮内洋畠山麦小牧りさ伊藤幸雄高原駿雄

ネット配信 編集

映像ソフト化 編集

漫画版 編集

石川賢により、月刊『テレビマガジン4月増刊 8大ヒーロージャンボ号』[10]に『グレンダイザー対グレート・マジンガー』のタイトルで掲載。当時発行された講談社KCコミックス『UFOロボ グレンダイザー』第2巻[11]に「グレンダイザー対グレート・マジンガーの巻PARTII」のタイトルで収録された[注釈 9]。後に大都社より発行された単行本ではタイトルが『魔神の挑戦』に改題されている。 キャラクターや円盤獣の数体が映画版と共通してはいるものの、バイオレンスかつハードな内容や展開はほとんど石川賢のオリジナルと言ってよく、ほぼ別物である。

ストーリー
かつて、フリード星の女子供を人質として捕らえ、返還の交換条件として武器を取り上げ反撃を封じ、返還と称して高空から叩き落とすことで女子供を集中的に殺害する作戦でフリード星を壊滅に追い込んだバレンドスがグレートを強奪。さらにデュークの隙を突いて誘拐した甲児以下デュークの仲間や子供達を、人質としてグレートの全身に縛り付けて攻撃してきた。グレートがグレンダイザーを殴れば指に縛り付けられた人が潰されるなど、反撃するどころか無抵抗でいても犠牲者が出るという非道な作戦の前に、デュークは手も足も出ない。
しかし、誘拐された時に吾郎が隠し持っていたレーザー銃により解放された甲児がグレートの操縦席を狙撃。さらにダイザーがマジンガーブレードを突き入れてバレンドスは地上に落下、多くの殺された人達の恨みを込めたダブルハーケンがバレンドスを八つ裂きにした。

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ a b オープニング映像のクレジットに基づく。
  2. ^ 1975年12月に公開された映画化第1作『UFOロボ グレンダイザー』は、TV本編第7話のブロウアップ版。またこの回の『東映まんがまつり』は一部都市のみの上映であるため、全国公開は本作が初。
  3. ^ 甲児の回想シーンでグレートマジンガーを操縦する同作の主人公、剣鉄也の姿が映るのみ。
  4. ^ a b テレビでのED役名クレジットは、富田は「団兵衛」(牧葉団兵衛)、緒方は「番太」(荒野番太)でクレジットされるが、本作では団兵衛と番太は登場しないため、初めて敵キャラクター名でクレジットされた。
  5. ^ 一見、二枚貝のような開き方にも見えるが蝶番は無く、劇中での横からのアングルで円盤が完全に上下に離れているのが判る。
  6. ^ 月刊『テレビランド』1976年4月号では、腹部から発射するのは“6,000度の高熱線”として紹介しているが[4]、これは劇中の描写と一致しない。
  7. ^ 両腕のシールドは、テレビマガジン誌では「とげつき円盤」の名称で紹介された[2]
  8. ^ 正しくは友永和秀だが、スタッフクレジットでは誤記されている。
  9. ^ PARTI にあたる「グレンダイザー対グレート・マジンガーの巻」は、もともと「グレンダイザー対ダブル=マジンガー」のタイトルで講談社『テレビマガジン1月号増刊 人気ヒーロージャンボ号』[12]に掲載された、石川賢の執筆によるオリジナルの描きおろし読み切り漫画で、講談社KC(TVマガジン)コミックス『UFOロボ グレンダイザー』第1巻[13]に収録される際に、なぜか「グレンダイザー対グレート・マジンガーの巻」と改題されてしまったために、ややこしい状況になっている。

出典 編集

  1. ^ a b 「東映動画 長編アニメ大全集 下巻」(徳間書店)262頁 1978年
  2. ^ a b c d 講談社、月刊『テレビマガジン』1976年4月号、「カラーとじこみブック!『グレンダイザー対グレート・マジンガー』のすべて」16-17頁「これが,2大円盤獣だ!」。
  3. ^ a b c 「MAZINGER'S ENEMY in The MOVIE 『UFOロボ グレンダイザー対グレートマジンガー』」『マジンガーシリーズ 40周年記念公式図録 狂機乱武-機械獣/妖機械獣・戦闘獣・円盤獣/ベガ獣の世界-』グライドメディア(現・大洋図書)、2013年5月31日、194頁。ISBN 978-4-8130-2218-3 
  4. ^ 徳間書店、月刊『テレビランド』1976年4月号、「UFOロボ グレンダイザー対グレート・マジンガー」56頁。
  5. ^ 『ENTERTAINMENT BIBLE.48 スーパーロボット大図鑑1 〜鉄の城編〜』バンダイ、1992年7月20日、ISBN 4-89189-228-5、「MAZINの系譜」133頁。
  6. ^ 「DVD & VIDEO Selection」『宇宙船』Vol.100(2002年5月号)、朝日ソノラマ、2002年5月1日、102頁、雑誌コード:01843-05。 
  7. ^ <東映まんがまつり>公開の「マジンガーZ」関連劇場版を収めた単巻Blu-ray2タイトルが同日発売
  8. ^ 『MAZINGER THE MOVIE 1973-1976 4Kリマスター版 豪華版』(4K ULTRA HD Blu-ray2枚 & Blu-ray Disc2枚 & Blu-ray Bonus Disc1枚 5枚組)USTD40407、東映ビデオ株式会社、2023年8月9日。
  9. ^ 『MAZINGER THE MOVIE 1973-1976 4Kリマスター版』(4K ULTRA HD Blu-ray & Blu-ray Disc 4枚組)USTD20724、東映ビデオ株式会社、2023年8月9日。
  10. ^ 講談社『テレビマガジン』4月号増刊「8大ヒーロージャンボ号」1976年3月15日発売(奥付表記では1976年4月15日発行)。
  11. ^ ダイナミックプロ・著、講談社KC(TVマガジン)コミックス(KCT805)『UFOロボ グレンダイザー』第2巻、ISBNコードなし、1976年11月25日発行。
  12. ^ 講談社『テレビマガジン』1月号増刊「人気ヒーロージャンボ号」1975年12月15日発売(奥付表記では1976年1月15日発行)。
  13. ^ 永井豪とダイナミックプロ・著、講談社KC(TVマガジン)コミックス(KCT802)『UFOロボ グレンダイザー』第1巻、ISBNコードなし、1976年10月1日発行。

関連項目 編集

外部リンク 編集