ゲイリー・サンチェス

ドミニカ共和国の野球選手 (1992 - )

ゲイリー・サンチェス・ヘレーラGary Sánchez Herrera, 1992年12月2日 - )は、ドミニカ共和国サントドミンゴ出身のプロ野球選手捕手)。右投右打。MLBミルウォーキー・ブルワーズ所属。愛称はクラーケン[1]

ゲイリー・サンチェス
Gary Sánchez
ミルウォーキー・ブルワーズ #99
ニューヨーク・ヤンキース時代
(2016年9月27日)
基本情報
国籍 ドミニカ共和国の旗 ドミニカ共和国
出身地 サントドミンゴ
生年月日 (1992-12-02) 1992年12月2日(31歳)
身長
体重
6' 2" =約188 cm
230 lb =約104.3 kg
選手情報
投球・打席 右投右打
ポジション 捕手
プロ入り 2009年 アマチュアFA
初出場 2015年10月3日
年俸 $3,000,000(2024年)
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)
国際大会
代表チーム ドミニカ共和国の旗 ドミニカ共和国
WBC 2023年

ニューヨーク・ヤンキースの捕手の歴代最多シーズン本塁打記録を持つ。

経歴 編集

プロ入りとヤンキース時代 編集

2009年6月20日にアマチュア・フリーエージェントでニューヨーク・ヤンキースと契約してプロ入り。

2010年マイナーリーグのルーキー級ガルフ・コーストリーグ・ヤンキースとA-級スタテンアイランド・ヤンキースでプレーした。

2011年はA級チャールストン・リバードッグスでプレーした。

2012年はA級チャールストンとA+級タンパ・ヤンキースでプレーした。

2013年はA+級タンパでプレー後、8月3日からAA級トレントン・サンダーに昇格[2]。シーズン終了後の11月20日に自身初の40人枠入りを果たした[3]

2014年3月12日にAA級トレントンへ異動した。

2015年、マイナーではAA級トレントンとAAA級スクラントン・ウィルクスバリ・レイルライダースでプレーした。マイナーのシーズン終了後の9月12日にメジャー初昇格を果たし、10月3日のボルチモア・オリオールズ戦でメジャーデビュー[4]。その後もう1試合に出場し、計2試合でメジャーの経験を積んだ。

2016年は8月に入ると常時出場機会を得るようになった[5]。このチャンスを掴んだサンチェスは打率.389、11本塁打、21打点という新人離れの好成績を記録。捕手では史上初のプレイヤー・オブ・ザ・マンス(月間MVP)とルーキー・オブ・ザ・マンス(月間最優秀新人)の同時受賞を達成した[6]。デビューから51試合目で20本塁打に達し、ウォーリー・バーガー英語版と並んでMLB史上最速タイの記録だった[7]。53試合の出場で打率.299、20本塁打、42打点を記録した。

2017年はシーズン開幕前の2月7日にシーズンを優先するため、第4回WBCドミニカ共和国代表への不参加の意思を表明した[8]。シーズンでは8月24日のタイガース戦で5回にマイケル・フルマーから死球を受け、6回裏にトミー・ケインリーが報復としてミゲル・カブレラに対して背後を通過する投球を行い退場になった際に、カブレラがオースティン・ロマインと口論になり殴打し、両チームから選手が入り乱れる乱闘になった際に、サンチェスもカブレラを殴打した[9]。8月25日にMLBより4試合の出場停止処分を受けた[10]。9月14日のオリオールズ戦でシーズン31号本塁打を放ち、ヨギ・ベラ1952年1956年)およびホルヘ・ポサダ2003年)が記録した捕手のシーズン本塁打球団記録を更新した[11]。最終的には自身初めて規定打席に到達し、122試合の出場で打率.278、33本塁打、90打点を記録した。

2018年4月26日にミネソタ・ツインズの守護神のフェルナンド・ロドニーから自身初のサヨナラ本塁打となる3点本塁打を打ち、チームは4-3で勝利した[12]。2018年6月24日に、一塁を踏んだ際に鼠蹊部を故障した。その後、故障者リストに入ったため、控え捕手としてロマインが昇格した。7月24日に同じ鼠蹊部の容態が悪化したため、再び故障者リストに入った[13]。レギュラーシーズンでは、89試合に出場して打率.186、18本塁打、53打点を記録した。オフの11月8日に利き腕ではない左肩の手術を受けた[14]

2019年8月23日のロサンゼルス・ドジャース戦で通算100本塁打を記録したが、通算試合数としてはライアン・ハワードに次ぐ歴代2位の355試合という早さであった[15]。9月3日のレンジャーズ戦では1試合2本塁打を記録し、シーズン34号本塁打で自身の持つ捕手としての球団記録を更新した[16]。規定打席には到達しなかったが、106試合で打率.232、34本塁打、77打点などを記録した。

2020年新型コロナウイルスの影響で60試合の短縮シーズンとなる中で成績を落とし、49試合で打率.147、10本塁打、24打点だった[17]。9月には、監督のアーロン・ブーンによりベンチに下げられ、控え捕手の立場に追いやられる事もあった[18]。守備面では、MLBで最多の6失策を記録した[19][20]

ツインズ時代 編集

2022年3月13日にジョシュ・ドナルドソンアイザイア・カイナー=ファレファベン・ロートベットとのトレードで、ジオ・ウルシェラと共にミネソタ・ツインズへ移籍した[21]。オフの11月6日にFAとなった[22]

ジャイアンツ傘下時代 編集

2023年4月1日にサンフランシスコ・ジャイアンツとマイナー契約を結んだ。AAA級サクラメント・リバーキャッツで16試合に出場し、打率.164、0本塁打、8打点という成績に終わり、5月2日に契約を自らオプトアウトし自由契約となった[23]

メッツ時代 編集

2023年5月9日にニューヨーク・メッツとマイナー契約を結んだ。AAA級シラキュース・メッツで8試合に出場し、打率.380、1本塁打、5打点を記録。5月21日にメジャー契約を結び、その日のクリーブランド・ガーディアンズ戦で移籍後初出場となった[24]。5月25日にDFAとなった[25]。3試合の出場で打率.167、1打点だった。

パドレス時代 編集

2023年5月29日にウェイバー公示を経てサンディエゴ・パドレスに移籍した[26]。オフの11月3日にFAとなった[27]

ブルワーズ時代 編集

2024年2月22日にミルウォーキー・ブルワーズと300万ドルの単年契約を結んだ[28]。オプションとして最大700万ドルの出来高が含まれ、2025年の契約は相互オプションとなる[29]

選手としての特徴 編集

MLBでは通算.391の盗塁阻止率を誇る強肩が持ち味で、二塁送球時の球速は2017年最速(86.6マイル)を記録したこともある[30]一方、捕球面で捕逸暴投の多さに課題があり、メジャー昇格当時の監督だったジョー・ジラルディにも苦言を呈された[31]

「持っている素材・素質は抜けている」と松井秀喜が語った[32]ように、未来のスターとして期待されたヤンキースの正捕手候補だった。

打率は高くないが、打球を速く遠くに飛ばすことができ、歴代2番目の早さとなる355試合で100本塁打を記録する[15]

詳細情報 編集

年度別打撃成績 編集

















































O
P
S
2015 NYY 2 2 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 .000 .000 .000 .000
2016 53 229 201 34 60 12 0 20 132 42 1 0 0 2 24 2 2 57 5 .299 .376 .657 1.032
2017 122 525 471 79 131 20 0 33 250 90 2 1 0 4 40 1 10 120 9 .278 .345 .531 .876
2018 89 374 323 51 60 17 0 18 131 53 1 0 0 2 46 0 3 94 10 .186 .291 .406 .697
2019 106 446 396 62 92 12 1 34 208 77 0 1 0 1 40 3 9 125 3 .232 .316 .525 .841
2020 49 178 156 19 23 4 0 10 57 24 0 0 0 0 18 0 4 64 6 .147 .253 .365 .618
2021 117 440 383 54 78 13 1 23 162 54 0 0 0 0 52 3 5 121 14 .204 .307 .423 .730
2022 MIN 128 471 419 42 86 24 0 16 158 61 2 0 0 5 40 0 7 136 12 .205 .282 .377 .659
2023 NYM 3 7 6 0 1 0 0 0 1 1 0 0 0 1 0 0 0 3 0 .167 .143 .167 .310
SD 72 260 234 33 51 9 0 19 117 46 0 0 0 1 21 0 4 64 3 .218 .292 .500 .792
'23計 75 267 240 33 52 9 0 19 118 47 0 0 0 2 21 0 4 67 3 .217 .288 .492 .780
MLB:9年 741 2932 2591 374 582 111 2 173 1216 448 6 2 0 16 281 9 44 785 62 .225 .309 .469 .778
  • 2023年度シーズン終了時

年度別守備成績 編集



捕手(C) 一塁(1B)


































2016 NYY 36 304 34 3 1 .991 6 32 19 13 .406 -
2017 104 935 60 13 4 .987 16 60 37 23 .383 2 7 0 0 1 1.000
2018 76 731 35 6 5 .992 18 40 28 12 .300 -
2019 90 793 32 15 5 .982 7 47 36 11 .234 -
2020 41 347 14 6 2 .984 5 18 13 5 .278 -
2021 110 932 54 6 1 .994 8 60 50 10 .167 -
2022 MIN 91 678 37 4 4 .994 4 50 36 14 .280 1 0 1 0 0 1.000
2023 NYM 3 17 0 0 0 1.000 1 0 0 0 ---- -
SD 63 557 39 3 2 .995 4 48 38 10 .208 -
'23計 66 574 39 3 2 .995 5 48 38 10 .208 -
MLB 614 5294 305 56 24 .990 69 356 258 98 .275 3 7 1 0 1 1.000
  • 2023年度シーズン終了時
  • 各年度の太字はリーグ最高

表彰 編集

記録 編集

MiLB
MLB

背番号 編集

  • 73(2015年)
  • 57(2016年 - 同年途中)
  • 24(2016年途中 - 2022年)
  • 33(2023年5月21日 - 23日)
  • 99(2023年5月30日 - )

代表歴 編集

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 通称「新人ベストナイン」。選出対象となる新人扱い選手を両リーグ統一した中で、各守備位置ごとに各球団監督の投票により選出される(例えばシルバースラッガー賞のように各リーグごとに選出されるのではない)。

出典 編集

  1. ^ Yanks Players Weekend nicknames explained MLB.com (英語) (2017年8月24日) 2017年8月27日閲覧
  2. ^ Top prospect promoted to Double-A ESPN New York
  3. ^ Yanks make deal with Padres, add six to 40-man roster MLB.com
  4. ^ Yankees stomped, 9-2, by Baltimore Orioles - Rapid reaction”. NJ.com (2015年10月3日). 2015年10月4日閲覧。
  5. ^ Gary Sanchez 2016 Batting Gamelogs - Baseball-Reference.com (英語) . 2016年10月6日閲覧
  6. ^ マー君女房のサンチェスが最優秀新人&月間MVP”. 日刊スポーツ (2016年9月4日). 2016年10月6日閲覧。
  7. ^ ヤンキース 新人サンチェスが86年ぶり最速記録 51試合で20発”. スポニチ Sponichi Annex 野球 (2016年9月28日). 2016年10月6日閲覧。
  8. ^ Sanchez won't play in World Baseball Classic World Baseball Classic (英語) (2017年2月7日) 2017年3月4日閲覧
  9. ^ Yanks-Tigers dust up a prelude to punishment MLB.com (英語) (2017年8月24日) 2017年8月25日閲覧
  10. ^ タイガースVSヤンキース大乱闘で5人に出場停止処分 カブレラは7試合スポーツニッポン (2017年8月26日) 2017年8月26日閲覧
  11. ^ Judge's 2 HRs fuel power show, rout of O's MLB.com (英語) (2017年9月15日) 2017年10月19日閲覧
  12. ^ Gary Sanchez hits walk-off HR as Yankees complete 4-game sweep against Twins”. MLB. 2018年4月26日閲覧。
  13. ^ Gary Sanchez reaggravates groin, placed on DL”. MLB. 2018年7月24日閲覧。
  14. ^ ヤンキースのサンチェスが左肩手術=米大リーグ”. 時事通信社 (2018年11月9日). 2019年10月16日閲覧。
  15. ^ a b c ゲーリー・サンチェス捕手最速100本塁打 ヤンキース「クラーケン」がピアザ超え”. 中日スポーツ (2019年8月24日). 2019年10月16日閲覧。
  16. ^ ヤンキース・サンチェス、捕手としての球団最多HR更新 レジェンド超える偉業に「名誉あること」”. ベースボールチャンネル. 2019年9月9日閲覧。
  17. ^ Gary Sánchez Stats”. baseball-reference.com. Sports Reference, LLC.. 2020年10月6日閲覧。
  18. ^ Gary Sanchez’s Yankees benching has no end in sight”. nypost.com. NYP Holdings, Inc.. 2020年10月6日閲覧。
  19. ^ 2020 American League Catcher”. Baseball-Reference.com. 2021年2月24日閲覧。
  20. ^ 2020 Major League Baseball Fielding Leaders”. Baseball-Reference.com. 2021年2月24日閲覧。
  21. ^ Press release: Twins acquire Gary Sánchez and Gio Urshela from Yankees”. www.mlb.com. 2022年3月14日閲覧。
  22. ^ 131 Players Become XX(B) Free Agents” (英語). mlbplayers.com (2022年11月6日). 2022年11月14日閲覧。
  23. ^ Darragh McDonald (2023年5月2日). “Gary Sánchez Opts Out Of Giants Deal”. MLB Trade Rumors. 2023年5月3日閲覧。
  24. ^ “元球宴捕手サンチェスがメッツでメジャー復帰、捕手陣の貧打改善に期待”. 日刊スポーツ. (2023年5月20日). https://www.nikkansports.com/baseball/mlb/news/202305200000152.html 2023年5月27日閲覧。 
  25. ^ “メッツ、ベテラン捕手サンチェスをDFAに 19日にメジャー復帰果たすも3試合出場で終了”. 日刊スポーツ. (2023年5月26日). https://www.nikkansports.com/baseball/mlb/news/202305260000325.html 2023年5月27日閲覧。 
  26. ^ “パドレス、通算154本塁打の捕手サンチェスを獲得 ヤンキースでは田中将大ともバッテリー経験”. 日刊スポーツ. (2023年5月30日). https://www.nikkansports.com/baseball/mlb/news/202305300000112.html 2023年6月9日閲覧。 
  27. ^ 130 Players Become XX(B) Free Agents” (英語). Home (2023年11月3日). 2023年11月10日閲覧。
  28. ^ Brewers sign two-time All-Star catcher Gary Sánchez” (英語). MLB.com. 2024年2月23日閲覧。
  29. ^ Brewers, Gary Sanchez Finalizing Restructured Deal” (英語). MLB Trade Rumors (2024年2月21日). 2024年2月23日閲覧。
  30. ^ [1]【MLB】167キロ超に168キロ超! 今季メジャー最速送球は23歳ルーキーが“2冠”[リンク切れ]
  31. ^ Gary Sanchez has to grow out of his bad habits”. New York Post (2017年8月5日). 2023年5月3日閲覧。
  32. ^ [2]松井秀喜氏が語るジャッジの凄さ 特別インタビュー(中)「素質は抜けていた」[リンク切れ]

関連項目 編集

外部リンク 編集