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ゲバ字の例。「石垣撤去反対」の字体がゲバ字である(2005年)

ゲバ字(ゲバじ)とは、日本の新左翼が好んで用いていた書体。「ゲバ」とは、「暴力」などを意味するドイツ語の単語「ゲバルト」(Gewalt - 発音は「ゲヴァルトゥ」、日では特に左翼学生運動用語として使われ、暴力行為を意味する)の略。「トロ字」(「トロツキストの字」の意)とも。

目次

概要編集

 
典型的なゲバ字の例(1991年)

1960年代の学生紛争当時、大量のビラを作成するのに謄写版が使われていた。そのため、筆跡で身元が割れてしまう可能性があり、公安警察や敵対党派の追及をかわすために開発されたものといわれている。[要出典]また、謄写版では細かい字が出にくいため「職」を「耳厶(=𫟉[1])」と簡略化したり、遠目から見ても字が潰れにくいように枡目を一杯に使って書かれている。[要出典]ビラの他に立て看板や党派のロゴとしても使われた。[要出典]

それとは別に、戦前無産政党共産党が使っていた書体からきているという説もある。[要出典]

1960年代の学生運動でよく使われたが、学生が社会人になる1970年代以降はあまり使われなくなった。[要出典]2000年代以降も使われており、パソコンなどで利用できるゲバ文字フォントも存在する。

ゲバ字で使われた略字は当時「全学連漢字」とも呼ばれた[2]本来日本語として誤り[要出典]であるが、社会人になってもゲバ字に特徴的な略字を使う人がおり[要出典]一部から批判されつつも日本語として定着している。[要出典]

特徴編集

 
「評言ギ会」「斗争」などの特徴的な略字が用いられる(1967年)
  • 典型的なゲバ字では、ハライなどの曲線、短い線や点やハネ、鋭角など、鉄筆では刻みづらい部分や謄写版でつぶれやすい部分がなるべく無いように工夫されており、角ばった印象を与える。また、鉄筆では字の角の部分の線の合わせ目をぴったり合わせるのが難しいため、片方の線が突き抜けるなど、字の角が必要以上に強調される。ただしコピー機の普及以降は普通のゴシック体に近いものも存在している(「角丸ゴシック」をもじって「革マルゴシック」とも)。太マジックで書いてコピー機にかけた時につぶれにくいような横線を強調したゲバ字も存在している。[要出典]
    • 「去」の「ム」部を大きくして角度をなるべく大きく取る、「会」の「𠆢」部を3画にして鈍角にする、「万才」のハネを大きくとる[要出典]
    • 「自」の縦線が突き抜ける[要出典]
  • 「働→仂」など略字を好んで用いていた。元々は謄写版で印刷時につぶれないように書かざるを得なかったことに由来するが、手書きの立て看板などでもあえて謄写版のような力強く角ばった書体で書き、その上で特徴的な略字が使われることが多い。字がつぶれる心配のない細字の時ですら特徴的な略字が使われるので細ゴシック体などではなくゲバ字だと判別できる。[要出典]
  • 党派によって書体が微妙に異なる。使われている略字も微妙に異なる。[要出典]
  • つくりの部分や冠部の下部などにカタカナやアルファベットを用いる。もしくは書かずに省略する。[要出典]
  • 毛沢東主義の影響からか、中国の簡体字そのままの字も多い。[要出典]
  • 以上の結果として、党派ごとの略字や簡体字などが入り混じった独特のフォントになる。[要出典]
    • 「個別的自衛権→イロ(=㐰)別的自彳エ

有名な使用例編集

 
ゲバヘルとゲバ棒を身に着けた当時の若者たち(1968年)

当時の日本の芸術作品でゲバ字が使われたものはかなり多く、例えば『社長えんま帖』(1969年)では当時のスター(現在で言うところのアイドル)女優の岡田可愛ゲバヘル(ゲバ字でセクトの名前やスローガンなどが書かれたヘルメット)をかぶっているなど、ゲバヘルなどの形でアイドルやミュージシャンのファッションとしても活用されたフォントである。ゲバヘルをトレードマークとするミュージシャンにはザ・タイマーズなどがある。

また、海外のクリエータによる有名な使用例は次のようなものがある。

  • 表徴の帝国』(1970年) - ロラン・バルトの作品。「暴力の表現体」としてゲバヘルが取り上げられており、ヘルメットに書かれた「全学連」のゲバ字や、つぶれた「C」のようなマーク(中央大学のマークによく似ている)が印象的。

関連項目編集

  • 公団文字 - ゲバ字と同じく、1960年代の日本を象徴するフォント。1963年制定
  • 機械彫刻用標準書体 - ゲバ字と同じく、1960年代の日本を象徴するフォント。1963年制定
  • HG創英角ポップ体 - 看板などをDTPで作る事が一般化した21世紀以降、ゲバ字が使われたであろう場面でしばしば用いられるフォント。

参照編集

  1. ^ U+2B7C9
  2. ^ 週刊ポスト1971年5月21日号の特集
  3. ^ U+803A【JIS X 0212】53区63点

外部リンク編集