コクサン (自走砲)

コクサン(곡산、Koksan)は、北朝鮮によって開発・製造された自走砲朝鮮人民軍で使用されているほか、少数が輸出された。

主体砲
170mm M1989 Koksan - North Korea Victory Day-2013 03.jpg
2013年の戦勝記念日パレードに登場したM1989。主砲基部に「主体砲」と書かれた銘板が見える。
各種表記
ハングル 주체포
漢字 主体砲
発音 チュチェポ
日本語読み: しゅたいほう
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概要編集

コクサン(Koksan)の名称は北朝鮮南央部の黄海北道谷山(コクサン)郡で初めて確認されたことからアメリカ国防総省が名づけたもので、朝鮮人民軍での正式名は「主体砲(주체포:チュチェポ)」とされている。

1978年に確認されたM1978と、1989年に確認されたM1989の2種類が存在する。主砲はいずれも170mm カノン砲で、射程は通常砲弾で約40km、RAP(Rocket Assisted Projectiles:ロケット補助推進)弾を使用した場合には最大約60kmと推定され、RAP弾を用いれば北朝鮮領内からソウル特別市砲撃することが可能である。

本来は沿岸砲であった170mm カノン砲を、既存の車両の車体に搭載して自走砲としたもので、自走砲化した経緯は不明だが、CSS-N-3 シルクワーム地対艦ミサイルの配備により、沿岸砲が余剰になったために自走砲として転用したと考えられている[1]多連装ロケット砲とともに軍事境界線に沿って多数が配備されており、軍事境界線以北の北朝鮮領内から韓国領内を直接攻撃することが常時可能となっている。

少数だが、輸出も行われており、M1978は約20両がイランに輸出され、イラン・イラク戦争アメリカ製のM107 175mm自走カノン砲とともにイラン領内からイラク領土内の都市油田への長距離戦略砲撃に使用された。その際にイラクが鹵獲した車体が湾岸戦争後に発見されている。

各型編集

M1978編集

 
M1978(イラク鹵獲したイラン軍の車両)

「コクサン」の識別名称が与えられた最初の車両で、59式戦車の車体に170mm カノン砲沿岸砲)をオープントップ方式で搭載している。車体後部に射撃時に車体を安定させるための駐鋤を、車体前部に長大な砲身を移動時に固定するためのトラベリング・ロックを追加装備している。

沿岸砲を砲架ごと直接戦車の車体に搭載した単純な構造の車両であり、操縦席とその隣に増設した車長席以外の兵員弾薬の搭載スペースを持たないことから、砲弾や砲操作人員は別途輸送する形で運用されると見られる。

1990年代以後はM1989と交代して退役したとされている[1]

M1989編集

 
2013年の戦勝記念日パレードに登場したM1989
 
M1989の車体部の原型である、ATS-59砲兵牽引車(G型)

M1978の後継として開発されたと見られている車両で、M1978以外の北朝鮮自走砲に共通して用いられている「トクチョン」装甲車両(ソ連ATS-59砲兵トラクターを北朝鮮が国産化したもの)をベースに前後に大型化した車体に170mm砲を搭載したものであり、、外観はソ連の2S7ピオン 203mm自走カノン砲に類似している。

車体前部にはキューポラを有する操縦席と車長席が設置され、後部に駐鋤を装備している。主砲はM1978に比べて若干小型化された砲架によって車体後部に搭載されており、車体前部の操縦席区画と砲架部の間にも乗員区画があることから、砲操作要員および弾薬はこの部分に搭載していると見られる。これにより、単独での運用が可能になっていると推測されている。

公開されている写真や映像では、車体の形状が微妙に異なるものが数種確認でき、何種類かのバリエーションがあると見られているが、詳細は不明である。

参考文献・出典編集

  1. ^ a b 日本兵器研究会 編『世界の装軌装甲車カタログ』三修社 2001年 ISBN 4-384-02660-9

関連項目編集

外部リンク編集