コケタンポポ学名Solenogyne mikadoi)は、キク科コケタンポポ属多年草草本[3][5][6][7]。日本の固有種である[3][4][8]

コケタンポポ
鹿児島県奄美大島 2009年5月
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : キク類 asterids
階級なし : キキョウ類 campanulids
: キク目 Asterales
: キク科 Asteraceae
亜科 : キク亜科 Asteroideae
: コケタンポポ属 Solenogyne
: コケタンポポ S. mikadoi
学名
Solenogyne mikadoi (Koidz.) Koidz.[1][2][3]
シノニム

Lagenophora mikadoi (Koidz.) Koidz. ex H.Koyama

和名
コケタンポポ[1][2][3][4]

分類 編集

本種は、コケセンボンギク属 Lagenophora に含められる事も多い[4][9][8][10]

コケセンボンギク属に含める場合の学名は Lagenophora mikadoi (Koidz.) Koidz. ex H.Koyama である[4][9][8]

ここでは、自生地である日本のレッドリストで採用されている Solenogyne mikadoi を採用した。

なお、コケタンポポ属 Solenogyne は、本種の他に3種が確認されているが、それらは全てオーストラリアに分布している(隔離分布[6][11]

特徴 編集

日本琉球列島固有種[4][8]鹿児島県奄美大島[2][5][6]及び徳之島[6]沖縄県沖縄島[2][6]及び西表島[2][6]に分布する。個体数は数千個体と推定されている[3]

小型の多年草で[3][5][6][7]は倒披針状楔形で、羽状に裂けるか、または先端が3裂し、両面共に白色の微毛を持つ、ロゼット状に広がる根生葉である[3][6][7]。花期は7〜9月[3]頭状花序で、高さ1.5〜3cm程度の花茎1つにつき直径1.5mm程度の、白または淡黄色の数個の管状花をつける[3][6][7]果実痩果で、長さ1.5mm程度で無毛である[3][6][7]

染色体数は2n = 18[4][8]

生育環境は日当たりの良い渓流の岩上で[4][3][5][6]、葉の複雑な形状からも分かるとおり渓流植物である[3][5][6][注 1]

自生地の1つは「安波のタナガーグムイの植物群落」(沖縄県国頭村)として国の天然記念物に指定されているが、この植物群落を特徴づける植物として本種があげられている[12][13]

和名の由来は「」のように小さな「タンポポ」に似た植物であるからだと言われている[14]

保全状況評価 編集

レッドリスト
環境省第4次レッドリスト
地方自治体におけるレッドデータブック / レッドリスト
天然記念物

生息地が限られていること、個体数が少ないこと、森林の伐採やダム建設等の河川開発による生育環境の改変(水没または乾燥化)により、個体数の減少が懸念されている[3][5][6]。また、人の踏みつけによる影響も確認されている[6]

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 野の花賛花に掲載されている画像を参照。

出典 編集

  1. ^ a b 邑田監修・米倉著(2012、222頁)
  2. ^ a b c d e 初島・天野(1994、234頁)
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n 環境省(2015、538頁)
  4. ^ a b c d e f g Koyama, H.「Lagenophora mikadoi コケタンポポ」『Flora of Japan Database(日本植物誌データベース)日本植物分類学会(2015年4月30日閲覧)
  5. ^ a b c d e f g 鹿児島県編(2003、343-344頁)
  6. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 横田・平岩(2006、179頁)
  7. ^ a b c d e 初島(1975、621頁)
  8. ^ a b c d e 島袋敬一(1997年、574頁)
  9. ^ a b the Royal Botanic Gardens, Kew and Missouri Botanical GardenLagenophora mikadoi」『The Plant List』(2015年4月30日閲覧)
  10. ^ 大場編著(2010、240頁)
  11. ^ 渡辺(1994、1-117頁)
  12. ^ a b c d 文化庁「安波のタナガーグムイの植物群落」『国指定文化財等データベース 』(2015年4月30日閲覧)
  13. ^ a b c 新納(1995、146頁)
  14. ^ 多和田監修・池原著(1979、225頁)
  15. ^ 環境省報道発表資料『第4次レッドリストの公表について(お知らせ)』、平成24年8月28日。

参考文献 編集

関連項目 編集

外部リンク 編集