114Naは、かつてポーランドに存在した鉄道車両メーカーのコンスタルポーランド語版(現:アルストム・コンスタル)が開発した路面電車車両。車内の一部がバリアフリーに適した低床構造となっている連接車である[1][2][3][4]

コンスタル114Na
114Na(1502、2006年撮影)
基本情報
製造所 コンスタルポーランド語版
製造年 1997年
製造数 2両(1501、1502)
投入先 グダニスク市電
主要諸元
編成 3車体連接車
軸配置 Bo'Bo'Bo'Bo'
軌間 1,435 mm
電気方式 直流600 V
架空電車線方式
設計最高速度 70 km/h
車両定員 280人(着席36人)
車両重量 34.0 t
全長 26,000 mm
全幅 2,400 mm
全高 3,360 mm
車体高 3,060 mm
床面高さ 890 mm(高床部分)
340 mm(低床部分)
(低床率15 %)
車輪径 654 mm
固定軸距 1,900 mm
台車中心間距離 6,000 mm
6,300 mm(連接台車間)
主電動機 直流電動機
主電動機出力 40 kw
出力 320 kw
制御方式 電機子チョッパ制御
制動装置 回生ブレーキ
備考 主要数値は[1][2][3][4][5][6]に基づく。
テンプレートを表示

概要 編集

ポーランドの鉄道車両メーカーであり、社会主義国家時代の路面電車車両製造を独占的に担っていたコンスタルポーランド語版は、1990年代以降バリアフリーに適した超低床電車の開発に取り掛かった。1995年に最初の車両となる112Nが製造された後、改良型車両として開発された第2の試作車が114Nである[1][3][7]

112Nとの最大の相違点は編成が片運転台式の3車体連接車に改められた事で、中間車体の乗降扉付近、車内全体の15 %が床上高さ340 mmの低床構造となっており(部分超低床電車)、車椅子が固定可能なフリースペースが設置されている。それ以外の箇所は床上高さ890 mmの高床構造となっており、双方の間には3段のステップが設置されているが、このステップについても112Nから幅が広くなっている他右側面に寄せて配置されており、往来の容易さが図られている。車内には暖房が設置されている一方で冷房装置は搭載されておらず、夏季の温度調節は開閉可能な側窓による自然換気によって行われる[1][4]

電気機器や台車については112Nと同様の機構が採用され、制御装置に電機子チョッパ制御を用いる事で回生ブレーキの使用を可能にしており、電力消費量が抑えられている[3][4]

運用 編集

1997年に2両が製造されて以降、グダニスク市内を走るグダニスク市電で使用されており、それぞれ「1501」「1502」の形式名が与えられている。製造当初、制御装置はIGBTトランジスタが用いられていたが、初期故障が頻発した事を受けてGTOサイリスタへの変更工事が行われた。また、1501は2012年モダトランスによる大規模なリニューアル工事が実施され、前面形状が変更された他、座席や側窓の交換も実施された。一方、1502についても2016年から2017年にかけて運転台や座席、車内情報案内装置の更新が行われたが、グダニスク市電初の超低床電車と言う歴史的価値を考慮して車体の改造は行われず、撤去された旧来の部品も将来の動態保存に向けて保管されている[4][5][6][8]

関連形式 編集

  • その他コンスタル(→アルストム・コンスタル)製の超低床路面電車[3]

脚注 編集

注釈 編集

出典 編集

  1. ^ a b c d Zbigniew Rusak 2000, p. 26-27.
  2. ^ a b Zbigniew Rusak 2000, p. 32.
  3. ^ a b c d e Marek Graff 2015, p. 50.
  4. ^ a b c d e Marek Graff 2015, p. 51.
  5. ^ a b Emil Włuka (2018年9月14日). “Tramwaje 112N i 114Na – pierwsze polskie niskopodłogowce”. zbiorowy.info. 2020年6月18日閲覧。
  6. ^ a b Jacek Pudło (2013年10月15日). “Niskopodłogowe tramwaje w Polsce w 2013 r.”. InfoTram. 2020年6月18日閲覧。
  7. ^ Marek Graff 2015, p. 49.
  8. ^ Gdański 114Na 1502 już po remoncie”. InfoTram (2017年8月1日). 2020年6月18日閲覧。

参考資料 編集