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コンポーネントステレオ

画像提供依頼:単品コンポによるコンポーネントステレオやミニコンポ等の画像提供をお願いします。2010年6月

コンポーネントステレオ和製英語: component stereo, 英語: stereo component system)はユーザーが機能ごとにコンポーネント機器(レコードプレーヤーCDプレーヤーラジオチューナーレコーダーアンプスピーカーなど)を購入して構成する「ステレオ装置」[1]である。「コンポ」という略称もあるが、この略称は今日ではミニコンポに対して用いられる場合が多い。

フルサイズのコンポーネント機器は 19インチラック収容の業務用機器に範をとった幅 19 インチ (482.6 mm)、またはここからマウント用の耳の分を除いた幅 17 インチ (431.8 mm) 程度の大きさが一般的。ただし操作部が上面にあるなど積み重ねられることのない機器や、離れた場所に設置されるスピーカーはこの限りではない。幅を 35 cm 程度以下とした小型のものは「ミニコンポ」と呼ばれる。

いわゆるオーディオマニアが購入する高級オーディオ機器は通常フルサイズのコンポーネント機器である。

歴史編集

アンサンブル型、セパレート型からコンポーネントへ編集

コンポーネントステレオ自体は古くから存在しており、 1958年に日本ビクター(現JVCケンウッド)から発売された日本最初のステレオレコード再生装置[2] STL-1S (¥77,000-) もレコードプレーヤー・インテグレーテッドアンプ・ 20 cm フルレンジバスレフ型スピーカーシステム 2 台の計 4 点[3]からなるコンポーネントスタイルだった。しかしこれは価格的にもサイズ的にもおいそれと買えるようなものではなかった。

1959年にやはり日本ビクターから「皇太子殿下・美智子妃御成婚記念モデル」と銘打って発売されたアンサンブル型ステレオ STL-3 (¥47,800-) は、大卒初任給が 12,700 円の時代に依然として高価だったにもかかわらず大ヒットとなり、ここにアンサンブル型がステレオの定番として定着した。アンサンブル型とはレコードプレーヤー・ラジオチューナー・アンプ・スピーカーなどがすべて一体化されたタイプである。大形のセットで一体化するとあまりに巨大で重くなってしまうため、必然的に比較的小形のセットに限定される(当時は真空管時代であり、小形といってもそこそこの大きさがあった)。またスピーカーまで一体化されているためレコードプレーヤーに振動が伝わり、音響的には悪条件となる。このため特にレコードの再生で音質が悪く、後に廃れることになるが、ともかく一時代を築いた。 CD ラジカセなどの祖先ともいえる。

1960年には福音電機(現パイオニア)からセパレート型ステレオ PSC-1 が限定発売された(価格不明。 1962年にパイオニアから発売された PSC-5A は¥83,000-)。セパレート型とはアンサンブル型から左右のスピーカーを分離したもので、これによりセットを大形化することが可能となり、またスピーカーの振動が伝わらなくなることで音質が格段に向上する。しかしその分大がかりで高価なものとなってしまい、当初はあまり売れなかった。しかし日本が豊かになるにつれアンサンブル型との違いが知られることとなり、また家具調度としての見栄えも良く、 1960年代後期にはアンサンブル型は廃れ、セパレート型がとって代わった。

アンサンブル型ステレオやセパレート型ステレオはその大きさとデザインから「家具調ステレオ」とも呼ばれるが、その一方で 1960年代後期くらいから「卓上セパレート」「モジュラーステレオ」などと呼ばれる小形のステレオ装置が登場してきた。真空管に代わって新しく使えるようになったトランジスタを用い、セパレート型を卓上サイズにしたもので、それまでの「家具」からの脱却が見られる。後のミニコンポの祖先ともいえる。

コンポーネントステレオは欧米では先行して普及していた。しかし真空管回路では信号系のトランスに使用する日本製のコアが劣悪で、日本製のコンポーネント機器は欧米では全く勝負にならなかった。ところがトランジスタが実用になると信号系のトランスが不要になる。まさに欧米に打って出る千載一遇のチャンスが訪れたのである。 1965年にソニーが日本初の全シリコントランジスタステレオアンプ TA-1120 で高級コンポーネントステレオ市場に参入するが、同じ頃、日本の多くの企業が高級コンポーネントステレオに舵を切ったのである。

1973年頃からはセパレート型ステレオに代わり日本でもコンポーネントステレオが主流となった。

派生品編集

システムコンポーネント(シスコン)編集

コンポーネントステレオは本来ユーザーが好みのコンポーネント機器を選んで構成するものだが、セパレート型ステレオが廃れコンポーネントステレオが主流になるとオーディオに特にこだわりのないユーザーもコンポーネントステレオを買うことになり、何をどう選んだらいいかわからない。そこで登場したのが「システムコンポーネント(シスコン)」である。

最初から同一メーカーの一式で購入されることを前提に作られたコンポーネント機器の一群で、本来コンポーネントステレオの発想とは逆のものだが、デザイン的にも統一性があり、特にこだわりのないユーザーにとっては選びやすいものであった。また、一式といっても予算次第でたとえばスピーカーだけを別のものに変更したり、購入した後もコンポーネント機器を追加したり入れ換えたりと融通が利いたので、あながち悪いものでもなかった。

ただしシスコンは入門用あるいはオーディオに特に興味のないユーザー向けの商品とみなされていたので、シスコン用のコンポーネント機器は比較的低価格なものに限られていた。かなり高額なコンポーネント機器のカタログにも「組み合わせ例」としてシスコンのように構成した写真が掲載されていることがあったが、そのような機器を購入するユーザーがそのとおりに構成することはまずなく、単にカタログ上の「組み合わせ例」であった。このようなシスコン用でないコンポーネント機器、およびそれらで構成されるコンポーネントステレオのことを指す、機器がバラバラという意味の「バラコン」という言葉があったが、上品な言葉ではないとされている。

ミニコンポ編集

システムコンポのブームが一段落した後、さらに一回り小さいミニコンポや、もうひと回り小さい「ミニミニコンポ」が現れた。その後に現れた左右のスピーカーと本体という3ピース構成で、ある種のコンポ以前への先祖返りとも言える構成のオーディオシステムまで含め「ミニコンポ」と今日では全てを含めて総称しており、オールインワンタイプの製品に次ぐ普及帯のオーディオ製品となっている。ミニコンポは一般にシスコンである。2010年代には、システムコンポではなく単品コンポ的なスペックとごく小さな筐体サイズ(CDケース数枚分)という新しいコンセプトの製品が、東和電子(Olasonicブランド)からNANOCOMPOという名前で登場した。

自作編集

単機能の機器の組合せであるコンポーネントステレオには、アンプやスピーカなど、自作に向いたどれか1つの単機能の機器のみを自作したものに取り替える、という方法で自作機器を組み入れることができるため、オーディオ自作のためのシステムとして向いているという面がある。

脚注編集

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  1. ^ 今日では「オーディオ装置」「オーディオセット」あるいは単に「オーディオ」と呼ばれることが多い。「ステレオ」は左右 2 ch の信号による立体音響方式を指す用語としては現役だが、ステレオ方式の再生装置を指して「ステレオ」と呼ぶのはやや歴史的である。
  2. ^ モノラルレコードの再生装置は以前からあった。ちょうどこの頃レコードがステレオ化されたのである。
  3. ^ 翌 1959年、さらに AM ステレオチューナーが発売された。このように後から追加できるのもコンポーネントステレオの利点である。