サイゼで喜ぶ彼女

Twitterに投稿されたイラスト

サイゼで喜ぶ彼女(サイゼでよろこぶかのじょ)は、日本イラストレーター、クレハが描いたイラスト。2022年2月8日、SNSTwitterに投稿された[1][2]

『サイゼで喜ぶ彼女』
画像外部リンク
クレハのツイート
作者クレハ
製作年2022年 (2022)
種類デジタル
サイゼリヤで提供されるミラノ風ドリア

イラスト「サイゼで喜ぶ彼女」は、女性がファミリーレストランサイゼリヤで「ミラノ風ドリア」と「エスカルゴのオーブン焼き」を食べて嬉しそうに笑っている姿を第三者視点で描いた構図となっている[2][3][4][5]

概要 編集

イラストが投稿される以前から、男女のデートで男性が女性を食事に誘った先がサイゼリヤや牛丼店などだった場合、女性側として受け入れられるかどうかという、「初デートにサイゼリヤはアリかナシか?」「『サイゼリヤ』でのデートはアリか」などの論争が主にSNS上で数年にわたって再燃を繰り返しながら行われていたことが背景にある[6][7][8]。2022年2月もそうした議論が再燃する中、サイゼリヤで喜ぶ女性を描いたイラストが投稿された。

女性でサイゼリヤデートに否定的な層からは、「男性が求める理想像を押し付けられた」「彼氏にデートでサイゼに連れて行かれたら確実に殴っている」「安いサイゼでデートを済ますのは女性を安く見ている」などの主張があった。デートとは関係なく絵柄を問題視し「女性蔑視」「イラストの女性の胸が大きい」「服装が胸の大きさを強調するデザインである」などの糾弾もなされた[3][9]。一方で、サイゼリヤデートに好意的な男女からは、味や価格で評価の高いサイゼリヤに対して好意的な意見を寄せる人も相次ぎ、イラストへの糾弾については「女性蔑視の意図は存在しない」という指摘もあった。イラストの投稿はSNS上で改めて「サイゼデート」の是非などについて議論になった[2][5][10][8]

なお、「サイゼデート」に関するTwitter上での炎上は繰り返し発生しており、別の人物によって2022年1月中旬に投稿された「初デートに彼女をサイゼリヤに連れていくことなり、彼女が最高に喜んだシーン」の漫画は、描写と台詞に対して不快感を抱いた人々によって炎上した[2]。また、さらに別の人物による「初デートをサイゼにした時の反応で金目狙いの女を排除できる」とするツイートも過去に炎上している[11]

反響 編集

週刊女性PRIME』は、「『女性であること』や『女性としての価値』を置き換える行為・描写に対して向けられた意見はある程度尊重されるべきだ」とした一方で、イラストレーターのクレハの言う通り「彼女とサイゼに行く」ことは関係性・店に行く頻度に依拠する」とする意見を取り上げ、イラストに好意的な女性が多いことや、他者への直接的な迷惑がない限り、趣味・嗜好は尊重されるべきだとする意見も掲載している[3]

ネットでは「#サイゼで喜ぶ彼女」のハッシュタグが生まれ、上原亜衣なな茶花井美理・yamiなどがイラストと同じ構図で撮影した、「実写版」の写真が出回った[3][4][12][13]

「#サイゼで喜ぶ彼女」はトレンド入りもしている[14]。2月16日時点で、元となったクレハのツイートには、2.8万件のリツイート、6751件の引用ツイート、14.2万件のいいねを獲得し[3]、2月19日時点では3.6万リツイートと13.5万いいねがつけられた[4]。また、炎上目的のアカウントで「サイゼリヤにはヴィーガンメニューがない」といった便乗ツイートまで出回った[4]

キャリコネニュース』では、ライターのHOKUはサイゼリヤの料理が好きだとしつつ、「サイゼで喜ぶ」という言葉遣いに引っ掛かりを覚えたと述べている[11]

同年2月11日、乙武洋匡はサイゼデートにまつわる議論を受けて、

「デートでサイゼリヤに連れていく男はしょうもない」「サイゼリヤで喜んでくれる彼女がいい」論争が勃発している三連休初日ですが、そもそも「デートとは男性が女性にご馳走するものである」という定説を令和以降も続けていくのか決めてから、もう一回この話しません?[15]

として、疑問を投げかけている[16]

RKBラジオ櫻井浩二 インサイト』では、「サイゼで喜ぶ彼女」を巡る論争に触れながら、明治大学准教授の飯田泰之が「サイゼデート論争から日本の外食産業の発展が見える」として意見を述べている[14]

ブロガーの徳力基彦は、『鬼滅の刃』での入浴シーンを巡る議論を論じる際に、現状のTwitterではちょっとした投稿でも、対立を煽るようなネットメディア報道により炎上しやすくなっていることを示す例として「サイゼで喜ぶ彼女」を提示している[17]

文春オンラインの記事で、作家の山本一郎は「サイゼで喜ぶ彼女」に触れながら、恋愛において大事なのは相性が良いことであって、一緒に食事する場所がサイゼリヤであっても良いとする意見を述べている[8]

関連項目 編集

脚注 編集

  1. ^ サイゼで喜ぶ彼女”. Twitter. 2022年2月20日閲覧。
  2. ^ a b c d 「サイゼで喜ぶ彼女」炎上で考える“サイゼリヤ・デート”の底力”. bizSPA!フレッシュ. 2022年2月20日閲覧。
  3. ^ a b c d e 《サイゼで喜ぶ彼女》SNS投稿イラストが「女性蔑視」と炎上も、実写化ブームで“いいね稼ぎ”続出”. 週刊女性PRIME. 2022年2月20日閲覧。
  4. ^ a b c d 日刊大衆編集部. “ウェブで大炎上!「サイゼで喜ぶ彼女」騒動について『サイゼリヤ』に聞いた結果とは?”. 日刊大衆. 2022年2月20日閲覧。
  5. ^ a b 「サイゼで喜ぶ彼女」『マイメロ』グッズ炎上なぜ? ネット上で話題の「ツイフェミ」とは”. [インターネットサービス] All About. 2022年2月27日閲覧。
  6. ^ 「初デートにサイゼリヤはナシ」論争に室井佑月が異論 「好きな男と行くならうどん屋でも食べ放題でもどこでもいい」” (2017年11月16日). 2022年10月13日閲覧。
  7. ^ 賛否両論呼んだ「デートでサイゼリヤ」論争 女性のツイートが波紋広げる” (2017年11月15日). 2022年10月13日閲覧。
  8. ^ a b c 山本, 一郎. “みんな大好き「『サイゼリヤ』でのデートはアリか」論争の地平線”. 文春オンライン. 2022年2月22日閲覧。
  9. ^ デートで「高い料理」をおごってもらったら女としての価値も高い?女性たちのリアルな賛否の声”. [亀山早苗の恋愛コラム] All About. 2022年2月27日閲覧。
  10. ^ 8年前までサイゼを知らなかった宮崎の女性 「デート論争、残念です」 お店の前で記念撮影した思い出も”. まいどなニュース. 2022年2月20日閲覧。
  11. ^ a b 「サイゼで喜ぶ彼女」に居心地の悪さを感じた理由を考える”. キャリコネニュース (2022年2月13日). 2022年2月20日閲覧。
  12. ^ なな茶、胸元ファスナーが開いたフェチショットにドキドキ”. WWS channel. 2022年2月20日閲覧。
  13. ^ コスプレイヤーyamiがサイゼリヤでの食事ショット披露”. マイナビニュース (2022年2月23日). 2022年2月24日閲覧。
  14. ^ a b 「#サイゼで喜ぶ彼女」から考えるファミレスが果たした外食産業の功罪”. RKBオンライン. 2022年2月20日閲覧。
  15. ^ 乙武 洋匡の2022年2月21日のツイート2022年2月20日閲覧。
  16. ^ 乙武洋匡氏、“サイゼ論争”で定説に一石 「令和以降も続けていくのか」”. Sirabee (2022年2月11日). 2022年2月20日閲覧。
  17. ^ 鬼滅の刃「物議」報道で考える、炎上や対立をあおるメディアとポータルサイトの構造問題(徳力基彦) - 個人”. Yahoo!ニュース. 2022年2月20日閲覧。