サヒブ・シハブ
サヒブ・シハブ(Sahib Shihab、1925年6月23日 ジョージア州サヴァナ - 1989年10月24日 テネシー州)は、ジャズ・サクソフォーン奏者ならびにジャズ・フルート奏者。1947年にイスラム教に改宗するまでの名は、エドマンド・グレゴリー(Edmund Gregory)であった。
サヒブ・シハブ Sahib Shihab | |
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出生名 | Edmund Gregory |
生誕 | 1925年6月23日 |
出身地 | アメリカ合衆国 ジョージア州サヴァナ |
死没 |
1989年10月24日(64歳没) アメリカ合衆国 テネシー州ナッシュビル |
ジャンル | ハード・バップ・ジャズ |
職業 | サクソフォン奏者 |
担当楽器 | サクソフォーン、フルート |
活動期間 | 1940年代 - 1980年代 |
共同作業者 | ジーン・クイル、フィル・ウッズ、ハル・ステイン |
略歴
編集13歳でプロのアルト・サクソフォーン奏者として初舞台に立ち、ルーサー・ヘンダーソン楽団と共演する[1]。その後、ボストン音楽院に進学し、トランペット奏者のロイ・エルドリッジと共演した。1940年代半ばには、フレッチャー・ヘンダーソンとともに首席アルト・サクソフォーン奏者となった。ジャズ・ミュージシャンとして最初にイスラム教に改宗し、改名した。1940年代にセロニアス・モンクと共演しており、またこの頃は、時間を割いてアート・ブレイキーやケニー・ドーハム、ベニー・ゴルソンらのアーティストによる数々の録音に参加した。1950年代にディジー・ガレスピーのビッグバンドに招かれて共演したことは、バリトン・サクソフォーンへの転機として特に重要である。1957年に写真家アート・ケインが撮影した集合写真『ハーレムの大いなる日(A Great Day in Harlem)』の中にも姿を見せた。
1959年に、アメリカ国内の人種問題に辟易して、クインシー・ジョーンズとともにヨーロッパに渡り、最終的にスカンジナビアに永住する。コペンハーゲン工科大学に勤め、映画やテレビ、劇場のための付随音楽を作曲した。1961年にケニー・クラークとフランシー・ボランのビッグバンドに入団し、12年にわたって一座の中心人物であり続けた。人種問題に敏感な良心的アフリカ系アメリカ人ではあったが、デンマーク人女性と結婚してヨーロッパで家庭を築いている。1966年のユーロビジョン・ソング・コンテストでは、スウェーデン代表のリル・リンドフォシュとスヴァンテ・トゥーレソンの伴奏を務めた。
1973年にアメリカに帰国し、ロックバンドやポップ・グループのセッションマンとして、また地方の音楽家のためのコピーライターとして3年間働いた。1978年、ケニー・ドリューと共同でマトリックス(ジャズ・レーベル)を設立した。最晩年はニューヨークとヨーロッパを行き来して、アート・ファーマーとの共演で成功を収めた。
他に共演者はタッド・ダメロン、フィリー・ジョー・ジョーンズ、フィル・ウッズ、ハンク・ジョーンズ、ポール・チェンバース、アート・テイラー、ビル・エヴァンス、ニールス=ヘニング・エルステッド・ペデルセン等が挙げられる。
ディスコグラフィ
編集リーダー・アルバム
編集- 『ザ・ジャズ・ウイ・ハード・ラスト・サマー』 - The Jazz We Heard Last Summer (1957年、Savoy) ※ハービー・マンとのスプリット
- 『ジャズ・サヒブ』 - Jazz Sahib (1957年、Savoy)
- 『サヒブズ・ジャズ・パーティー』 - Sahib's Jazz Party (1963年、Debut) ※『カンヴァーセイションズ (Conversations)』として再発あり
- Summer Dawn (1964年、Argo)
- 『SAHIB SHIHAB AND THE DANISH RADIO JAZZ GROUP』 - Sahib Shihab and the Danish Radio Jazz Group (1965年、Oktav)
- 『シーズ』 - Seeds (1968年、Vogue Schallplatten)
- 『コンパニオンシップ』 - Companionship (1970年、Vogue Schallplatten)
- 『センチメンツ』 - Sentiments (1972年、Storyville)
- La Marche dans le Désert (1972年、Futura) ※Sahib Shihab + Gilson Unit名義
- 『フルート・サミット』 - Flute Summit (1973年、Atlantic) ※with ジェレミー・スタイグ、ジェームス・ムーディ、クリス・ヒンゼ
- Soul Mates (1988年、Uptown) ※with チャーリー・ラウズ
- And All Those Cats (1988年) ※コンピレーション
脚注
編集参考文献
編集- ジャズ批評編集部編 編『ジャズ管楽器 : バリトン・サックス/ソプラノ・サックス/クラリネット/フルート/トロンボーン他』松坂〈ジャズ批評ブックス〉、2002年、47頁。ISBN 4-915557-12-X。