サンジャイ・ダット

サンジャイ・ダット(Sanjay Dutt、1959年7月29日 - )[1][2]は、インドボリウッドで活動する俳優映画プロデューサーアクション映画を中心に恋愛映画コメディ映画など187本の映画に出演し、フィルムフェア賞スター・スクリーン・アワードジー・シネ・アワードなど多くの映画賞を受賞している。

サンジャイ・ダット
Sanjay Dutt
Sanjay Dutt
サンジャイ・ダット(2018年)
本名 Sanjay Balraj Dutt
生年月日 (1959-07-29) 1959年7月29日(60歳)
出生地 インドの旗 インド ボンベイ州英語版ボンベイ
職業 俳優映画プロデューサー
活動期間 1981年-
配偶者 リチャー・シャルマ(1987年-1996年、死別)
リア・ピッライ英語版(1998年-2008年、離婚)
マニヤタ・ダット(2008年-)
著名な家族 スニール・ダット(父)
ナルギス(母)
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1993年ボンベイ連続爆弾テロ事件英語版に関連して逮捕され、テロ容疑では無罪となったものの銃の不法所持で有罪となり、2013年から2016年まで刑務所に服役していた。2012年にはインディアン・プレミアリーグのクリケットチームのオーナーであるラージ・クンドラ英語版と共にSuper Fight Leagueを立ち上げている[3]

生い立ち編集

ボンベイパンジャーブ人家庭に生まれる。父スニール・ダット、母ナルギスは共にボリウッドの人気俳優・女優であり、サンジャイには2人の妹(プリヤー・ダット英語版、ナムラタ・ダット)いる[4][5]。ナルギスはサンジャイの俳優デビュー直前に死去しており、彼が薬物依存に陥る原因になったとされている[6]。1972年に父スニールが監督した『Reshma Aur Shera』に子役出演している[7]

キャリア編集

1981年 - 1996年編集

1981年に父スニールが監督した『ロッキー英語版』で俳優デビューした。1982年には『Vidhaata』でディリップ・クマール英語版シャンミー・カプール英語版サンジーヴ・クマール英語版と共演している。1983年に『Main Awara Hoon』に出演し、1985年には『Jaan Ki Baazi』で2年振りに主演を務めた[8]。1986年に出演した『Naam』は興行的に大きな成功を収め、サンジャイのキャリアにとって転換点となる作品となった[9][10][8]マヘーシュ・バット英語版の『Kabzaa』、J・P・ダッタの『Hathyar』では演技を高く評価されたが、両作とも興行収入は平均的な記録に終わっている[11][11][12][13]。この他、1980年代は『Inaam Dus Hazaar』『Jeete Hain Shaan Se』『Mardon Wali Baat』『Ilaaka』『Hum Bhi Insaan Hain』『Kanoon Apna Apna』『Taaqatwar』などのヒット作に相次いで出演し、ゴーヴィンダ英語版ミトゥン・チャクラボルティー英語版ダルメンドラ英語版ジャッキー・シュロフサニー・デーオール英語版などのスター俳優と共演した[8]

1990年代も高い人気を維持し、『Tejaa』『Khatarnaak』『Zahreelay』『Thanedaar』『Khoon Ka Karz』『Yalgaar』『Gumrah』『Sahibaan』『Aatish: Feel the Fire』などに出演した。また、同年代を代表する作品(『Sadak』『Saajan』『Khalnayak』)に出演しており、『Saajan』ではフィルムフェア賞 最優秀主演男優賞英語版にノミネートされた[8]ザ・ヒンドゥー英語版は同年代のサンジャイについて、「サンジャイの初期の出演作(『Naam』『Sadak』など)は、多くの好意的な反応を彼に集中させた」「『Saajan』にいよって、サンジャイは伝統的なソフトヒーローの地位を確立した」と批評している[10]。サンジャイが出演した作品のうち、『Saajan』は1991年のインド映画興行成績第1位、『Sadak』は第6位を記録した[14]。『Khalnayak』も1993年のインド映画興行成績第2位を記録しており[15]、同年に出演した『Gumrah』も興行的な成功を収めた[16]

1997年以降編集

 
トレードマガジン『ブロックバスター誌』創刊イベントに出席するサンジャイ・ダット、アミターブ・バッチャンジャヤー・プラダ英語版(2012年)

1993年にテロ容疑で逮捕された後、1997年に逮捕後初の出演作となった『Daud』は興行的には振るわなかった[17]。1998年に出演した『Dushman』は興行的な成功を収め[18]、1999年はサンジャイの人気が復活した年に位置付けられており、出演作5本(『Kartoos』『Khoobsurat』『Haseena Maan Jaayegi』『Daag』『Vaastav: The Reality』)全てが同年の興行成績上位にランクインした。特に『Vaastav: The Reality』ではフィルムフェア賞 最優秀主演男優賞など多くの映画賞を受賞している[19][20]。2000年に出演した『アルターフ 復讐の名のもとに』でもスター・スクリーン・アワード 最優秀助演男優賞英語版を受賞し、多くの映画賞にノミネートされた[8]。また、映画での演技を認められ、インド大統領からラシュトラパティ・バワンに招待されている[21]

2000年代に入ってからも『Jodi No.1』『Pitaah』『Kaante』『医学生ムンナ・バーイー』などのヒット作に出演し、複数の映画賞を受賞した[8]。特に『医学生ムンナ・バーイー』は公開日数25週間を記録する「シルバー・ジュビリー」を達成するなど記録的なヒット作となり、公開26週間目の時点でもインド全域257スクリーンで上映されていた[22][23]。その後も『Musafir』『Plan』『Parineeta』『Dus』で成功を収め、『Shabd』『Zinda』では演技を絶賛された[8]。2006年には『医学生ムンナ・バーイー』の続編『その調子で、ムンナ・バーイー英語版』に出演し、多くの映画賞を受賞した他にインド首相マンモハン・シンからも賞を授与された[24]。彼が演じたムンナ・バーイー英語版の人気も高く、NDTVインディア英語版の「ボリウッドのフィクション・キャラクター・トップ20」に選ばれている[25]。この他には『Dhamaal』『ラカンドワーラーの抗争英語版』『All the Best: Fun Begins』『Double Dhamaal』『ターバン魂英語版』『火の道英語版』『PK』に出演している[26]

2016年にヴィドゥ・ヴィノード・チョープラーによって、サンジャイ主演の『ムンナ・バーイー・シリーズ英語版』第3作の製作が発表された[27]。2017年にオムング・クマール英語版の『Bhoomi』に出演している[28]。2018年に『Saheb, Biwi Aur Gangster 3』に出演し[29][30]、サンジャイの半生を描いた『SANJU サンジュ』では本人役でカメオ出演している[31]。2019年には『Prassthanam』に出演している。

人物編集

女性関係編集

 
結婚式を挙げるサンジャイとマニヤタ(2008年)

サンジャイは1980年代に共演者のティナ・ムニム英語版と交際関係にあった[32]。彼女との関係が終了した後、サンジャイは1987年に女優のリチャー・シャルマと結婚したが[33]、リチャーは1996年に脳腫瘍で死去している。1988年に彼女との間にもうけた娘トリシャラは母方の祖父母と共にアメリカ合衆国で暮らしている[34]。1998年2月に女優・モデルのリア・ピッライ英語版と再婚したが[35]、2008年に離婚している。同年にマニヤタ・ダットと結婚し、ヒンドゥー教形式の結婚式を挙げた[36][37]。2010年10月21日に双子の兄妹をもうけている[38]

サンジャイによると、これまでに交際した女性は308人であり、同世代及び後世代の女優のほぼ全員、前世代の複数の女優と交際していたと語っている[39]。『SANJU サンジュ』を監督したラージクマール・ヒラーニによると、サンジャイは交際した女性を墓地に連れて行き、ある墓の前で「母に会わせるためにここに連れてきました」と語り女性を口説いていたが、実際にはその墓は母ナルギスとは関係のない別人の墓だったという[39]

薬物中毒編集

大学時代から薬物中毒になり、完治するのに10年近い歳月を要したと語っている[40]。母ナルギスとの死別が薬物中毒に陥る原因とされているが、サンジャイは「母のために薬物に手を出したわけではない」と語っている[41]。また、服用した薬物について「世界に存在する薬物で、私が経験したことがない薬物は存在しない」とも語っている[41]。ある日、彼はヘロインを服用して就寝し、空腹を感じて起床した際、家の使用人に「あなたは2日間眠り続けていました。家族の全員があなたを心配していました」と告げられ、鏡でやつれた自分を見て死を感じ、父スニールに助けを求めたという[42]。父スニールに連れられてアメリカのリハビリ施設に入所した際、使用経験のある薬物一覧を見た医師がスニールに対し、「インドでは一体どんな食物を食べているのですか?これだけの薬物を服用していたら、彼はもう死んでいるはずです!」と語っている[41]

2年後、治療を終えて帰国したサンジャイのもとに顔見知りの売人が訪れ、「新しい薬物を手に入れた。あなたに渡す用意がある」と告げられた。彼は売人の申し出を断り、「その日、私は戦いに勝利したことを知った」と後に語っている[42]。薬物中毒を克服した後は肉体トレーニングを行うことで薬物から離れるように心がけ[43]、若者に向けて薬物の危険性を訴える活動を行っている[44]

逮捕編集

 
『医学生ムンナ・バーイー』オーディオ発売イベントに出席するサンジャイと父スニール。スニールはサンジャイ釈放のために奔走した[45]

1993年ボンベイ連続爆弾テロ事件英語版発生時、サンジャイにはテロ事件に関与した容疑がかけられた。彼はテロ事件の主要メンバーであるアブー・サレム英語版、リヤーズ・シッディーキーから武器を受け取ったとされている[46]。これに対し、サンジャイは家族を守るために『Sanam』のプロデューサーからAK-56を受け取っただけであり、テロ事件とは無関係であると主張した[47]。また、逮捕には当時政治家として活動していた父スニールの対立勢力による政治介入があった疑いも指摘されている[45]

1993年4月、サンジャイはテロ・破壊活動防止法英語版(TADA)により逮捕された[48][49][50]。彼は5月5日にインド最高裁判所から保釈を認められたが、1994年7月4日に保釈が停止され再逮捕され、1995年10月16日に再び保釈が認められた[51]。同時期にテロ事件の首謀者ダウード・イブラヒム英語版の側近アブドゥル・カユーム・アブドゥル・カリム・シャイフが逮捕された[52]。サンジャイは武器の所持を認めた際、1992年9月にドバイでカユームからピストルを購入したことを警察に伝えていた[53]

2007年7月31日、TADA特別法廷はテロ容疑に関してサンジャイに無罪判決を言い渡したが、武器の不法所持に関しては有罪判決を下し、懲役6年を言い渡した[48][54]。判決後、サンジャイはアーサー・ロード刑務所に収監された後、プネーエラワダ中央刑務所英語版に移送された[48][55]。彼は判決を不服として控訴し、8月20日に一時的な保釈が認められた[56][57]。10月22日に刑務所に戻ったが再び保釈を申請し、11月27日にインド最高裁判所から正式な保釈が認められた[58]

サンジャイは「政治家ではないが、政治一家に属している」と語っている[59]。彼は2009年インド総選挙の際にサマジワディ党から出馬するように友人に説得されたが、裁判所が有罪の効力の一時停止を拒否したため出馬は実現しなかった[60]。その後はサマジワディ党の書記長を務めたが、2010年12月に辞任している[61]

2013年3月21日、インド最高裁判所はサンジャイに対して武器の不法所持で懲役5年の有罪判決を言い渡した[62]。彼は公判中のうち18か月間は刑務所に収監されていた[63]。裁判所は出頭期間として4週間の猶予を与えたが、罪の重大度を鑑みて保護観察による釈放は認めなかった[64]。5月10日に裁判所が再審請求を却下し、サンジャイに所定の日時に出頭するように命じた[65][66]。彼は5月14日に不服申し立てを取り下げ、同月16日にムンバイ警察に出頭した[67][68]。出頭直前にはサンジャイに危害を加える旨の脅迫状がムンバイ警察に届けられた。彼はエラワダ中央刑務所に収監される前に控訴したが、後に取り下げている[69]。12月21日に仮釈放され、2014年3月まで3回にわたり仮釈放の期間が延長された。これに対し、マハーラーシュトラ州政府英語版がムンバイ高等裁判所への懸念と仮釈放法の改正を提起した。サンジャイは仮釈放期間が終了した後、エラワダ中央刑務所に戻っている[70]。12月24日にはエラワダ中央刑務所から2週間の休暇が与えられ、終了後に刑務所に戻った[71]。その後は刑期満了まで服役し、2016年2月25日に刑期を終え釈放された[72]

フィルモグラフィー編集

出典編集

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外部リンク編集