シガ

水面に浮かぶ針状や円板状の氷の結晶で、乱流などのため板状に発達していないもの

シガとは、河氷の一種[1]で厳冬期に気温と川の水温が適度に低くなると、水面に無数のシャーベット状の氷が現れ、その氷はそのまま川の流れに乗って流れる現象である。河川の流下断面積を減少させるため、用水路の取水障害を発生させることがある[2]

久慈川のシガ(茨城県久慈郡大子町)

日本での発生地域として、福島県茨城県を流れる久慈川上流部の矢祭町から大子町袋田付近にかけての約15kmの区間があげられるが、これは世界的に見ても、比較的低緯度の地域で発生する流氷現象である。

学術的には晶氷、あるいは氷晶と表す。なお、氷花、あるいは氷華と表記する例も見られるが、これらは漢字の当て字である。

古来には川底の石の表面に氷ができ、それが浮かび上がる現象と言われてきたが、これは発生原因を正しく表したものではない。

発生の初期段階においては、川の水温が0℃近くまで下がると、水面付近にある厚さ数mmの熱境界水層で水が局所的に冷却されて氷となり、川面を流れ始める。その状態がさらに進むと川全体が過冷却となり、水面から露出する石の周囲や川岸、川底に氷が形成されることもあるが、大半は水面由来のものである。また、北海道などの寒冷地では水面上への降雪によって生じる[3]。この降雪によって生じた晶氷は比較的柔らかい[3]

脚注 編集

  1. ^ 吉川泰弘, 渡邊康玄, 早川博, 平井康幸、「河川解氷時の河氷の破壊と流下に関する研究」 『土木学会論文集B1(水工学)』 2011年 67巻 4号 p.I_1075-I_1080,doi:10.2208/jscejhe.67.I_1075, 土木学会
  2. ^ 吉川泰弘, 渡邊康玄, 阿部孝章, 伊藤丹、「結氷河川における晶氷粒径分布と晶氷輸送量の現地観測」 『土木学会論文集B1(水工学)』 2013年 69巻 4号 p.I_697-I_702, doi:10.2208/jscejhe.69.I_697, 土木学会
  3. ^ a b 吉川泰弘, 黒田保孝, 橋場雅弘, 入交泰文、「寒冷地河川における晶氷発生計算モデルの開発と取水障害の発生条件」『土木学会論文集B1(水工学)」 2015年 71巻 4号 p.I_1327-I_1332, doi:10.2208/jscejhe.71.I_1327, 土木学会

参考文献 編集

  • 関根一夫, 出村尚英, 牛尾収輝「久慈川の水温測定によるシガ(晶氷)発生予測」『雪氷研究大会(2016 名古屋) 講演要旨集』、日本雪氷学会、2016年、300頁、doi:10.14851/jcsir.2016.0_300NAID 130005243964 

関連項目 編集