シトロン
シトロン(学名:Citrus medica)はミカン科ミカン属の常緑低木樹。漢名は枸櫞(くえん)。レモンと類縁関係にある。マルブシュカンとも言う[1]。漢字で書くと丸仏手柑[2]。ミカン科の常緑小高木。レモンと似ているが葉や果実がより大きく,香りもより強い。ブッシュカンの日本在来種で、九州南部の海岸地帯で栽培。寒さに弱く、枝にとげがあり、葉は楕円形。花は薄紫色。果実は長卵形でひだがあり、鮮黄色の広楕円形で冬に熟す。酸味が強く生食できない。果実は砂糖煮、果汁は飲料、果皮や葉は香料にし、またクエン酸をとる。
シトロン | |||||||||||||||||||||
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![]() シトロンの果実
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分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Citrus medica L. | |||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||
シトロン 丸仏手柑(マルブシュカン) | |||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||
Citron |
特徴編集
原産はインド東部、ガンジス川上流の高地。しかし紀元前にはすでにローマや中国に伝来していた。またアメリカ大陸にはコロンブスによる到達以降に伝わった。日本では「本草図譜」(1828年)に記載されているので、江戸時代以前に伝わっていたと思われる。
枝にはとげが多い。葉は淡黄緑色、細長い楕円形で縁に細かいぎざぎざ(鋸歯)がある。新芽や花は淡紫色を帯びている品種が多く、花弁は細長い。
熟した果実の表面は黄色く、形状は品種により様々だが、一般に紡錘形で重さは150 - 200g。また頂部に乳頭が発達している。果皮はやわらかいが分厚く、果肉が少なく、果汁も少ない。また果肉がかなりすっぱい品種とそうでない品種がある。
ユダヤ教では一部の品種の果実をエトログ(ヘブライ語:אֶתְרוֹג)と呼び、「仮庵の祭り」で新年初めての降雨を祈願する儀式に用いる四種の植物の1つとする。
21世紀現在のフランス語でシトロン(Citron)と言った場合は本種ではなくレモンを指す。現在のフランス語でシトロンを示す場合はセドラ(Cédrat)と呼ぶ。ドイツ語Zitrone・オランダ語citroenも、主に「レモン」の意味で使われる。
ブッシュカン(仏手柑)はシトロンの変種 (C. medica var. sarcodactylus) である。
利用編集
果汁は飲料に使われたり、クエン酸の原料にされたりする。果皮は香料の原料とする他、砂糖漬けに加工され、シュトレン、パネットーネ、スフォリアテッレ、カンノーロなどの洋菓子に用いられる。
脚注編集
- ^ 日本国語大辞典,世界大百科事典内言及, ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典,デジタル大辞泉,百科事典マイペディア,栄養・生化学辞典,世界大百科事典 第2版,大辞林 第三版,日本大百科全書(ニッポニカ),精選版. “シトロンとは” (日本語). コトバンク. 2019年10月20日閲覧。
- ^ 日本国語大辞典, デジタル大辞泉,大辞林 第三版,動植物名よみかた辞典 普及版,精選版. “丸仏手柑(マルブシュカン)とは” (日本語). コトバンク. 2019年10月20日閲覧。
関連項目編集
- クエン酸 (枸櫞酸)
- ブッシュカン
- リボンシトロン
- ヨハン・シュトラウス2世 『レモンの花咲くところ』 (Wo die Zitronen Blüh'n) Op.364
- ※ドイツ語 Zitrone は一般にレモンの意だが、シトロンと訳す場合もある。