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シドニー・ジェイ・ミード(Sydney Jay Mead、1933年7月18日 - )はアメリカ工業デザイナーミネソタ州セントポール生まれ。

シド・ミード
Syd Mead
Syd Mead LF.JPG
シド・ミード(2007年)
生誕 シドニー・ジェイ・ミード
(1933-07-18) 1933年7月18日(85歳)
アメリカ ミネソタ州 セントポール
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
出身校 アートセンター・スクール
著名な実績 インダストリアルデザイン
イラストレーター
公式サイト sydmead.com
活動期間 1961年 -

目次

略歴編集

バプテスト教会の牧師の息子としてミネソタ州で生まれ、幼少期より優れた画才を発揮する。1951年にハイスクールを卒業すると、コロラドスプリングスの映画製作会社でアニメーターの職に就く。アメリカ陸軍で3年間の兵籍期間を終えると、フォード・モーターの奨学金支援を得て、ロサンゼルスのアートセンター・スクール(現在はパサデナアートセンター・カレッジ・オブ・デザイン)に入校し、インダストリアルデザインを専攻する。

1959年にアートセンター・スクールを優秀な成績で卒業。[1]奨学金を得ていた義務からフォードに入社し、エルウッド・エンゲル (Elwood Engelの下でジャイロン (Ford Gyron[2]など実験的なカーデザインに取り組む。2年後の1961年にフォードを退社すると、インダストリアルデザイナー、イラストレーターとして様々なクライアントのために働き、近未来的かつ色彩的なヴィジュアルを提供する。とりわけ、USスチールの企業カタログ・画集に掲載された一連の作品が有名である。1970年にはデトロイトで「シド・ミード社(Syd Mead Inc.)」を設立。1970年代はヨーロッパでも活動し、オランダのフィリップス・エレクトロニクスとの関係が深い。ほかに自動車業界ではボルボイタルデザイン航空宇宙分野ではコンコルドNASAスカイラブのインテリアなど、手がけた仕事は幅広い。1975年にはオフィスをカリフォルニア州に移転。

1970年代末、『スターウォーズ』の世界的ヒットでSFX映画がブームになると、ハリウッドの映画製作者たちはミードのヴィジュアルセンスに注目した。中でも、ミードの才能が発揮されたのが、リドリー・スコット監督の『ブレードランナー』(1982年)である。スコットはミードの個人画集『センチネル』に掲載された雨の中の高速道路「CITY ON WHEELS」を見てビーグルデザイナーとして起用したが[3]、カラーイラストの背景の混沌としたトーンに魅了され、セットや小道具のデザインも依頼。さらに背景となる建築、都市の外観、列車や駅、コンピュータ等のインターフェースに至るまで、作品世界の基調を決める重要な仕事を任せた。他にも『スタートレック』『トロン』『2010年』『エイリアン2』『ショート・サーキット』などのSF映画に参加しており、ミードから影響を受けた作品も多い。映画芸術科学アカデミーやデザイナー組織などに加盟していないため、参加する映画ごとにその肩書きは「ビジュアル・フューチャリスト/コンサルタント」「コンセプチュアル・アーティスト/デザイナー」「フューチャー・デザイン」「ヴィジュアル・フューチャリスト」等、さまざまである(2012年より自称「フューチャリスト・デザイナー」)。2017年、SF映画に特化したプロダクションアートを扱った画集『The Movie Art : VISUAL FUTURIST SYD MEAD』を刊行した。

米テーマパークデザイン委員会の理事、ホワイトハウスの諮問機関クーパーヒューイット財団の顧問、パサデナのアートセンター・カレッジ・オブ・デザインの特別名誉講師などを歴任し、全米のアニメーション制作会社、ゲーム制作会社、自動車メーカー、デザイン教育機関を対象に講演会やセミナーなど精力的な活動を続けている。

日本における活動編集

ミードは画業を始める以前、兵役中に沖縄米軍基地に駐留した経験がある[4]。1980年代に入るとSF映画SFアニメを通して、日本でも「シド・ミード」の名が浸透していった。

1983年(昭和58年)に東京原宿と大阪梅田で開催された「21世紀のカーデザイン展」、1985年(昭和60年)に東京有楽町西武で開催された個展「テクノ・ファンタジー展」が大きなきっかけとなり、これ以降、ポスターアート、商業施設、テーマパーク、プロダクトデザインなどを数多く手掛けることになる。1985年には講談社から2冊目の画集『オブラゴン』(OBLAGON)を出版し、発売から45日で2万5000部以上を売り上げた[5]

1987年(昭和62年)以降、アジアの中でも特に日本は彼にとって重要なマーケットとなった。この年、同じく講談社から3冊目の画集『センチネル II』(SENTINEL II)を出版。川崎製鉄のテレビCM『鉄からさらに』でイラストが多数起用された。ソニーのパソコン『HiTBiT』(シリーズ2種)のCMではアートミックと共に平面(アニメーションとイラスト)と立体(セット、ミニチュア、人物)を合成したユニークなビジュアルを展開した。他にはタイガー魔法瓶のエアポット『とら〜ず』などの製品、ディスコ「トゥーリア」のインテリアなどの商業施設を手がけ、ポスターのデザインは1985年から1993年(平成5年)に最も多く描いた。1991年には図録2冊とLD3枚をセットにした45,000円(税抜)の豪華作品集『クロノログ』(KRONOLOG)がバンダイから発売された[5]

映像作品では、学研NHKエンタープライズが出資したハリウッド映画『クライシス2050』の宇宙船をデザイン。1990年には開発中であったハイビジョン撮影で、NHKのドキュメンタリー番組「イマジネーション」に出演した。ゲーム用デザインにもセガを中心に数多く起用され、PSP『バウンティハウンズ』のコンセプトワークを担当。

2005年に名古屋で開催された「愛・地球博」で、三井東芝館パビリオン映像「グランオデッセイ」の宇宙船ネモニック号とその背景デザインを担当した。

2019年には国内では34年ぶりとなる個展「シド・ミード展 PROGRESSION TYO 2019」が東京秋葉原で開催された[6]

アニメーション作品では「宇宙戦艦ヤマトシリーズ」と「ガンダムシリーズ」というメジャータイトルで、外国人デザイナーとしてメカニックデザインを担当した。ヤマトではプロデューサーの西崎義展の指名により、6年の時間を費やし、『YAMATO2520』の第18代ヤマトを中心にハードウェアデザインを担当。日本海軍戦艦大和の図面を取り寄せ、『宇宙戦艦ヤマト』の資料も分析した上で、艦の内部からデザインしていった[7]

ガンダムでは『機動戦士Ζガンダム』の構想段階に3点のイラストを提供。ザク(未発表)のプロポーションからディテールに至るまでプロポーションを再構築し直したデザインにも取り組んだ。前半の主役メカ・ガンダムMk-IIを単独で描いたもの(他2種)はメインスポンサーであるバンダイが玩具店等へ配布する番宣用ポスターとして使用され、彼の画集『オブラゴン』(講談社)に掲載されている。

∀ガンダム』では富野由悠季総監督の希望を受け、主要なモビルスーツ計8体のデザインを担当。主役メカの∀ガンダム は頭部のV字アンテナをチークガードに変え、ファンの間では「ヒゲ」に見えると騒がれた[7]。ガンダム史上過去に例がない背面ディテールと流れるようなラインは、「機能的なアイディアが70%にファンタジーとユーモアを30%」という彼独特のアプローチによるもの。それらは工業デザインや建築をベースに培ってきた、エンターテイメント性を重視したSF用のデザインであった。それまで慣れ親しんできた玩具を中心に展開したガンダム特有のプロダクトデザインとは一線を画し、ロジックが備わったカタチに必然性のある「工業デザイン」をベースにデザインされていたのが、それは富野由悠季監督が希望していた、コピーが繰り返されることに甘んじていた国内のメカニック・デザイナーに対する挑戦でもあった。『∀ガンダム』放映から時間が経過し、富野由悠季監督とシド・ミードの目指した機能的で、動くことで新しいカタチが出現する従来にはなかった外観をまとった「表裏一体」(back to the face)なコンセプトが、改めて評価されている。

デザイン提供作品編集

実写映画編集

アニメ編集

  • YAMATO2520(1995年)18代ヤマト、戦艦、護衛艦、戦闘機、戦車、コスチューム、小銃、惑星、都市
  • ∀ガンダム(1999年)∀ガンダム、スモー、ターンX、フラット、ウォドム、バンディット、モビル・リブ
  • フューチュラマ(1999年)宇宙船

ゲーム編集

書籍リスト編集

  • Return Of The Nejji(Atlas Cement刊)
  • Rationale
  • Fashion In Steel (1961 United States Steel刊)
  • Concepts (1961 United States Steel刊)
  • Projections (1962 United States Steel刊)
  • Land Of Power (1963 Allis Chalmers Corporation刊)
  • Celcon (1965 Celanease Corporation刊)
  • Innovations (1968 United States Steel刊)
  • Perspective (1968 United States Steel刊)
  • Interface (1969 United States Steel刊)
  • Steel Couture Syd Mead Futurist "SENTINEL"(1979 Dragon Dreams刊)
  • Future Car Design(1983 ツルモトルーム刊 ラフォーレ原宿「未来のカーデザイン展」図録)
  • SYD MEAD TECHNO FANTASY ART(1983 ツルモトルーム刊 西武アートフォーラム「テクノファンタジー展」図録)
  • The Official Art Of 2010(1984 A Wallaby Books刊 スケッチブック)
  • OBLAGON CONCEPTS OF SYD MEAD(1985 講談社刊 スケッチ/画集)
  • OBLAGON カレンダー(1987/1990/1991/1992/1993 のみ Obragon刊)
  • Steel Couture Syd Mead Futurist "SENTINEL2"(1987 講談社刊 改訂版画集)
  • Studio Image ONE(1988 Obragon刊 スケッチ/画集)
  • Studio Image Two(1989 Obragon刊 スケッチ/画集)
  • Studio Image Three(1994 Obragon刊 スケッチ/画集)
  • クロノログ/KRONOLOG(1991 バンダイ刊)[5]
    • クロノテコ/KRONOTECO(画集)+クロノヴェクタ/KRONOVECTA(コンセプトワーク集)+クロノヴィド/KRONOVID(レーザーディスク版、又はVHS版映像資料)+スピナーモデル付き
  • Future Concepts SYD MEAD(1992 カーグラフィック別冊 スケッチ/画集)
  • クロノログ2/KRONOLOG2(1993 バンダイ刊 CD-ROMアーカイブ)
  • ヤマト2520 オリジナルサウンドトラック-1 初回限定版(1995 ソニー・ミュージックレコーズ スケッチ/画集)
  • Mead Gundam(2000 講談社刊 スケッチ集)
  • Syd Mead's Sentury(2001 Oblagon社刊 画集)※日本語版は角川書店刊
  • Syd Mead's Sentury II (2010 Design Studio Press刊 画集)※日本語版はボーン・デジタル刊
  • The Movie Art of Syd Mead Visual Futurist(2017 Titan Books刊 スケッチ/画集)※日本語版は玄光社刊

特集記事 その他の書籍編集

  • Automobile Quarterly 特集記事で合計3冊
  • Paper Tiger社刊 SYD MEAD
  • The Art Of Tron(スケッチ/画集)
  • ビジュアルガイドブック「トロン」(東宝出版事業部)
  • The Official Art Of 2010(白黒2色刷りの絵コンテ、スケッチ集)
  • 2010 Film and Arts(東宝出版事業部)
  • ツルモトルーム刊 スターログ No.54 / No.56 シド・ミード特集
  • TVC-15刊 スピナー読本 各種
  • カースタイリング 特集記事扱いで5冊と別冊1冊[Future Concepts: The World Of Syd Mead(イラスト/スケッチ)
  • 映画ストーリー クライシス2050 (学研)
  • Blue Dolphin社刊 Blade Runner Sketchbook(スケッチ集)
  • バンダイ刊 Cinefex 「ブレードランナー」(SFX/メイキング)
  • ドン・シェイ著「Blade Runner Inside Story」(上記Cinefex版と同じモノ)
  • バンダイ刊 Cinefex 「2010年」(SFX/メイキング)
  • ソニーマガジン刊「メイキング・オブ・ブレードランナー」
  • 付録冊子 999(腕時計)シリーズ
  • 愛・地球博 「オフィシャル・アート・オブ・グランオデッセイ」(通常版/限定版)日経BP
  • 日経エンターテイメント
  • 日経アーキテクチャ(2007-5-14号)
  • AXIS (アクシス) 2008年 06月号

その他 映像(出演)編集

  • NHK(旧)ハイビジョン放送 「IMAGINATION」
  • BBC放送 「The Edge Of Blade Runner」
  • 「Making Of m:i:III」
  • ドキュメンタリーフィルム 「VISUAL FUTURIST: The Art & Life of Syd Mead」
  • Discovery Channel 「Future Car」ゲストコメンテーター
  • 機動戦士ガンダム30周年記念 みんなのガンダム 完全版 - アニマックス、VTRコメント出演
  • WOWOW ノンフィクションW 「ブレードランナーの世界を創った男 シド・ミードが描く2042年」
  • 「Gnomon Workshop」(DVD4種)
  • 短編ドキュメンタリー「2019: A Future Imagined」

脚注編集

  1. ^ * 『トヨタのデザインとともに』森本眞佐男山海堂 ISBN 4-381-07510-2 第4章 アートセンター・スクール留学 P88 2.シド・ミード君のこと
  2. ^ 1961年のデトロイト・モーターショーで公開されたコンセプトカー。ジャイロスコープによってバランスを保ちながら走行する2輪自動車。
  3. ^ 審査委員長はシド・ミード!「フューチャー・デザイン・コンテスト」緊急開催!大河原邦男、川田十夢、河村康輔、田中一雄、長谷川豊、北条司が審査員就任決定! - PR TIMES(2019年3月4日)
  4. ^ CHRIS McGOWAN On the Highways and Skyways of the Future with SYD MEAD - VFX VIOCE
  5. ^ a b c 清水節 未来のリハーサル シド・ミード×渡辺繁40年の軌跡 第2回 三位一体プロジェクトの作品集 - シド・ミード展 PROGRESSION TYO 2019
  6. ^ 「シド・ミード展 PROGRESSIONS TYO 2019」内覧会レポート。未来的な機能美と物語性にあふれた作品の数々は今見ても新しい -4gamer.net(2019年4月27日)
  7. ^ a b 清水節 未来のリハーサル シド・ミード×渡辺繁40年の軌跡 第3回 ミード・ガンダム誕生の舞台裏 - シド・ミード展 PROGRESSION TYO 2019
  8. ^ メガCD版の発売も予定されていたが、結局リリースされなかった。余談だが、本作品の為にミード自身が描き下ろしたイラストの数点が開発/販売元であるライトスタッフの倉庫で半ば打ち棄てられるように保管されていたという話がある[要出典]。その後ライトスタッフは倒産しているが、そのイラストがどうなったのかは不明。

外部リンク編集