シミュレーショニズム: simulationism)は、1980年代のニューヨークを中心に広まった美術運動である。近代芸術の唯一性(アウラ)に反対し、大衆芸術のイメージを、カットアップサンプリングリミックスといった手法を用いてアプロプリエーション(appropriation盗用)することを特徴とする。シミュレーション・アート(simulation art)、アプロプリエーション・アート(appropriation art)とも呼ばれる。

その背景には、ジャン・ボードリヤールが『シミュラークルとシミュレーション』で指摘したように、オリジナルとコピーの区別が消失し、コピーが大量に消費される現代社会の様相がある。シミュレーショニズムはイメージを盗用することによって、オリジナリティという概念を問い直し、オリジナル作品の持つ権威や力を批判的に解体し、イメージと社会的システム(ジェンダー、コマーシャリズム、人種とアイデンティティ、制度化された芸術)との新たな関係へ視点を向ける。[1]

映画の一シーンのような情景を演じたセルフ・ポートレイトを撮影したシンディ・シャーマンウォーカー・エバンスの写真を複写して自らの作品としたシェリー・レヴィーン、広告写真を複写し自らの作品としたリチャード・プリンス(Richard Prince)、掃除機をガラスケースに入れ作品として発表したジェフ・クーンズなどが代表的な芸術家とされる。

日本においては、美術評論家の椹木野衣が1991年に著した『シミュレーショニズム ハウス・ミュージックと盗用芸術』における論説が、芸術家などに大きな影響を与えた。[要出典]

脚注 編集

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