シュナイダープロペラ

シュナイダープロペラ(独フォイト社製)
船舶底面への設置例

シュナイダープロペラとは船舶用推進装置の一形態である。一般的な船舶では推進力を得るためにスクリュープロペラを使用し、方向を変える際に(かじ)を用いるのに対し、シュナイダープロペラは双方の機能を兼ねる。回転する円盤に垂直に取り付けられた羽根の角度を連続的に制御し、おのおのの羽根が次々と揚力(=推力)を発生させることで瞬時に任意の推力、向きを得られる。

概要編集

シュナイダーとは、このしくみを発明したオーストリアの技術者エルンスト・シュナイダー(Ernst Schneider 1894-1975)を指す。シュナイダーが同機構を開発後、ドイツの機械メーカーフォイト社(Voith AG)によって船舶用推進器として改良─実用化され、1920年代に基本特許を得た。ゆえにフォイト・シュナイダープロペラ(VSP: Voith Schneider® Propeller)とも呼ばれる。また、このタイプのプロペラは航空分野での適用も模索されており、そこではサイクロイダル・プロペラと呼ばれている。

実用化については1928年からボーデン湖で小型船による試作・研究が行われ、1931年に建造されたドイツ帝国鉄道のボーデン湖遊覧船・ケンプテン(223t)が初めての実用搭載例となった。1935年にはドイツ海軍の700t級掃海艇2隻に試験的に採用されている。1930年代中期以降、各国で小型船を中心に試験的な導入が始まった。日本での最初の導入例は鉄道省関釜連絡船タグボートとして1936年に函館船渠で建造した「第一鉄栄丸」(130t)である。

このプロペラを装備した船舶は旋回性能、コントロール性が大幅に向上する。一例として船首を中心にして360度の急旋回、反転が可能であり、静止状態から船体を前後に動かすことなく回頭もできる。

このような特性から同推進器は主に狭い湾内で複雑な取り回しが必要なタグボートや、消防艇、離岸・接岸を頻繁に行うフェリー、正確な操船を求められる運河運搬船などで利用されている。また高機動性ゆえに中、小型軍用艦にも採用例がある。また、通常のスクリューに比べて音響雑音が少ない為、海洋調査船掃海艇への使用も見られる。宇高連絡船讃岐丸では実験船的な性格もあり、このプロペラを使用していた。

シュナイダープロペラには上述のような特筆すべき能力があるが、推力をほとんど生じない羽根が常に存在するため、馬力あたりの推力という点ではスクリュープロペラに劣ってしまう。したがって直線的な航路が多い船舶では効率が悪く、外洋航行には基本的に適していない。そのため両者の利点を持つアジマススラスターの登場以降はシェアを落としつつある。とはいえ、羽根の形状が簡素でスクリューなどより製造、修理が容易なこと(低コスト)、舵によるパワーロスがないこと、内燃機関への適応力に優れること、喫水を浅くできることなどの理由により、現在でも根強い需要がある。

このプロペラの羽根が「水を押し出すことにより推力を得る」と誤解されることがあるが、動作原理を示す図解のとおり、このプロペラの推力は推進軸線に近い側の羽根が発生しており、軸線から離れた両側の羽根は推力を生み出さない。

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