ショーン・ペン
ショーン・ペン(Sean Penn, 1960年8月17日 - )は、アメリカ合衆国の俳優、映画監督。
来歴 編集
生い立ち 編集
カリフォルニア州サンタモニカで生まれる。父レオ・ペンは俳優兼映画監督、母アイリーン・ライアンは女優。兄のマイケル・ペンは、ミュージシャンであり、エイミー・マンの夫でもある。弟のクリス・ペンも俳優だった。祖父母はリトアニア及びロシアからのユダヤ人、母はイタリア人及びアイルランド人の、父はスペイン人の血を引く。父方の旧姓はPiñon(ピニョン)であり、セファルディムの子孫とされる。
キャリア 編集
父レオの監督する大草原の小さな家第112話『ジョーンズおじさんの鐘』にてノンクレジットながら初めて名前付きの役を演じる[2]
1979年にテレビ映画『誰がウェブスターを殺したか』で注目を集め、1981年に『タップス』で映画デビューを果たすと、翌年には『初体験/リッジモント・ハイ』で初主演を務める。
1989年の『俺たちは天使じゃない』ではロバート・デ・ニーロと、1993年の『カリートの道』ではアル・パチーノと共演。当時としては格上であった俳優達を相手に一歩も引けを取らない演技を披露し、高い評価を獲得していく。
1995年、『デッドマン・ウォーキング』で死刑を目の前にした殺人鬼を演じると、批評家や観客から演技を絶賛され、翌年にベルリン国際映画祭男優賞を受賞、アカデミー主演男優賞に初ノミネートされる。翌年の1997年にはジョン・カサヴェテスの遺稿を映画化した『シーズ・ソー・ラヴリー』でカンヌ国際映画祭 男優賞を受賞、更にその翌年の1998年には『キャスティング・ディレクター』でヴェネツィア国際映画祭 男優賞を受賞し、3年連続受賞で世界三大映画祭の男優賞を制覇。
その後もテレンス・マリック監督の20年振りの復帰作である『シン・レッド・ライン』や、2度目のアカデミー主演男優賞ノミネートを果たしたウディ・アレン監督作品『ギター弾きの恋』等、伝説的監督の作品に連続して出演。2001年には『アイ・アム・サム』で7歳の知能しか持たない父親という難役に挑戦。観客の感涙を誘う演技を披露し、3度目のアカデミー主演男優賞ノミネートを受ける。
2003年公開のクリント・イーストウッド監督作品『ミスティック・リバー』で娘を殺されて復讐に燃える父親を演じ、4度目にして悲願となるアカデミー主演男優賞を受賞した。また、同年にはアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督作品『21グラム』で余命僅かながらも臓器移植を受けた男を演じ、2度目となるヴェネツィア国際映画祭 男優賞を受賞する。
2008年にはハーヴェイ・ミルクを演じた『ミルク』で2度目となるアカデミー主演男優賞を受賞。同年の第61回カンヌ国際映画祭では審査員長を務めた。
監督業 編集
1991年の『インディアン・ランナー』以降、映画監督にも進出しており、2007年の『イントゥ・ザ・ワイルド』は自身の監督作品として最高評価を獲得し、アカデミー賞でも2部門にノミネートされた。
2022年、ウクライナ危機についてのドキュメンタリー映画制作に着手し、取材の一環としてロシアのウクライナ侵攻が始まった同年2月24日に、首都キーウでウクライナのゼレンスキー大統領と対談。戦火のなかで安否が懸念されていたが、同月28日に公式Twitterでポーランドの国境に辿り着いたことを明らかにした[3]。
私生活 編集
1985年に歌手のマドンナと結婚したが、4年後に離婚。1987年には飲酒運転と暴行で逮捕、6ヶ月の実刑を受けている。
1991年から女優のロビン・ライトと交際(同棲)し、1991年に長女ディラン・フランシスが、1993年に長男(ホッパー・ジャック)が誕生。1996年に結婚。おしどり夫婦として知られていたが、2007年12月に二人の離婚申請が『ピープル』誌に掲載された[4]。だが翌2008年4月に申請を撤回し復縁した[5]。2009年4月、今度はショーンの方から法的別居を申請。だが3週間後の5月下旬にはまたこの申請の取り消しを求めるなど夫婦間のゴタゴタが続いた[6]。後日、夫妻は再度離婚を申請し2010年7月正式に離婚が成立した。
捕鯨に対する抗議活動などをおこなっている環境保護団体のシーシェパードを支援している[7]。
2013年から女優のシャーリーズ・セロンと交際し婚約までしたが、2015年に破局[8]。
主な作品 編集
出演 編集
公開年 | 邦題 原題 |
役名 | 備考 |
---|---|---|---|
1981 | 誰がウェブスターを殺したか The Killing of Randy Webster |
ドン・フレモント | テレビ映画 別題『ランディーは殺されたのか』 |
1981 | タップス Taps |
アレックス・ドワイヤー | |
1982 | 初体験/リッジモント・ハイ Fast Times at Ridgemont High |
ジェフ・スピコリ | |
1983 | Summerspell | ブディ | 日本未公開 |
バッド・ボーイズ Badboys |
ミック・オブライエン | ||
1984 | クラッカーズ/警報システムを突破せよ! Crackers |
ディラード | |
月を追いかけて Racing with the Moon |
ヘンリー・“ホッパー”・ナッシュ / ルー | 日本劇場未公開 | |
1985 | コードネームはファルコン The Falcon and the Snowman |
ドールトン・リー | |
1986 | ロンリー・ブラッド At Close Range |
ブラッド・ホワイトウッド.Jr | |
上海サプライズ Shanghai Surprise |
グレンドン・ウェイシー | ||
1987 | ディア・アメリカ 戦場からの手紙 Dear America: Letters Home from Vietnam |
ナレーター | 日本劇場未公開 |
1988 | Cool Blue | フィル | クレジット表記なし 日本未公開 |
カラーズ 天使の消えた街 Colors |
ダニー・マクガヴァン | ||
ジャッジメント・イン・ベルリン Judgment in Berlin |
グンサーX | 別題『ジャッジメント・イン・ベルリン 自由への扉』 日本劇場未公開 | |
1989 | カジュアリティーズ Casualties of War |
トニー・ミザーヴ軍曹 | |
俺たちは天使じゃない We're No Angels |
ジム | ||
1990 | ステート・オブ・グレース State of Grace |
テリーヌーナン | |
1991 | Schneeweißrosenrot | 本人 | ドキュメンタリー |
1992 | Cruise Control | ジェフリー | 短編映画 |
1993 | The Last Party | 本人 | ドキュメンタリー |
カリートの道 Carlito's Way |
デイヴィッド・クレインフェルド | ゴールデングローブ賞 助演男優賞ノミネート | |
1995 | デッドマン・ウォーキング Dead Man Walking |
マシュー・ポンスレット | ベルリン国際映画祭銀熊賞 (男優賞)受賞 アカデミー主演男優賞ノミネート ゴールデングローブ賞 主演男優賞 (ドラマ部門)ノミネート |
1997 | ギルティ・オブ・ラブ Loved |
Man on the Hill (Michael) | 日本劇場未公開 |
シーズ・ソー・ラヴリー She's So Lovely |
エディ・クィン | カンヌ国際映画祭 男優賞受賞 | |
Uターン U Turn |
ボビー・クーパー | ||
ゲーム The Game |
コンラッド・ヴァン・オートン | ||
ヒューゴ・プール Hugo Pool |
奇妙なヒッチハイカー | ||
1998 | キャスティング・ディレクター Hurlyburly |
エディ | ヴェネツィア国際映画祭 男優賞受賞 |
シン・レッド・ライン The Thin Red Line |
ウェルシュ曹長 | ||
1999 | マルコヴィッチの穴 Being John Malkovich |
本人 | クレジット表記なし |
ギター弾きの恋 Sweet and Lowdown |
エメット・レイ | アカデミー主演男優賞ノミネート ゴールデングローブ賞 主演男優賞 (ドラマ部門)ノミネート | |
2000 | A Constant Forge | 本人 | ドキュメンタリー |
真夜中の銃声 Up at the Villa |
ローリー・フリント | 日本劇場未公開 | |
夜になるまえに Before Night Falls |
クコ・サンチェス | ||
悪魔の呼ぶ海へ The Weight of Water |
トーマス・ジェーンズ | 日本劇場未公開 | |
2001 | DOGTOWN & Z-BOYS Dogtown and Z-Boys |
ナレーター | ドキュメンタリー |
The Beaver Trilogy | Groovin' Larry (segment Beaver Kid 2) | 日本未公開 | |
Scene Smoking: Cigarettes, Cinema & the Myth of Cool | 本人 | ドキュメンタリー | |
See How They Run | 本人 | ドキュメンタリー | |
アイ・アム・サム I Am Sam |
サム・ドーソン | アカデミー主演男優賞ノミネート ゴールデングローブ賞 主演男優賞 (ドラマ部門)ノミネート | |
2003 | アンビリーバブル It's All About Love |
マルチェロ | 日本劇場未公開 |
ミスティック・リバー Mystic River |
ジミー・マーカム | アカデミー主演男優賞受賞 ゴールデングローブ賞 主演男優賞 (ドラマ部門)受賞 英国アカデミー賞 主演男優賞ノミネート | |
21グラム 21 Grams |
ポール・リヴァーズ | ヴェネツィア国際映画祭 男優賞受賞 英国アカデミー賞 主演男優賞ノミネート | |
2004 | リチャード・ニクソン暗殺を企てた男 The Assassination of Richard Nixon |
サミュエル・J・ビック | |
2005 | ザ・インタープリター The Interpreter |
トビン・ケラー | |
2006 | オール・ザ・キングスメン All the King's Men |
ウィリー・スターク | |
2008 | ミルク Milk |
ハーヴェイ・ミルク | アカデミー主演男優賞受賞 ゴールデングローブ賞 主演男優賞 (ドラマ部門)ノミネート 英国アカデミー賞 主演男優賞ノミネート |
Witch Hunt | ナレーター | ドキュメンタリー | |
トラブル・イン・ハリウッド What Just Happened |
本人役 | ||
2010 | フェア・ゲーム Fair Game |
ジョゼフ・ウィルソン | |
2011 | ツリー・オブ・ライフ The Tree of Life |
ジャック | |
きっと ここが帰る場所 This Must Be the Place |
シャイアン | ||
2013 | L.A. ギャング ストーリー Gangster Squad |
ミッキー・コーエン | |
LIFE! The Secret Life of Walter Mitty |
ショーン・オコンネル | ||
2015 | ザ・ガンマン The Gunman |
ジム・テイラー | 兼製作 |
2016 | アングリーバード The Angry Birds Movie |
テレンス | 声の出演 |
2019 | 博士と狂人 The Professor and the Madman |
ウィリアム・マイナー | |
2021 | リコリス・ピザ Licorice Pizza |
ジャック・ホールデン | |
2022 | フラッグ・デイ 父を想う日 Flag Day |
ジョン・ヴォーゲル | 兼監督 |
TBA | Black Flies | Gene Rutkovsky | 兼製作 |
監督 編集
公開年 | 邦題 原題 |
主演 |
---|---|---|
1991 | インディアン・ランナー The Indian Runner |
ヴィゴ・モーテンセン |
1995 | クロッシング・ガード The Crossing Guard |
ジャック・ニコルソン |
2001 | プレッジ The Pledge |
ジャック・ニコルソン |
2002 | 11'9''01/セプテンバー11 11'09'01 - September 11 |
アーネスト・ボーグナイン |
2007 | イントゥ・ザ・ワイルド Into the Wild |
エミール・ハーシュ |
2016 | ラスト・フェイス The Last Face |
シャーリーズ・セロン |
2021 | フラッグ・デイ 父を想う日 Flag Day |
ショーン・ペン |
日本語吹き替え 編集
脚注 編集
- ^ “「ウォーリー」がLA映画批評家協会賞!アカデミー作品賞へ好発進”. 映画.com (2008年12月11日). 2014年4月29日閲覧。
- ^ 大草原の小さな家現在と過去クレジットにも出てこない子ども役のショーン・ペン
- ^ “ショーン・ペン、戦地ウクライナからポーランドの国境まで徒歩で移動「何マイルも歩いた」”. Movie Walker (2022年3月8日). 2022年6月29日閲覧。
- ^ White, Nicholas. Sean Penn and Robin Wright Penn Divorcing. People. December 27, 2007.
- ^ "Sean Penn, wife Robin end divorce proceeding." Reuters. April 9, 2008.
- ^ “ショーン・ペン、また別れを撤回!法的別居の申請書を取り消す”. シネマトゥデイ (2009年5月22日). 2009年5月23日閲覧。
- ^ “シー・シェパードを支援するエンタメ界の大物たち”. AFPBB News (2010年1月8日). 2014年4月29日閲覧。
- ^ “婚約していたショーン・ペン&シャーリーズ・セロンが破局”. シネマトゥデイ (2015年6月18日). 2015年6月18日閲覧。
- ^ “31歳の年の差婚。ショーン・ペンが女優のレイラ・ジョージと極秘結婚。”. VOGUE (2020年8月4日). 2020年8月4日閲覧。
- ^ ショーン・ペンがZoom婚! 31歳下恋人と結婚 - ライブドアニュース