シルクラドー

カエターノ・ヴェローゾのアルバム

シルクラドー』(Circuladô)は、ブラジル人ミュージシャン、カエターノ・ヴェローゾ1991年に発表したスタジオ・アルバム

シルクラドー
カエターノ・ヴェローゾスタジオ・アルバム
リリース
ジャンル MPB
時間
レーベル ブラジルの旗ポリグラム・レコード
アメリカ合衆国の旗エレクトラ・ノンサッチ
プロデュース アート・リンゼイ
専門評論家によるレビュー
カエターノ・ヴェローゾ アルバム 年表
エストランジェイロ
(1989年)
シルクラドー
(1991年)
Circuladô Vivo
(1992年)
テンプレートを表示

背景 編集

前作『エストランジェイロ』(1989年)に引き続き、アート・リンゼイがプロデューサーに起用された[2]。「うつくしいおまえ」はヴェローゾと坂本龍一の2人だけで録音され、坂本は「ネイヂ・カンドリーナ」でもキーボードとサンプラーを担当した[3]。また、息子のモレーノ・ヴェローゾ英語版、旧知のジルベルト・ジルガル・コスタがゲスト・ボーカリストとして参加した。

「無秩序」はファンクの要素を取り入れた曲で、ブラジル都市部の社会経済問題をテーマとしている[4]。「ひまわり」の歌詞は、ハロルド・デ・カンポス英語版の詩集『Galáxias』に収録されていた具体詩に基づいている[4]。「エラ・エラ」は当時の妻パウリーニャ(パウラ・ラヴィーン)に関する歌で、「ようこそ」は彼女が身ごもっていた子供(1992年3月に出生)に捧げられた内容である[1]。「3番目の岸」はミルトン・ナシメントとの共作で、ナシメントのヴァージョンは本作に先行してアルバム『Txai』(1990年)で発表された[5]

評価 編集

Alvaro Nederはオールミュージックにおいて5点満点中4点を付け、リンゼイと共作した「エラ・エラ」を「モダニスト達の相互干渉が伝わってくる」、ジルやコスタがゲスト参加した「なんて世の中」を「暴力に向けられた激しい批判を持ち合わせている」、坂本龍一とコラボレーションした「うつくしいおまえ」を「アルバムを優雅に締めくくるボッサ」と評している[4]。また、『Sounds and Colours』の編集者ラス・スレイターは「ヴェローゾは1990年代に入るまでに、現代的なR&Bヒップホップのリズムに更なる興味を示したようにうかがえ、『シルクラドー』においてそれが表面化した」と評している[6]

収録曲 編集

特記なき楽曲はカエターノ・ヴェローゾ作。

  1. 無秩序 - "Fora da Ordem" - 5:54
  2. ひまわり - "Circulado de Fulô" (Caetano Veloso, Haroldo de Campos) - 3:29
  3. イタプアン - "Itapuã" - 3:37
  4. ようこそ - "Boas Vindas" - 3:41
  5. エラ・エラ - "Ela Ela" (C. Veloso, Arto Lindsay) - 2:03
  6. 聖クララ、テレビの守護聖人 - "Santa Clara, Padroeira da Televisão" - 3:07
  7. ペーニャの聖母様へ - "Baião da Penha" (Guio de Morais, David Nasser) - 3:26
  8. ネイヂ・カンドリーナ - "Neide Candolina" - 4:11
  9. 3番目の岸 - "A Terceira Margem Do Rio" (C. Veloso, Milton Nascimento) - 2:23
  10. なんて世の中 - "O Cu Do Mundo" - 4:00
  11. うつくしいおまえ - "Lindeza" - 4:09

参加ミュージシャン 編集

脚注・出典 編集

  1. ^ a b biography” (英語). Caetano Veloso Oficial. Universal Music Brasil. 2017年7月2日閲覧。
  2. ^ Arto Lindsay | Credits | AllMusic
  3. ^ Caetano Veloso - Circuladô (CD, Album) at Discogs
  4. ^ a b c Neder, Alvaro. “Circuladô - Caetano Veloso”. AllMusic. 2016年3月19日閲覧。
  5. ^ Txai - Milton Nascimento | AllMusic
  6. ^ Slater, Russ (2010年7月1日). “Album Guide: Caetano Veloso”. Sounds and Colours. 2016年3月19日閲覧。