ジェラルド・R・フォード級航空母艦

ジェラルド・R・フォード級航空母艦
Bow view of USS Gerald R. Ford (CVN-78) underway on 8 April 2017.JPG
CVN-78 ジェラルド・R・フォード
艦級概観
艦種 航空母艦原子力空母
艦名 一番艦はジェラルド・R・フォード大統領に因む。
運用者  アメリカ海軍
建造期間 2009年 - 建造中
就役期間 2017年 - 運用中
建造費 130億USドル
前級 ニミッツ級
次級 最新
性能諸元
排水量 満載:101,600 t
全長 337 m
全幅 水線41 m / 最大78 m
吃水 12 m
機関 A1B加圧水型原子炉 2基
蒸気タービン 4基
スクリュープロペラ 4軸
速力 最大30+ノット(56+ km/h)
乗員 操艦要員:2,180名
航空要員:2,480名
兵装 ファランクス CIWS 3基
ESSM 短SAM8連装発射機 2基
RAM 近SAM21連装発射機 2基
レーダー AN/SPY-3 多機能型(3面) 1基
搭載機 CTOL機 + ヘリコプター 75機
F/A-18E/FF-35CE-2C/DEA-18GMH-60R/S

ジェラルド・R・フォード級航空母艦(ジェラルド・R・フォードきゅうこうくうぼかん、Gerald R. Ford class aircraft carrier)は、アメリカ海軍原子力空母の艦級。

本級は CVNX 、CVN-21 の名称で次世代の航空母艦として開発が進められてきた。この「X」は「開発中」を意味し、「21」は船体番号ではなく「21世紀」を意味した。ニミッツ級の船体設計を基礎として建造される。

特徴編集

最新技術の投入および広範囲なオートメーション化により、乗員の削減、将来的な空母運用コストの低減

これまでのアメリカ海軍の空母に比して、艦橋が小型化されかつ位置がかなり後方にずらしてあり、左右対称のシルエットが特徴である。これは飛行甲板上の艦載機有効利用とステルス性向上のためにである。
  • 原子炉はニミッツ級のA4W(炉心寿命およそ25年)と同じく炉心寿命が長く、就役から解役までの50年間で炉心交換が一回で済む、発電能力が約3倍 (ニミッツ級6.4万kW、フォード級19.2万kW)のA1BBettis社製第一世代空母用原子炉)を搭載。
  • アメリカ空母初の電磁式航空機発射システム「“Electromagnetic Aircraft Launch System”(EMALS)」装備
  • 新型着艦制動装置Advanced Arresting Gear”(AAG)
  • 先進型兵器エレベーター「“Advanced Weapons Elevators”(AWE)」
  • パッシブ・ジェット・ブラスト・デフレクター
  • 将来拡張用として5%の空間マージン
  • ニミッツ級より広い飛行甲板
  • ニミッツ級比で約2倍の航空機用兵器搭載能力
  • エレベーター減数(ニミッツ級4基、フォード級3基)
右舷側のエレベーターが3基から2基に減ったが、艦橋を後方に下げたため航空機のハンドリングが改善され、出撃回数がニミッツ級の120回/日から160回/日に増加
  • 操艦人員の削減
  • 操艦人員(ニミッツ級3,200人、フォード級2,180人)
  • 航空要員(ニミッツ級2,480人、フォード級2,480人程度を想定)
  • 総乗員(ニミッツ級5,680人、フォード級4,660人)
  • 個艦防御ミサイル

比較編集

超大型航空母艦(スーパー・キャリアー)の比較
CVN フォード級 CVN ニミッツ級 CVN エンタープライズ CV キティホーク級 CV フォレスタル級
排水量 基準 n/a 81,000 t以上 75,700 t 60,728 t - 61,174 t 59,060 t - 60,000 t
満載 101,600 t 95,413 t - 102,000 t以上 93,284 t 82,538 t - 83,573 t 79,250 t - 81,163 t
船体規模 全長 337 m 330 m - 333 m 336 m 319.4 m - 326.9 m 325 m
水線幅 / 最大幅 41 m / 78 m 41 m / 76.8 m 40 m / 76 m 39.6 m / 76.8 m 39.5 m / 76.8 m
主機 機関 原子炉+蒸気タービン ボイラー+蒸気タービン
方式 ギアード・タービン方式
出力 n/a 260,000 hp 280,000 hp 260,000 hp
速力 30 kt以上 33.6 kt 32 kt 34 kt
兵装 砲熕 ファランクスCIWS×2~3基
ミサイル ESSM8連装発射機×2基 シースパロー8連装発射機×2基 シースパロー8連装発射機×2~3基
RAM21連装発射機×2基
航空運用
機能
搭載機数 70機前後 90機 84機 90機
形式 CATOBAR
飛行甲板 アングルド・デッキ
カタパルト 電磁式×4基 蒸気式×4基
ブラスト・
ディフレクター
4基
アレスティング・
ワイヤー
3本 4本
エレベーター 3基 4基
同型艦数 1隻(12隻予定) 10隻 1隻 4隻 4隻
原子力空母の比較
 フォード級  シャルル・ド・ゴール  ニミッツ級  エンタープライズ
排水量 基準 n/a 36,600 t 81,000 t以上 75,700 t
満載 101,600 t 40,600 t 95,413 t - 102,000 t以上 93,284 t
船体規模 全長 337 m 261.5 m 330 m - 333 m 336 m
水線幅 / 最大幅 41 m / 78 m 31.5 m / 64.36 m 41 m / 76.8 m 40 m / 76 m
主機 機関 原子炉+蒸気タービン
方式 ギアード・タービン方式
出力 n/a 83,000 hp 260,000 hp 280,000 hp
速力 30 kt以上 27 kt 30 kt以上 33.6 kt
兵装 砲熕 ファランクスCIWS×2基 20mm単装機関砲×8基 ファランクスCIWS×2~3基
ミサイル ESSM8連装発射機×2基 アスター15VLS×32セル シースパロー8連装発射機×2基
RAM21連装発射機×2基 SADRAL6連装発射機×2基 RAM21連装発射機×2基
航空運用
機能
搭載機数 70機前後 40機 90機 84機
形式 CATOBAR
飛行甲板 アングルド・デッキ
カタパルト 電磁式×4基 蒸気式×2基 蒸気式×4基
ブラスト・
ディフレクター
4基 2基 4基
アレスティング・
ワイヤー
3本 4本
エレベーター 3基 2基 4基
同型艦数 1隻(12隻予定) 1隻 10隻 1隻
大型空母の比較
 フォード級  002型(山東)  アドミラル・クズネツォフ  クイーン・エリザベス級
排水量 基準 n/a 55,000 t(推定) 53,000 t 45,000 t
満載 101,600 t 70,000 t(推定) 59,100 t 67,699 t
船体規模 全長 337 m 315 m(推定) 305 m 284 m
水線幅 / 最大幅 41 m / 78 m 38 m / 75.5 m 38 m / 72 m 39 m / 73 m
主機 機関 原子炉+蒸気タービン n/a ボイラー+蒸気タービン 発電機+電動機
方式 ギアード・タービン ギアード・タービン IFEP
出力 n/a 200,000 hp 96,000 hp(MT30
n/aディーゼル
108,000 hp(電動機)
速力 30 kt以上 31 kt以上(推定) 29 kt 26 kt
兵装 砲熕 ファランクスCIWS×3基 1130型CIWS×3基 AK-630CIWS×6基 ファランクスCIWS×3基
コールチクCIWS×8基 30mm単装機銃×4基
RBU-12000対潜迫撃砲×2基 7.62mm多銃身機銃×多数
ミサイル ESSM8連装発射機×2基 HHQ-1018連装発射機×4基 キンジャールVLS×192セル
RAM21連装発射機×2基 P-700VLS×12セル
航空運用
機能
搭載機数 70機前後 40~70機(推定) 50機前後 48機
形式 CATOBAR STOBAR STOVL
飛行甲板 アングルド・デッキ スキージャンプ式+アングルド・デッキ スキージャンプ式
カタパルト 電磁式×4基
ブラスト・
ディフレクター
4基 3基 1基
アレスティング・
ワイヤー
3本 4本
エレベーター 3基 2基
同型艦数 1隻(12隻予定) 1隻 1隻(準同型1隻 2隻


建造費用編集

研究開発に費やされた50億ドルを含む80億ドルが推測されるが、電磁式カタパルトや、新型の着艦制動装置(AAG)と兵器エレベーター(AWE)の開発遅延のおかげで、2019年1月時点での建造費用は130億ドル(約1兆4,000億円)を越えた[2]。これはニミッツ級の約2倍、海上自衛隊いずも型護衛艦の約10倍にあたる。

同型艦編集

ニミッツ級と同じくアメリカ合衆国において原子力空母の建造および燃料棒交換を唯一行うことのできるニューポート・ニューズ造船所が建造を担当している。

アメリカ海軍は現有のニミッツ級航空母艦11隻に代えて、2030年代末までに本型艦を12隻体制とする方針であり、フォード級3番艦「エンタープライズ」と4番艦(未命名)について、単艦ごとの発注でなく2艦を一括発注することで建造期間と費用を圧縮させることを検討している[3]

一方で、アメリカ議会予算局は2013年の連邦支出削減報告書で、本級の建造を2番艦で中止することで、178億ドルが節約できると指摘している。[4]

艦番号 艦名 起工 進水 就役 更新対象 現況 母港
CVN-78 ジェラルド・R・フォード
USS Gerald R. Ford
2009年
11月13日
2013年
10月11日
2017年
7月22日
CVN-65 就役
(能力検証中)
バージニア州
ノーフォーク海軍基地
CVN-79 ジョン・F・ケネディ
USS John F. Kennedy
2015年
8月22日
2019年
10月29日
2024年予定 CVN-68 建造中
CVN-80 エンタープライズ
USS Enterprise
2020年予定 2025年予定 2027年予定 CVN-69 計画中
CVN-81 ドリス・ミラー
USS Doris Miller
2023年予定 2028年予定 2030年予定 CVN-70 計画中
CVN-82 艦名未命名 2027年予定 2032年予定 2034年予定 CVN-71 計画中

命名編集

キティホーク級航空母艦アメリカ」の退役軍人協会(乗務経験者で組織される)は、本級の1番艦であるCVN-78を「アメリカ」と命名するよう運動を行ってきたが、最終的にはジェラルド・フォード第38代大統領の名が命名されることとなった。なお「アメリカ」の名は、アメリカ級強襲揚陸艦の1番艦であるLHA-6につけられた。

同様に2番艦であるCVN-79についても、命名について様々な憶測や提案がなされた。2007年12月7日には、ハリー・ミッチェル英語版下院議員真珠湾攻撃66周年記念式典において、CVN-79を「アリゾナ」と命名することを提案した。また一部では、CVN-65 エンタープライズが本級の一番艦であるCVN-78 ジェラルド・R・フォードに置き換えられる形で退役する予定であることなどから、CVN-79を「エンタープライズ」と命名するよう求める請願署名をネット上で募る動きもあった[5]。しかし2011年5月29日、レイ・メイバス英語版海軍長官は、CVN-79が「ジョン・F・ケネディ」と命名される予定であることを発表した[6]。「ジョン・F・ケネディ」の名は2007年に退役したキティホーク級の4番艦CV-67以来2代目となる。

2012年12月1日、CVN-65 エンタープライズの退役式典において、レイ・メイバス英語版海軍長官は、CVN-80が「エンタープライズ」と命名されることを発表した[7]。「エンタープライズ」の名は同艦で9代目となる。

出典編集

  1. ^ 「海外艦艇ニュース 米海軍が次期空母にレーザー・ガンを装備」『世界の艦船』第821集(2015年9月号) 海人社
  2. ^ 建造費1.4兆円!米海軍新型「フォード」級空母、カタパルトを「電磁式」から「蒸気式」に変更?” (日本語). 航空万能論GF (2019年5月30日). 2019年7月3日閲覧。
  3. ^ “米海軍「2050年代までに355隻」体制、30年代に前倒しも可能”. 産経新聞. (2018年4月13日). https://www.sankei.com/world/news/180413/wor1804130049-n2.html 2018年4月15日閲覧。 
  4. ^ 「海外艦艇ニュース 米議会予算局による国防費削減案」『世界の艦船』第793集(2014年3月号) 海人社
  5. ^ Signatures for A Petition to name the next United States Navy nuclear powered aircraft carrier the USS ENTERPRISE”. 2009年11月8日閲覧。
  6. ^ Navy Names Next Aircraft Carrier USS John F. Kennedy”. 2011年5月30日閲覧。
  7. ^ Navy’s Next Ford-Class Aircraft Carrier to be Named Enterprise”. 2015年3月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年12月2日閲覧。

外部リンク編集