ジャスティン・スモーク

アメリカのプロ野球選手 (1986 - )

ジャスティン・カイル・スモークJustin Kyle Smoak, 1986年12月5日 - )は、アメリカ合衆国サウスカロライナ州グースクリーク出身のプロ野球選手一塁手)。左投両打。愛称はモーキーMoakey[1]スモーキーSmoakey[2]

ジャスティン・スモーク
Justin Smoak
トロント・ブルージェイズ時代
(2018年4月11日)
基本情報
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
出身地 サウスカロライナ州グースクリーク
生年月日 (1986-12-05) 1986年12月5日(37歳)
身長
体重
193 cm
99 kg
選手情報
投球・打席 左投両打
ポジション 一塁手
プロ入り 2008年 MLBドラフト1巡目
初出場 MLB / 2010年4月23日
NPB / 2021年4月27日
最終出場 NPB / 2021年6月12日
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)
国際大会
代表チーム アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
獲得メダル
男子 野球
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
パンアメリカン競技大会
2007 野球

経歴 編集

プロ入り前 編集

サウスカロライナ大学時代の2007年7月にはブラジルリオデジャネイロで行われた第15回パンアメリカン競技大会における野球競技アメリカ合衆国代表に選出され[3]、銀メダルを獲得した。 大学時代から強打のスイッチヒッターと高い評価を受け、「マーク・テシェイラ二世」とも呼ばれていた[4]

プロ入りとレンジャース時代 編集

2008年6月5日、MLBドラフト1巡目(全体11位)でテキサス・レンジャーズから指名を受け、8月15日に契約金350万ドルで入団に合意。

2010年4月23日のデトロイト・タイガース戦でメジャーデビューを果たし、4打席2打数安打2四球の成績だった。3日後の4月26日の同カードでジェレミー・ボンダーマンからメジャー初安打を記録。さらに3日後の4月29日には、シカゴ・ホワイトソックス戦でメジャー初本塁打を記録した。

マリナーズ時代 編集

2010年7月9日にクリフ・リーを含む4対2のトレードで、シアトル・マリナーズへ移籍した[5]。このトレードの際にはヘスス・モンテロを含む交換要員を提示したニューヨーク・ヤンキースとの間で交渉がまとまりかけていたが、レンジャーズがギリギリのところでスモークを放出要員に追加したことが決め手となり、マリナーズとレンジャーズの間でトレードが成立した[6]

2012年には、7月23日の時点で打率.189と低迷し、一時的に3Aに降格となった[7]。9月以降は打率.341と調子を上げ、最終的な打率は.217だった。

2013年は131試合に出場して打率.238、20本塁打、50打点を記録した。

2014年2月15日にマリナーズと263万ドルの1年契約(2015年・365万ドルのオプション付き)に合意した[8][9]

ブルージェイズ時代 編集

2014年10月28日にウェイバー公示を経てトロント・ブルージェイズへ移籍した[10]。11月1日にブルージェイズが365万ドルの球団オプションを破棄した[11]。12月2日にFAとなったが、翌3日に100万ドルの1年契約を結んだ[12]

2015年一塁手のレギュラーで起用され、自己最多タイの132試合に出場した。打率.226、18本塁打、59打点だった。自身初となるポストシーズンに出場したが、ディビジョンシリーズリーグチャンピオンシップシリーズの8試合で8打数無安打と結果を残せなかった。12月2日にブルージェイズと390万ドルの1年契約を結び、年俸調停を回避した[13]

2016年7月1日のクリーブランド・インディアンス戦でジョシュ・トムリンから通算100号本塁打を達成。7月16日には2年総額850万ドル(2019年・600万ドルの球団側選択オプション付き)で契約を延長した[14]。この年も一塁手で起用されたが、主砲のエドウィン・エンカーナシオンと出場機会を分け合った。126試合の出場で打率.217、14本塁打、34打点を記録。

2017年は前半戦だけでキャリアハイの本塁打を放ち、一塁手部門のファン投票1位にてオールスターゲームに初選出された[15]。6月30日にシーズン22号本塁打を記録したが、これは同年6月の通算1068本塁打目でMLB記録となった[16]。自己最多の158試合に出場し、38本塁打(リーグ5位タイ)、打撃三部門、出塁率、長打率の全てでキャリアハイを記録した。

2018年は、打率.242、25本塁打(チーム1位)、77打点、出塁率.350を記録した。その一方でアメリカンリーグ第8位となる三振率26.3%を記録した[17]

2019年は、121試合の出場で打率.208、22本塁打、61打点を記録した。オフの10月31日にFAとなった[18]

ブルワーズ時代 編集

2019年12月20日にミルウォーキー・ブルワーズと1年契約を結んだ[19]

2020年は、ブルワーズでは33試合の出場で5本塁打を記録。8月13日のシカゴ・カブス戦で先発投手のダルビッシュ有から7回1死にソロ本塁打を放ち、ノーヒット・ノーランを防いだ[20]。9月3日にDFA英語版となり、9月6日にFAになった[18]

ジャイアンツ時代 編集

2020年9月9日にサンフランシスコ・ジャイアンツとマイナー契約を結び、翌10日にメジャー契約を結んでアクティブ・ロースター入りした。3試合に出場して無安打と結果を残せず9月21日にDFAとなり、翌22日にFAになった[18]

巨人時代 編集

2021年1月7日に読売ジャイアンツと契約したことが発表された。総額600万ドル(金額は推定)の2年契約[21][22]で、背番号は10[23]

2021年はCOVID-19流行の影響による入国制限で来日が3月29日にずれ込んだ[24]。隔離生活を経て4月中旬にチームに合流。4月27日に一軍へと昇格した[25]。同日の東京ヤクルトスワローズ戦(明治神宮野球場)では5番・一塁手で先発出場し、NPB初出場を果たした。NPB初打席でNPB初安打を記録した[26]。4月28日のヤクルト戦でNPB初本塁打を記録した[27]。その後も、主に5番打者として34試合に出場し7本塁打を放っていたが、セ・パ交流戦明けの6月17日に、帰国・退団することが発表された[28][29]。娘たちに異国の文化を学ばせることが来日の理由の一つであったが、COVID-19の影響で家族の来日の見通しが立たず、さらには緊急事態宣言が発令されていたため外出を自粛することになり、ストレスが溜まっていたという[28][29]。このような状態でチームに混ざるのは申し訳ないとの理由から、退団を決断した[28][29]。6月24日に自由契約公示された。

プレースタイル 編集

元々は左利きであったが、野球を始めた当初は右打ちであった。10 - 11歳の頃に父親の勧めで左打ちを練習するようになり、両打ちでプレーするようになった[30]。メジャー時代(2010年 - 2020年)の196本塁打のうち、左打席で155本、右打席で41本を記録している[30]

人物 編集

2010年10月に高校時代の恋人クリスティンと結婚し[31]、二女をもうけた[32]。2011年4月、肺がんによって父親キースを亡くした[33]

詳細情報 編集

年度別打撃成績 編集

















































O
P
S
2010 TEX 70 275 235 29 49 10 0 8 83 34 1 0 0 2 38 4 0 57 6 .209 .316 .363 .670
SEA 30 122 113 11 27 4 0 5 46 14 0 0 0 1 8 0 0 34 3 .239 .287 .407 .694
'10計 100 397 348 40 76 14 0 13 129 48 1 0 0 3 46 4 0 91 9 .218 .307 .371 .678
2011 123 489 427 38 100 24 0 15 169 55 0 0 0 4 55 4 3 105 10 .234 .323 .396 .719
2012 132 535 483 49 105 14 0 19 176 51 1 0 0 2 49 2 1 111 12 .217 .290 .364 .654
2013 131 521 454 53 108 19 0 20 187 50 0 0 0 1 64 1 2 119 11 .238 .334 .412 .746
2014 80 276 248 28 50 13 0 7 84 30 0 1 0 2 24 0 2 66 8 .202 .275 .339 .614
2015 TOR 132 328 296 44 67 16 1 18 139 59 0 0 0 1 29 0 2 86 10 .226 .299 .470 .768
2016 126 341 299 33 65 10 0 14 117 34 1 0 0 0 40 1 2 112 7 .217 .314 .391 .705
2017 158 637 560 85 151 29 1 38 296 90 0 1 0 2 73 3 2 128 17 .270 .355 .529 .883
2018 147 595 505 67 122 34 0 25 231 77 0 1 0 3 83 2 3 156 11 .242 .350 .457 .808
2019 121 500 414 54 86 16 0 22 168 61 0 0 0 1 79 3 6 106 11 .208 .342 .406 .748
2020 MIL 33 126 113 14 21 7 0 5 43 15 0 0 0 1 10 0 2 40 3 .186 .262 .381 .642
SF 3 6 6 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2 1 .000 .000 .000 .000
'20計 36 132 119 14 21 7 0 5 43 15 0 0 0 1 10 0 2 42 4 .176 .250 .361 .611
2021 巨人 34 125 114 11 31 3 0 7 55 14 0 0 0 0 10 0 1 37 2 .272 .336 .482 .818
MLB:11年 1286 4750 4153 505 951 196 2 196 1739 570 3 3 0 20 552 20 25 1122 110 .229 .322 .419 .740
NPB:1年 34 125 114 11 31 3 0 7 55 14 0 0 0 0 10 0 1 37 2 .272 .336 .482 .818
  • 2021年度シーズン終了時

年度別守備成績 編集



一塁(1B)












2010 TEX 69 545 35 4 53 .993
SEA 25 233 15 1 18 .996
'10計 94 778 50 5 71 .994
2011 108 884 59 7 87 .993
2012 131 1094 70 4 119 .997
2013 125 1035 60 5 101 .995
2014 79 588 31 2 60 .997
2015 TOR 110 666 44 4 74 .994
2016 111 753 38 3 69 .996
2017 151 1244 66 2 127 .998
2018 134 1036 39 1 98 .999
2019 89 686 42 2 64 .995
2020 MIL 31 208 11 2 26 .991
SF 0 0 0 0 0 .---
'20計 31 208 11 2 26 .991
2021 巨人 25 180 8 4 14 .979
MLB 1163 8972 510 39 896 .996
NPB 25 180 8 4 14 .979
  • 2021年度シーズン終了時
  • 各年度の太字はリーグ最高

表彰 編集

記録 編集

MLB 編集

NPB 編集

初記録

背番号 編集

  • 12(2010年 - 同年途中、2020年 - 同年途中)
  • 17(2010年途中 - 2014年)
  • 14(2015年 - 同年途中、2016年 - 2019年)
  • 13(2015年途中 - 同年終了)
  • 46(2020年途中 - 同年終了)
  • 10(2021年 - 同年6月23日)

代表歴 編集

  • 2007年パンアメリカン競技大会野球アメリカ合衆国代表

登場曲 編集

脚注 編集

  1. ^ Joey Bats to be big part of Players Weekend MLB.com (英語) (2017年8月9日) 2017年8月14日閲覧
  2. ^ Blue Jays Players Weekend nicknames explained MLB.com (英語) (2017年8月24日) 2017年8月27日閲覧
  3. ^ 2007 Pan American Team Roster USABaseball.com: The Official Site of USA Baseball (英語) (2010年9月21日) 2017年7月2日閲覧
  4. ^ Rangers' draft mood goes up in Smoak.” (英語). Dallas Morning News (2008年6月5日). 2008年6月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年1月6日閲覧。
  5. ^ T.R. Sullivan (2010年7月9日). “Rangers acquire Lee from Mariners” (英語). MLB.com. 2016年1月6日閲覧。
  6. ^ Larry Stone (2012年3月27日). “Comparing the 2012 and 2011 Mariners (plus a predicted record and finish)” (英語). The Seattle Times. 2013年4月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年1月6日閲覧。
  7. ^ Nick Eaton (2012年7月23日). “Mariners option Justin Smoak to Triple-A Tacoma” (英語). Seattle pi. Hearst Seattle Media, LLC. 2016年1月6日閲覧。
  8. ^ "Seattle Mariners first baseman Justin Smoak agrees to contract, avoids arbitration" (Press release) (英語). MLB.com (Seattle Mariners). 15 February 2014. 2016年1月6日閲覧
  9. ^ Greg Johns (2014年2月15日). “Smoak avoids arbitration with one-year deal, '15 option” (英語). MLB.com. 2016年1月6日閲覧。
  10. ^ "Blue Jays claim Smoak" (Press release) (英語). MLB.com (Toronto Blue Jays). 28 October 2014. 2016年1月6日閲覧
  11. ^ "Blue Jays Trade Lind" (Press release) (英語). MLB.com (Toronto Blue Jays). 1 November 2014. 2016年1月6日閲覧
  12. ^ “Blue Jays sign 1B Justin Smoak to 1-year deal” (英語). Sports Illustrated. (2014年12月3日). http://www.si.com/mlb/2014/12/03/toronto-blue-jays-justin-smoak-contract 2016年1月6日閲覧。 
  13. ^ Gregor Chisholm (2015年12月2日). “Smoak avoids arbitration with 1-year, $3.9M deal” (英語). MLB.com. 2016年1月6日閲覧。
  14. ^ Blue Jays, Smoak agree to two-year extension” (英語). MLB.com (2016年7月16日). 2017年2月19日閲覧。
  15. ^ Blue Jays' Justin Smoak to make 1st all-star appearance”. cbc.ca (2017年7月2日). 2017年7月26日閲覧。
  16. ^ MLB sets mark for most homers in a month MLB.com (英語) (2017年6月30日) 2017年8月3日閲覧
  17. ^ American League Leaderboards » 2018 » Batters » Dashboard | FanGraphs Baseball
  18. ^ a b c Justin Smoak Stats, Fantasy & News” (英語). MLB.com (2020年9月22日). 2020年9月23日閲覧。
  19. ^ Adam McCalvy (2019年12月20日). “Brewers ink Smoak, Sogard to one-year deals” (英語). MLB.com. 2019年12月21日閲覧。
  20. ^ カブスのダルビッシュ 史上初の無観客でノーヒットノーランはならず…7回1死から痛恨の被弾”. 中日スポーツ (2020年8月14日). 2020年9月23日閲覧。
  21. ^ 新外国人選手との契約合意について”. 読売巨人軍公式サイト (2021年1月7日). 2021年5月9日閲覧。
  22. ^ “巨人に〝MLB通算196発男〟スモークが正式入団「待っていてください!」”. 東京スポーツ. (2021年1月7日). https://www.tokyo-sports.co.jp/articles/-/218421 2021年3月31日閲覧。 
  23. ^ 巨人が新助っ人スモーク獲得を正式発表 背番号「10」超強力打線形成へ”. デイリースポーツ (2021年1月7日). 2021年5月9日閲覧。
  24. ^ 巨人 新外国人スモーク&テームズが来日 メルセデス、ウレーニャも”. スポーツニッポン (2021年3月29日). 2021年4月27日閲覧。
  25. ^ 【27日の公示】巨人・野上、スモーク、テームズ登録 ソフトB高橋礼抹消”. スポーツニッポン (2021年4月27日). 2021年4月27日閲覧。
  26. ^ 【巨人】新外国人のJ・スモークが来日初打席の初スイングでヒット”. スポーツ報知 (2021年4月27日). 2021年4月28日閲覧。【巨人】マルチ安打デビューのスモークに原監督も称賛「見事なデビューだった」”. スポーツ報知 (2021年4月27日). 2021年4月28日閲覧。
  27. ^ 【巨人】スモーク特大1号含む3安打、シフト関係なし 原監督「対応力がありますね」”. スポーツ報知 (2021年4月28日). 2021年4月29日閲覧。
  28. ^ a b c “巨人激震!スモーク退団へ コロナ余波で家族来日できず…帰国決断、ここまで34試合7本塁打”. スポーツニッポン. (2021年6月17日). https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2021/06/17/kiji/20210617s00001173134000c.html 2021年6月17日閲覧。 
  29. ^ a b c “退団巨人スモーク家族にも相談せず決断「いつもファミリー、ファミリーと」”. 日刊スポーツ. (2021年6月17日). https://www.nikkansports.com/m/baseball/news/202106170000694_m.html 2021年6月17日閲覧。 
  30. ^ a b 【巨人】スモーク「背番号10に恥じない活躍をしたい」阿部2軍監督の願い背負う…独占インタビュー”. スポーツ報知 (2021年5月7日). 2021年5月9日閲覧。
  31. ^ Justin Smoak’s wife Kristin Smoak” (英語). PLAYER WIVES (2015年9月20日). 2020年9月23日閲覧。
  32. ^ Smoak wouldn’t trade Blue Jays experience for the world” (英語). The Tront Star (2019年6月12日). 2020年9月23日閲覧。
  33. ^ Justin Smoak faces big adjustment with death of his confidant father” (英語). The Seattle Times (2011年5月3日). 2020年9月23日閲覧。
  34. ^ 巨人スモークは名前に引っかけたディープ・パープルの名曲が登場曲”. 日刊スポーツ (2021年4月30日). 2021年5月10日閲覧。

関連項目 編集

外部リンク 編集