ジュニアオリンピック陸上競技大会

ジュニアオリンピック陸上競技大会(ジュニアオリンピックりくじょうきょうぎたいかい)は、日本陸連の主催で毎年秋に行われる中学生世代の陸上競技大会である。いくつかの改称及び参加資格変更を経ており、2021年以降の大会名は、JOCジュニアオリンピックカップ U16陸上競技大会である。

歴史 編集

第1回(1970年11月、国立競技場)から第2回までの大会名はジュニア陸上競技選手権大会、第3回から第6回までは全日本ジュニア陸上競技選手権大会である[1]

当初は、大1年・高3年相当がAクラス、高1・2年相当がBクラス、中学生相当がCクラスに分けられていたが[1]、第8回以降は頻繁に出場資格やクラス分けのルールが改定されることとなる。※下記参照

第5回(1974年)に先立って開催された第1回全日本中学校陸上競技選手権大会の影響で、当大会もそれまでの運動会的な雰囲気を脱して本格的な競技会へと変貌する[1]。これにより中学生選手にとって当大会が全中陸上(高校生選手はインターハイ)のリベンジ大会の側面を持つようになった[2]

第7回(1976年)から大会名をジュニアオリンピック陸上競技大会に改称。

第8回(1977年)に、新種目としてソフトボール投が追加された[1]

第10回(1979年)は、韓国選抜と豪クイーンズランド州選抜が参加[1]

第18回(1987年)から、10月開催に変更[3]。1994年のみ11月開幕。

第21回(1990年)は、国立競技場が改修中のため静岡県草薙総合運動場で開催[3]

第30回(1999年)からは横浜国際総合競技場で開催[3]

第31回(2000年)から新種目が追加[3]。(男子B・Cと女子Bに円盤投とジャベリックスロー。女子Cにジャベリックスロー)

参加者増による過密日程のため第35回(2004年)は、トラック競技の一部が準決勝廃止、フィールド競技も予選廃止や同時展開で行われた[3]

第36回(2005年)から中学生世代のみの大会となる[3]。(学年でクラス分け。学年と年齢が相違している場合は年齢に該当する区分にエントリー。外国籍者はオープン参加)。

第37回(2006年)から第48回(2017年)まで、日本陸上競技選手権リレー競技大会と同時開催。

第49回(2018年)から学年度別クラス分けが廃止され、(中学1年生を除く)早生まれの者はひとつ下のクラスに変更となった。そのため早生まれの高校1年生世代(専門学生や団体・個人登録者含む)の参加が可能となる(円盤投、ジャベリックスロー、リレーを除く)。この措置は、2017年夏のインターハイでU18日本新記録を樹立した早生まれの高3選手が秋のU18日本選手権(旧ユース陸上)の出場資格を得られなかったことによる統一ルール制定である[2]

第50回(2019年)はラグビーワールドカップ開催の関係上川崎市等々力競技場で開催予定であったが、初日以外は令和元年東日本台風(台風19号)接近のため中止となった。

2020年の第51回大会は、新型コロナの影響による全中陸上の中止に伴う措置で、学年度別のJOCジュニアオリンピックカップ 全国中学生陸上競技大会2020として開催。全国高等学校陸上競技大会2020並びに日本選手権リレーと同時開催された。

2021年は、大会名をJOCジュニアオリンピックカップ 第15回U18/第52回U16陸上競技大会に改称して、愛媛県総合運動公園陸上競技場で開催。

クラス分けの変遷 編集

※実際には実学年ではなく基準日(4月1日あるいは12月31日[4])時点での満年齢で区分けされるが、便宜上学年で記す。

第1回〜第7回 - A(大1・高3)、B(高1・2)、C(中学生)

第8回 - A(大1・高2・3)、B(高1・中3) 、C(中1・2)

第9回 - A(高2・3)、B(高1・中3)、C(中2)、D(中1)

第10回〜第15回 - A(高1・2)、B(中2・3)、C(中1)。5000m競歩のみ高3の出場可。

第16回〜第17回 - A(高1・2)、B3(中3)、B2(中2)、C(中1)

第18回〜第20回 - A(高1・2)、B(中3)、C(中2)、D(中1)

第21回〜第24回 - A(高2・3)、B(高1・中3)、C(中2)、D(中1)

第25回〜第28回 - A(高1・2)、B(中3)、C(中2)、D(中1)

第29回〜第35回 - A(高1)、B(中3)、C(中2)、D(中1)

第36回〜第48回、第51回 - A(中3)、B(中2)、C(中1)

第49回〜第50回、第52回 - A(遅生まれの中3と早生まれの高1)、B(遅生まれの中2と早生まれの中3)、C(中1と早生まれの中2)

実施種目 編集

数年おきに変更される場合がある。ここでは2012年のものを参考にする。

男子 編集

Aクラス

100m200m3000m110mH(0.991m/9.14m)走高跳砲丸投(5kg)

Bクラス

100m1500m110mH(0.914m/9.14m)走幅跳砲丸投(4kg)

Cクラス

100m1500m走幅跳

A・B・Cクラス共通

円盤投(1.5kg)・ジャベリックスロー(0.3kg)

A・B・Cクラス共通

4×100mR

女子 編集

Aクラス

100m200m3000m100mYH(0.762m/8.5m)走高跳砲丸投(4kg)

Bクラス

100m1500m100mH(0.762m/8.0m)走幅跳砲丸投(2.721kg)

Cクラス

100m800m走幅跳

A・B・Cクラス共通

円盤投(1kg)・ジャベリックスロー(0.3kg)

A・B・Cクラス共通

4×100mR

大会記録 編集

男子 編集

種目 記録 選手 所属 備考
A 100m 10秒68 池上洋二郎
大瀬戸一馬
日吉克実
山鹿中(熊本)
新津中(福岡)
修善寺中(静岡)
第20回
第40回
第41回
1989年
2009年
2010年
中学歴代4位
200m 21秒36 為末大 五日市中(広島) 第24回 1993年 中学歴代2位
400m 49秒07 加藤晴康 雄踏中(静岡) 第17回 1986年 廃止
800m 1分55秒28 渡邊光 明倫中(山形) 第34回 2003年 廃止
3000m 8分17秒84 石田洸介 浅川中(福岡) 第48回 2017年 日本中学記録
110mJH

(0.991m/9.14m)

14秒24 仲田祥平 西脇中(兵庫) 第38回 2007年 中学歴代最高
走高跳 2m10 境田裕之 春光台中(北海道) 第17回 1986年 日本中学記録
砲丸投

(5.000kg)

17m31 武田歴次 美馬中(徳島) 第41回 2010年
B 100m 10秒88 佐藤章仁 郡山五中(福島) 第27回 1996年 中二歴代5位
1500m 3分58秒96 石田洸介 浅川中(福岡) 第47回 2016年 中二歴代最高
110mMH

(0.914m/9.14m)

14秒50 鹿田真翔 飯田中(香川) 第48回 2017年 中二歴代3位
走幅跳 7m00 間中太亮 岩名中(千葉) 第41回 2010年
砲丸投

(4.000kg)

17m31 石田歩 福崎東中(兵庫) 第41回 2010年
C 100m 11秒20 鈴木祐太 本郷中(愛知) 第38回 2007年 中一歴代3位
1500m 4分04秒00 佐々木塁 盛岡河南中(岩手) 第45回 2014年 中一歴代最高
100mMH

(0.840m/8.5m)

13秒84 岩崎聖 東海中(愛知) 第40回 2009年 中一歴代最高
走幅跳 6m44 松田敬佑 鹿児島ジュニア(鹿児島) 第40回 2009年
砲丸投 17m79 古市裕磨 高瀬中(香川) 第34回 2003年 廃止
A
B
C
円盤投

(1.0kg/A・B)

61m24 蓬田和正 別府中(兵庫) 第33回 2002年 中学歴代最高 1.5kgへ移行
円盤投

(1.5kg)

51m23 幸長慎一 姫路東中(兵庫) 第43回 2012年
ジャベリックスロー(0.300kg) 81m11 比嘉遥 久辺中(沖縄) 第44回 2013年 中学歴代最高
A
B
C
4×100mR 42秒16 岩浪巧実
小野寺潤
太田善
堀田俊斗
埼玉選抜 第46回 2016年

女子 編集

種目 記録 選手 所属 備考
A 100m 11秒79 鈴木くるみ 上富良野中(北海道) 第47回 2016年 中学歴代4位
200m 23秒99 ハッサン・ナワール 松戸五中(千葉) 第50回 2019年 中学歴代1位
3000m 9分12秒89 久馬悠 綾部中(京都) 第39回 2008年 中学歴代3位
100mYH

(0.762m/8.5m)

13秒93 藤森菜那 浜松入野中(静岡) 第43回 2012年 中学歴代最高
走高跳 1m72 兵藤典子 観山中(静岡) 第13回 1982年
磯本亜矢子 観音中(広島) 第15回 1984年
砲丸投 12m54 郡菜々佳 淀川中(大阪) 第43回 2012年
B 100m 12秒01 鈴木咲子 大中山中(北海道) 第21回 1990年 中二歴代2位
1500m 4分24秒73 木村友香 籠上中(静岡) 第39回 2008年 中二歴代最高
100mH

(0.762m/8.0m)

13秒98 澤田イレーネオギモンギ KMC陸上クラブ(東京) 第42回 2011年
走高跳 1m75 佐藤恵 木戸中(新潟) 第11回 1980年
走幅跳 5m85 天城帆乃香 天竜中(静岡) 第42回 2011年
砲丸投 14m49 渡辺希実 美浜中(福井) 第34回 2003年
C 100m 12秒19 北祐子 蒲原中(東京) 第11回 1980年 中一歴代最高
100mH 14秒84 中原元子 函館北中(北海道) 第37回 2006年 中一歴代2位
走幅跳 5m47 小野田吏紗 静岡東中(静岡) 第43回 2012年
砲丸投 13m48 冨田江利奈 島田中(山口) 第32回 2001年
A
B
C
円盤投 39m77 助永仁美 生田中(兵庫) 第34回 2003年
ジャベリックスロー 56m11 田中来夢 吉備中(岡山) 第42回 2011年 中学歴代最高
A
B
C
4×100mR 47秒26 小野田吏紗
大竹佑奈
渡邉菜月
天城帆乃香
静岡選抜 第43回 2012年

レベルの高い標準記録 編集

この大会は、毎年8月に行われる全日本中学校陸上競技選手権大会(全中)と同じように標準記録が設けられているが、Bクラスの標準記録が全中を超えるほどレベルが高く、各都道府県各種目に記録突破者がいない場合すらある。 その場合、各都道府県から選考された者のみがジュニアオリンピック陸上競技大会に出場できる。また、もとから標準記録が設けられていない種目もあり、その種目は各都道府県から一人が出場できる。以上のことから、国体と同じように各都道府県から1種目1人ずつを基本としていて、なおかつ非常に高い実力を持ちながら代表から漏れてしまう選手のことも考慮されているものだと思われる(国体はどんなにレベルが高くても1人まで)。

過去の主な参加者 編集

[1][3]

2回試技 編集

第51回(2020年)からフィールド競技の試技が2回に変更された。

脚注 編集

関連項目 編集

外部リンク 編集