ジュリアーノ・アレジ

フランス出身のレーシングドライバー (1999-)

ジュリアーノ・リュウ・アレジGiuliano Ryu Alesi, 1999年9月20日 - )は、フランスアヴィニョン出身のレーシングドライバー。日本名は後藤 龍(ごとう りゅう)

ジュリアーノ・アレジ
Giuliano Alesi
スペインGPでのアレジ (2018年)
基本情報
国籍 フランス、日本
生年月日 (1999-09-20) 1999年9月20日(24歳)
出身地 フランスの旗 フランス
同・アヴィニョン
親族 ジャン・アレジ (父)
後藤久美子 (母)
エレナ・アレジ・後藤 (姉)
スーパーフォーミュラ(SF)およびSUPER GTでの経歴
デビュー 2021(SF)
2021(SUPER GT)
所属 Kuo VANTELIN TEAM TOM'S(SF)
TGR TEAM au TOM'S(SUPER GT)
車番 36(SF)
36(SUPER GT)
過去所属 arto Ping An Team Thailand(SUPER GT)
出走回数 15(SF)
16(SUPER GT)
優勝回数 1(SF)
ポールポジション 1(SF)
過去参加シリーズ
2015
2015-16
2016-18
2019-20
2021
フランス・F4選手権
MRF・チャレンジ
GP3シリーズ
FIA F2選手権
全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権

父は元F1ドライバーで実業家ジャン・アレジ、母は女優モデル後藤久美子、姉はモデルのエレナ・アレジ・後藤。

経歴 編集

カート 編集

1999年フランスアヴィニョンで誕生し、スイス・ジュネーブの邸宅で育つ。13歳の時にレーサーを目指すことを許され、2013年から本格的なカートキャリアをスタートさせる。KF3カテゴリーの「42° トロフェオ・デル・インダストリー」では14位に入る。

2014年は、「イタリアン・チャンピオンシップ」へ参戦し21ポイントを獲得して総合14位で終える。KFJカテゴリーとなる「25° トロフェオ・アンドレア・マルグッティ」では28位という成績だった。

フランス・F4選手権 編集

2015年3月、フランス・F4選手権へ移すことを発表した。開幕戦の第1レースでポールポジションを獲得すると、決勝レースではファステストラップを記録しながら首位を譲らずトップでチェッカーを受け、ポールトゥーウィンを達成した。第2レースではリタイアしたが、第3レースでも再びファステストラップを含むポールトゥーウィンを果たした。シーズンを通じて3回の優勝を決め、総合4位の好成績を残した。同選手権のジュニア・F4・チャンピオンシップ部門では2位に入った。

GP3/FIA F2 編集

2015年12月には、アーデン・インターナショナル英語版イエンツァー・モータースポーツ英語版GP3ポストシーズンテストに参加した。その後、トライデントTrident)からGP3本戦に参戦することが発表された[1][2]。第2戦オーストリアラウンドのフリー走行中、1コーナーで減速できずコースアウトし真正面からウォールに激突した[3]。アレジ自身は大事に至らなかったが、衝突の際体に46G以上の衝撃を受ける。メディカルチェックを受け、大事を取り第1・第2レースの欠場を言い渡される。次戦のイギリスラウンドから復帰した。

2019年にトライデントからF2にデビュー、ドライバーズランキング15位で初年度を終える。

2020年にBWT・HWAレースラボへ移籍。

フォーミュラ1 編集

2016年3月、当時GP3ドライバーだったシャルル・ルクレールと共にフェラーリ・ドライバー・アカデミー (FDA) の一員となった[4]

2021年1月にフィオラノ・サーキットで2018年マシンを使ったF1テストに参加した。このテストを最後にフェラーリ・ドライバー・アカデミー(FDA)の一員から外れ、活動の拠点を日本に移す事を表明した。

日本 編集

2021年はトムスから全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権に、トヨタ・チーム・タイランドからSUPER GT・GT300クラスに参戦。またスーパーフォーミュラにも、中嶋一貴FIA 世界耐久選手権(WEC)参戦のため欠場する際にトムスから代役として参戦し、デビュー戦ながら予選8位、決勝では9位入賞。そして自身2戦目となる第3戦オートポリスではポールポジションを獲得、決勝戦は悪天候による赤旗中断のままレース終了となり、初優勝を果たした[5][6][7]。日本のトップフォーミュラにおける外国人の2戦目での優勝はロイック・デュバル以来、歴代では1996年のラルフ・シューマッハも合わせて3人目となる。

2022年はGT500クラスにステップアップし、チャンピオンマシンの36号車で坪井翔とコンビを組んだ。また、スーパーフォーミュラに関してもトムスからフル参戦する。

2023年も体制は変わらないが、SUPER GTでは37号車に変更となり、チームメイトは笹原右京となる。しかしスーパーフォーミュラに関しては、結果的に同年のチャンピオンを獲得するチームメイトの宮田莉朋と比べて戦績が芳しくなかったことを理由に第6戦富士から笹原に交代となり、自身はGT500に専念する。

2024年、SUPER GT/GT500クラスに引き続き笹原とのコンビで参戦する[8]

人物 編集

  • 母親が日本人(後藤久美子)のため、日本の国籍を持っており[9]、日本語も「幼い頃は流暢に話せた」という。現在は敬語を含む難解な内容や日常会話については問題なくこなせるレベルの会話は可能となっている一方で、やや居住地である静岡県東部地方のイントネーションが現れる場面がある。インタビューはほぼ日本語で行う場面が多く、通訳を介す場面は見られない。[10]。ただしフランスで取得したライセンスでレースに参戦しているため、優勝時の国旗・国歌はフランスのものが使用される。
  • ヘルメットカラーは父・ジャンが尊敬していた、エリオ・デ・アンジェリスがモチーフ。ジュリアーノがスーパーフォーミュラで初ポールポジション獲得した日は、エリオの命日でもあった[11]
  • 父・ジャンはF1のティレル所属時代に、中嶋悟とチームメイトであった。ジュリアーノが日本で中嶋とシートをシェアしたことで、親子2代でのチームメイトが実現した。
  • 愛車はトヨタ・ランドクルーザー
  • 2022年4月10日のジャンクSPORTS3時間スペシャルで母・後藤(スイスからリモート出演)と共にゲスト出演時、日本でレースをするときマスコミに冗談で「レースクイーンが好き」と発言したところ、この記事が独り歩きし「スケベな奴」と評価され、苦労したと語っている。
  • 2023年シーズンからは、個人アドバイザーとして片岡龍也と契約し、スーパーフォーミュラのレースに帯同する[12]
  • スポンサーである豊田章夫社長(当時)との対談では、「豚カツが好き。しかも柔らかくてサクサクしたもの。」と発言している。

レース戦績 編集

略歴 編集

シリーズ チーム レース 勝利 PP FL 表彰台 ポイント 順位
2015 フランス・F4選手権 オートスポーツ・アカデミー 21 3 2 2 4 168.5 4位
2015-16 MRF・チャレンジ・フォーミュラ2000 MRF・チャレンジ 4 0 0 0 0 3 23位
2016 GP3シリーズ トライデント 15 0 0 0 0 1 22位
2017 15 3 0 1 4 99 5位
2018 18 1 0 1 4 100 7位
2019 FIA フォーミュラ2選手権 22 0 0 0 0 20 15位
2020 BWT・HWA・レースラボ 24 0 0 1 0 12 17位
MP・モータースポーツ
2021 スーパーフォーミュラ・ライツ TEAM TOM'S 16 4 2 3 13 103 2位
スーパーフォーミュラ Kuo VANTELIN TEAM TOM'S 5 1 1 0 1 20 11位
SUPER GT arto Ping An Team Thailand 8 0 0 0 0 0 NC
2022 スーパーフォーミュラ Kuo VANTELIN TEAM TOM'S 10 0 0 0 0 3 20位
SUPER GT TGR TEAM au TOM'S 8 0 0 0 1 29.5 10位

GP3シリーズ 編集

エントラント 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 順位 ポイント
2016年 トライデント ESP
FEA

22
ESP
SPR

16
AUT
FEA

DNS
AUT
SPR

DNS
GBR
FEA

16
GBR
SPR

Ret
HUN
FEA

19
HUN
SPR

16
GER
FEA

Ret
GER
SPR

14
BEL
FEA

10
BEL
SPR

12
ITA
FEA

DNS
ITA
SPR

19
MAL
FEA

16
MAL
SPR

13
ABU
FEA

11
ABU
SPR

10
22位 1
2017年 CAT
FEA

17
CAT
SPR

11
RBR
FEA

6
RBR
SPR

2
SIL
FEA

7
SIL
SPR

1
HUN
FEA

6
HUN
SPR

1
SPA
FEA

7
SPA
SPR

1
MNZ
FEA

6
MNZ
SPR

C
JER
FEA

9
JER
SPR

7
YMC
FEA

Ret
YMC
SPR

10
5位 99
2018年 CAT
FEA

7
CAT
SPR

1
LEC
FEA

3
LEC
SPR

6
RBR
FEA

6
RBR
SPR

Ret
SIL
FEA

8
SIL
SPR

2
HUN
FEA

17
HUN
SPR

16
SPA
FEA

9
SPA
SPR

6
MNZ
FEA

6
MNZ
SPR

2
SOC
FEA

14
SOC
SPR

17
YMC
FEA

6
YMC
SPR

10
7位 100

FIA フォーミュラ2選手権 編集

エントラント 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 DC ポイント
2019年 トライデント BHR
FEA

12
BHR
SPR

DSQ
BAK
FEA

Ret
BAK
SPR

Ret
CAT
FEA

Ret
CAT
SPR

16
MON
FEA

11
MON
SPR

Ret
LEC
FEA

10
LEC
SPR

14
RBR
FEA

13
RBR
SPR

Ret
SIL
FEA

17
SIL
SPR

Ret
HUN
FEA

13
HUN
SPR

12
SPA
FEA

C
SPA
SPR

C
MNZ
FEA

7
MNZ
SPR

7
SOC
FEA

13
SOC
SPR

8
YMC
FEA

8
YMC
SPR

5
15位 20
2020年 BWT・HWA・レースラボ RBR
FEA

6
RBR
SPR

Ret
RBR
FEA

21
RBR
SPR

15
HUN
FEA

11
HUN
SPR

10
SIL
FEA

19
SIL
SPR

18
SIL
FEA

16
SIL
SPR

20
CAT
FEA

Ret
CAT
SPR

19
SPA
FEA

18
SPA
SPR

14
MNZ
FEA

18
MNZ
SPR

12
MUG
FEA

Ret
MUG
SPR

Ret
17位 12
MP・モータースポーツ SOC
FEA

14
SOC
SPR

16
BHR
FEA

17
BHR
SPR

13
BHR
FEA

15
BHR
SPR

6

(key)

全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権 編集

チーム エンジン クラス 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 順位 ポイント
2021年 TEAM TOM'S TOYOTA TOM'S TAZ31 FSW
1

3
FSW
2

6
FSW
3

3
SUZ
1

2
SUZ
2

3
SUZ
3

2
AUT
1

2
AUT
2

2
AUT
3

C
SUG
1

1
SUG
2

4
SUG
3

1
TRM
1

3
TRM
2

2
TRM
3

2
TRM
1

1
TRM
2

12
TRM
3

1
2位 103

スーパーフォーミュラ 編集

チーム シャシー エンジン 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 順位 ポイント
2021年 Kuo VANTELIN TEAM TOM'S ダラーラ・SF19 トヨタ FSW SUZ
9
AUT
1
SUG
9
TRM
16
TRM SUZ
8
11位 20
2022年 FSW
17
FSW
8
SUZ
15
AUT
DNF
SUG
13
FSW
Ret
MOT
13
MOT
Ret
SUZ
21
SUZ
17
20位 3
2023年 VANTELIN TEAM TOM'S ダラーラ・SF23 トヨタ FSW
Ret
FSW
Ret
SUZ
8
AUT
13
SUG
Ret
FSW
MOT
SUZ
SUZ
17位 3

SUPER GT 編集

チーム 使用車両 クラス 1 2 3 4 5 6 7 8 順位 ポイント
2021年 arto Ping An Team Thailand レクサス・RC F GT3 GT300 OKA
24
FSW
22
SUZ
20
TRM
Ret
SUG
17
AUT
Ret
TRM
17
FSW
20
NC 0
2022年 TGR TEAM au TOM'S トヨタ・スープラ GT500 OKA
6
FSW
2
SUZ
10
FSW
4
SUZ
9
SUG
10
AUT
8
MOT
9
10位 29.5
2023年 OKA
13
FSW
6
SUZ
11
FSW
8
SUZ
11
SUG
10
AUT
7
MOT
9
15位 15

脚注 編集

出典 編集

  1. ^ ジュリアーノ・アレジ、来季GP3に参戦”. AUTO SPORT web (2015年12月20日). 2016年8月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年7月9日閲覧。
  2. ^ アレジ息子がGP3参戦”. F1 EXPRESS (2016年2月3日). 2016年7月9日閲覧。
  3. ^ GP3でジュリアーノ・アレジが大クラッシュ。46Gの衝撃でドクターストップに”. AUTO SPORT web (2016年7月3日). 2016年7月6日閲覧。
  4. ^ シャルル・ルクレールとジュリアーノ・アレジがFDA入り”. ESPN F1 (2016年3月2日). 2016年3月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年7月6日閲覧。
  5. ^ ジュリアーノ・アレジ、初優勝「良いスタートができて本当にうれしかった」 / スーパーフォーミュラ”. f1-gate.com (2021年5月17日). 2021年5月18日閲覧。
  6. ^ 後藤久美子の長男ジュリアーノ・アレジ、スーパーフォーミュラ初優勝 母から「おめでとう」/モーター”. SANSPO.COM (2021年5月16日). 2021年5月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年5月18日閲覧。
  7. ^ 2021年 第3戦 荒天のオートポリスをジュリアーノ・アレジが制覇! | SUPER FORMULA Official Website”. JP SUPER FORMULA. 2021年5月18日閲覧。
  8. ^ トヨタGRが2024年スーパーGT GT500クラス参戦体制を発表 オートスポーツ 2023年12月12日閲覧
  9. ^ ジュリアーノ・アレジ、今季はSFライツとGT300参戦へ。父ジャンが明かす - motorsport.com 2021年1月27日
  10. ^ ジュリアーノ・アレジ、日本でのキャリアをスタート「ここには、どこよりも大きなチャンスがある」 - motorsport.com 2021年3月6日
  11. ^ “ゴクミとアレジの愛息がSF初優勝 G・アレジが語るジャパニーズ・ドリーム”. 読売新聞オンライン. (2021年6月3日). オリジナルの2021年10月6日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20211006193410/https://www.yomiuri.co.jp/sports/etc/20210602-OYT1T50112/ 2023年12月11日閲覧。 
  12. ^ “崖っぷち”からの脱却なるか。ジュリアーノ・アレジの個人アドバイザーに片岡龍也が就任 - オートスポーツ・2023年3月10日