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ジュンサイ蓴菜学名: Brasenia schreberi)は、ハゴロモモ科(別名ジュンサイ科。またスイレン科に含めることもある)に属する、多年生水生植物である[2]。本種のみでジュンサイ属を構成する。なお、蓴菜の字は難解であるため、純菜順才の字が当てられることもある[3]

ジュンサイ
BraseniaAlt.jpg
ジュンサイBrasenia schreberi
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
Status iucn3.1 LC.svg
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: スイレン目 Nymphaeales
: ハゴロモモ科 Cabombaceae
: ジュンサイ属 Brasenia
: ジュンサイ B. schreberi
学名
Brasenia schreberi
J.F.Gmelin
和名
ジュンサイ(蓴菜、純菜)
英名
water shield

特徴編集

スイレンなどと同じようにを水面に浮かべる水草である[2]。澄んだ淡水に自生する。若の部分を食用にするため、栽培されている場合もある[2]

東南アジア - インドアフリカオーストラリアアメリカ等に世界に広く分布する。日本では北海道 - 九州及び南西諸島種子島沖縄島)に分布するが、既に絶滅した地域もある。多年生浮葉植物。葉は互生、楕円形で、長さ5 - 12mm、裏面は紫色。葉柄は裏側の真ん中に着く盾形であり、ハスの葉と同じ付き方である。地下茎は水底のの中にあるが、そこから葉柄を伸ばすのではなく、茎が伸びて水面近くまで達する。秋に地下茎の一部は、養分を貯蔵して越冬用の殖芽となる。この茎からまばらに葉柄を伸ばし、その先に葉をつける。茎の先端のの部分や若葉の裏面は寒天質の粘液で厚く覆われ、ムチンによるぬめりがある。花期は6 - 8月。は茎から水面に伸びた柄の先につき、直径1 - 1.6cm。花弁がく片は3枚ずつで、スイレンの花を細くしたような姿だが、花弁は紫褐色であまり目立たない。

利用編集

 
吸い物に入っているジュンサイ
 
スーパーでの販売
 
ジュンサイの瓶詰(中国産)

ジュンサイは世界に広く分布している植物だが、食用にしているのは中国と日本くらいである[4]

ガラクトマンナン[2]ゼリー状の膜で覆われた若芽は[5]ぷるんとした独特のぬめりがあり[6]日本料理食材として珍重される[2]

日本国内で出回るジュンサイの8割は中国産[6]。国産品は、秋田県三種町が国内生産量の約90%を占める日本一の産地であり[5][7]1986年昭和61年)度で約270トンだった生産量は[2]、町が転作作物として1987年(昭和62年)から3年かけて奨励事業を行ったことにより急速に増え[2]、最盛期となった1991年平成3年)度には約1260トンに達した[2]。しかし、その後は減少傾向に転じており、2016年(平成28年)度は約440トンへ大きく落ち込んでいる[2]

同県の郷土料理とされる。その他、中国料理を含めて、次のような料理に用いられる。

また、北海道七飯町にある大沼国定公園には、大沼三湖のひとつである蓴菜沼があり、ジュンサイの瓶詰は大沼国定公園の名物として売られている。「じゅんさい沼」と呼ばれる湖沼は、山形県村山市[8]秋田県湯沢市[9]にもある。

ジュンサイの収穫は、小舟(じゅんさい舟)に乗って水中を覗き込みながら、手作業で行われる。従事者の高齢化や減少が課題となっている。道の駅ことおか(三種町)では観光客の収穫体験を受け付けている[6][8]

文化編集

万葉集』に「ぬなは(沼縄)」として歌に詠まれている。

わが情 ゆたにたゆたに 浮ぬなは 辺にも奥にも よりかつましじ

近畿方言には「じゅんさい」という方言がある。「捉えどころが無い」転じて「どっちつかず」「でたらめ」「いい加減」という意味でその言葉は使われる[10]。ジュンサイはぬめりがあってで掴みにくいことからこの方言が生まれた[10]

保護上の位置づけ編集

生育地である下記の地方公共団体が作成したレッドデータブックに掲載されている。日本全体としては普通種であるが、地域によっては絶滅のおそれが高く、既に絶滅した地域もある。絶滅・減少の要因としては、池沼の開発や水質の悪化等があげられる。

脚注編集

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  1. ^ Maiz-Tome (2016).
  2. ^ a b c d e f g h i j k 緒方麦 (2017年6月13日). “ジュンサイ摘み、楽しい「宝探し」 三種の農園の沼、新米記者が収穫体験”. 朝日新聞 (朝日新聞社): p. 朝刊 秋田全県版 
  3. ^ 日本の食べ物用語辞典(2019年9月27日閲覧
  4. ^ 原田治『中国料理素材辞典 野菜・果実編』柴田書店、p.78
  5. ^ a b 福留庸友 (2016年6月14日). “恵みの水面、摘み頃 秋田・三種、ジュンサイの収穫が最盛期”. 『朝日新聞』夕刊 (朝日新聞社): p. 10 
  6. ^ a b c d 【産直の旅】じゅんさい*浮かぶ小舟ぷるん手摘み/天ぷら・鍋に、ぬめり楽しむ『日本経済新聞』朝刊2017年6月17日・日経+1(土曜別刷り)9面
  7. ^ 竹花徹朗 (2017年6月27日). “沼の宝探し ジュンサイ摘み取り体験が人気 秋田・三種町”. 『朝日新聞』夕刊 (朝日新聞社): p. 13 
  8. ^ a b 大谷地沼の通称。ジュンサイ収穫体験 村山市職員読売新聞オンライン(2019年6月13日)2019年9月27日閲覧。
  9. ^ 秋田の納涼スポット じゅんさい沼秋田県観光連盟(2019年9月27日閲覧)
  10. ^ a b 札埜和男『大阪弁「ほんまもん」講座』2006年、新潮社、p131

参考文献編集

英語:

日本語:

  • 愛媛県『愛媛県レッドデータブック -愛媛県の絶滅のおそれのある野生生物-』(2003年)
  • 沖縄県文化環境部自然保護課編『改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物(菌類編・植物編)-レッドデータおきなわ-』(2006年)
  • 鹿児島県環境生活部環境保護課編『鹿児島県の絶滅のおそれのある野生動植物-鹿児島県レッドデータブック植物編-』財団法人鹿児島県環境技術協会(2003年)
  • 埼玉県環境部みどり自然課編『埼玉県レッドデータブック植物編2005』(2005年)
  • 島袋敬一編著『琉球列島維管束植物集覧』九州大学出版会(1997年)

外部リンク編集