座標: 北緯42度37分16秒 東経141度28分12秒 / 北緯42.621014度 東経141.469997度 / 42.621014; 141.469997 (ジョイランド樽前(北海道野生動物公園)が所在した大体の位置) ジョイランド樽前(ジョイランドたるまえ)は、かつて北海道苫小牧市に存在したレジャー施設。正式には「北海道野生動物公園」[1][2]と呼ばれる。新聞広告では「北海道野生動物公園」の文字の下に「ジョイランド樽前」と併記されていた[3]

概要 編集

 
樽前山(たるまえざん)(2009年10月)

1975年昭和50年)8月株式会社道王[注 1]が温浴施設・ホテル「苫小牧温泉・ジョイランド樽前」を開業[4]。21万平米の敷地に貸別荘・温泉浴場・飲食施設・テニスコート・ゴルフ練習場・貸し農園等を整備した[1]

その後1977年昭和52年)4月には貸し別荘やフィールドアスレチックなどのレジャー施設を増設[4]1979年昭和54年)4月28日、「北海道野生動物公園」を開園させた[2][4]

場所は樽前山のふもと。おおよその直線距離で苫小牧駅から西方向に10km余り、最寄の室蘭本線錦岡駅からは北西方向に2km強、離れている。苫小牧市営バス「北海道野生動物公園(ジョイランド樽前)行き」が運行されていた[注 2]

入場料は、大人1000円・小人500円(1980年昭和55年〉4月25日時点)、大人1300円・小人700円(1984年昭和59年〉7月22日8月30日時点)であった。[3]

動物公園は、シロクマライオンなどを放し飼いにしており、北海道内初の「自然動物公園」[注 3]として注目を集めることもあった[2]。「世界最大の白熊牧場」や「ライオンパーク」などのキーワードのもと、「80種1000頭羽」(シロクマは30頭)もの動物がいるなどの宣伝がされていた。ミニSL、ゴーカートチェーンタワーゲームセンターなどが設置され、遊園地の機能も有していた。[3]

1979年には、千葉県で檻から脱走する騒ぎ(虎脱走事件)を起こしたトラを引き取る話が進められたが、苫小牧市側が「住民感情からして好ましくない」として拒否を宣言することもあった[5]

しかし、苫小牧東部開発計画の失敗により入場者数は伸び悩み、挽回を図ろうと施設や動物の追加等積極的な投資や[3]、他業者とのタイアップなどを行ったが、失敗に終わったとされる[2]

ライオンは動物公園開園時からの呼び物の一つだが、大量死させていたことが1981年昭和56年)4月に判明した。大きくイメージダウンし、年間入場者数は激減した。1980年度(昭和55年度)には約70万人を集客していたものの[4]、翌年度には20万人を切ってしまった[2]

1983年(昭和58年)6月20日までに道王は、二度目の不渡り手形を出し、事実上倒産した。負債総額は約30億円以上とされる。道王の倒産が明らかになった頃、債務弁済の肩代わりしていた会社が施設を借り受けていた為、突然の閉園は無かった[2]

その後1984年(昭和59年)にはボンゴアライグマキンカジュー等を導入し再開業したが、1985年(昭和60年)には電気料金未納によるカニクイザル10匹の死亡を受け処分や立入検査が入り、不況と入場者の激減もあり休業状態となり1987年2月に事実上の倒産に至った[1]。 その後2002年に不審火が発生し、施設は全焼し解体されているが[4]、その後も一部の建物が残っている。

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ (株)道王は、1971年昭和45年)12月不動産売買業「道王ハウジング」(資本金100万円)として発足。増資吸収合併の後、1973年昭和48年)11月、現社名に変更。1983年時点で、北海道苫小牧市錦岡495-284に所在、社長・山岡勉、資本金10,500万円、不動産業及びレジャー施設運営業他の事業を経営していた。(「帝国データバンク東京商工リサーチ調べ」 北海道新聞1983年〈昭和58年〉6月21日
  2. ^ 1984年昭和59年)7月頃のバス運行状況は次の通り。
    苫小牧市営バス時刻表 『北海道野生動物公園 (ジョイランド樽前) バス運行』(1984年7月22日 発行) 抜粋
    運行日 7月22日8月26日 毎日運行 9月2日11月4日 祝日運行
    54 錦岡 スプリングタウン 野生動物公園〜バスターミナル
    1日往復3便(バスターミナル発・9時50分、11時10分、15時15分/野生動物公園発・10時37分、11時57分、16時2分)。全区間所要時間44分。ルートは、苫小牧駅南側の市営バスターミナルを出て、駅通りから国道36号(室蘭街道)に入り、錦岡西バス停から錦岡駅前、凌雲中学校前、錦岡出張所前、団地入口、団地中央、錦岡団地、スプリングタウン、錦岡、野生動物公園となっていた。
  3. ^ 「自然動物園」、「自然動物公園」などの言葉には、明確な定義が無いが、無柵放養式展示、一般的な表現では放し飼い状態で動物を展示しているとされる動物園などが用いることがある

出典 編集

  1. ^ a b c 第三編 教育・文化 第五章 観光とまつり 第一節 苫小牧の観光資源 - 苫小牧市史追補編(2001年)1041-1042頁
  2. ^ a b c d e f 北海道新聞1983年(昭和58年)6月21日。
  3. ^ a b c d 当時の「北海道野生動物公園(ジョイランド樽前)」の新聞広告各種。
  4. ^ a b c d e フォトアーカイブ-苫小牧市制70年(47)ジョイランド樽前開園 1975(昭和50)年 - 苫小牧民報 2018年11月27日(Internet Archive)
  5. ^ 神宮寺のトラ やっと永住先 北海道(美瑛)の公園に『朝日新聞』1979年(昭和54年)9月11日朝刊 13版 23面