スティーヴ・ガッドSteve Gadd1945年4月9日 - )は、アメリカ合衆国ニューヨーク州ロチェスター生まれのフュージョンドラマーセッション・ドラマー、スタジオ・ミュージシャンである。

スティーヴ・ガッド
Steve Gadd
スティーヴ・ガッド(2014年)
基本情報
出生名 Stephen Kendall Gadd
生誕 (1945-04-09) 1945年4月9日(78歳)
出身地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 ニューヨーク州ロチェスター
ジャンル
職業 ドラマー
担当楽器 ドラムティンパニパーカッション
活動期間 1968年 -
公式サイト drstevegadd.com
ドラムをセットするガッド(2010年)
2017年9月29日金曜、ニューヨークのブルーノート公演にてチック・コリアを見ながらブラシで演奏するするスティーヴ・ガッド

概要 編集

ニューヨーク州ロチェスター生まれ。地元のビッグバンドで活動後、ニューヨークに出て、スタジオ・ミュージシャンとなり、クロスオーバーフュージョンの草創期からその第一人者として高い評価を得ていた。1976年に「スタッフ」を結成、1980年代には自己のバンド「ザ・ガッド・ギャング」を結成し、R&Bの名作をカヴァーしたグルーヴ感あふれるサウンドが多くのファンを魅了した。西のハーヴィー・メイソン、東のスティーヴ・ガッドとして人気を二分する存在であるが、近年は、ジョー・サンプルミシェル・ペトルチアーニらと共演、1995年からはエリック・クラプトンの強い要請により彼のツアー・バンドに参加、その演奏は多くのロック・ファンをも虜にしている。ポール・サイモンジェームス・テイラーロバータ・フラックといったミュージシャンにとって欠かせない存在であることは彼らのアルバム・クレジット、ツアー・パンフからも一目瞭然である。その他、クインシー・ジョーンズスティーヴィー・ワンダーポール・マッカートニースティーリー・ダンチック・コリア等のレコーディングやツアーに参加。ジャンルを超えてのビッグネーム達との共演歴、そして驚異的な数のレコーディング歴、ツアー歴をもつ誰もが認める世界最高水準のドラマーとなっている。

略歴 編集

軍楽隊のドラマーの叔父の影響で、7歳よりドラムのレッスンを受けるようになる。

ロチェスターイーストマン音楽学校クラシック打楽器奏法を学ぶ。その後、アメリカ陸軍の軍楽隊に3年所属していた。それからジャズ・クラブチック・コリアチャック・マンジョーネ、フランク・プルーラ、ジョー・ロメオ、マイク・マイニエリらとセッションを重ね、実力と名声を上げていく。

1972年、トニー・レヴィン、マイク・ホルムスとトリオを結成、ニューヨークに出て演奏した。

トリオ解散後、ニューヨークでスタジオ・ミュージシャンとして活動を始める。1973年にはチック・コリアのバンドリターン・トゥ・フォーエヴァー」に参加するが、短期間で脱退。その後、チャールズ・ミンガスのアルバム、アル・ディ・メオラの「エレクトリック・ランデヴー・バンド」、マンハッタン・ジャズ・クインテットなどに参加。

ヴァン・マッコイのアルバム『ディスコ・ベイビー』レコーディング・セッションを契機として、1970年代後半から1980年代前半にかけ、ゴードン・エドワーズを中心とする当時のニューヨークで最高のスタジオ・ミュージシャンら(コーネル・デュプリーエリック・ゲイルリチャード・ティークリストファー・パーカー)によって結成されたフュージョン・バンド「スタッフ」に参加。一気に名声を高める。

1983年、教則ビデオ『Up Close』をリリース。

1984年、初のリーダー・アルバム『ガッドアバウト』をリリース。

1992年、ロックの殿堂入りアーティストであるザ・ベンチャーズの楽曲をカバーしたアルバム『ハイパー・ベンチャーズ』をリリース。同アルバムには、デヴィッド・スピノザジョン・トロペイウィル・リーが参加している。

2003年9月13日、シンバルメーカージルジャン社からアメリカン・ドラマー・アチーヴメント・アワードとして讃えられた(ボストンのバークリー・パフォーマンス・センターにて)。

2021年5月、ドラム練習用の楽譜である『GADDIMENTS』をハドソン・ミュージックから販売。付録として本人による練習パッドによる演奏動画がダウンロード・コンテンツが収録されている。

セッション経験がある著名ミュージシャン 編集

ジャズフュージョン系をメインに、ポール・サイモン、エリック・クラプトンのツアーに参加するなど、ジャンルを問わず多くのミュージシャンレコーディングライブ、ツアーに参加。

ほか多数

メンバーを務めたバンド 編集

ディスコグラフィ 編集

リーダー・アルバム 編集

  • 『ガッドアバウト』 - Gaddabout (1984年、Electric Bird)
  • The Boys from Rochester (1989年、Feels So Good) ※with チャック・マンジョーネ
  • 『ハイパー・ベンチャーズ』 - Hyper Ventures (1992年、InsideOut) ※ハイパー・ベンチャーズ名義
  • Together Forever (1994年、Gates Music) ※with チャック・マンジョーネ
  • 『ライヴ・アット・ブルーノート東京』 - Trio in Tokyo (1999年、Dreyfus) ※with ミシェル・ペトルチアーニ
  • 『スーパー・トリオ』 - Super Trio (2006年、Mad Hatter) ※with チック・コリアクリスチャン・マクブライド
  • 『ガッド・ライヴ!』 - Live at Voce (2010年、BFM)
  • 『ガッドの流儀』 - Gadditude (2013年、BFM)
  • 『70ストロング』 - 70 Strong (2015年、BFM)
  • 『ウェイ・バック・ホーム〜生誕70年凱旋ライヴ!』 - Way Back Home (2016年、BFM)
  • 『チャイニーズ・バタフライ』 - Chinese Butterfly (2017年、Stretch) ※with チック・コリア
  • 『スティーヴ・ガッド・バンド』 - Steve Gadd Band (2018年、BFM)
  • 『サー』 - Sir, (2018年、Paddle Wheel) ※with エディ・ゴメスデイヴィッド・マシューズ
  • 『アット・ブルーノート・トーキョー』 - At Blue Note Tokyo (2021年、BFM)
  • 『スピリット・オブ・チック・コリア』 - Spirit Of Chick Corea (2022年、Eight Islands) ※with ミカ・ストルツマン
  • 『センターステージ』 - Center Stage (2022年、Leopard)

ザ・ガッド・ギャング

  • 『ザ・ガッド・ギャング』 - The Gadd Gang (1986年、Columbia)
  • 『ヒア・アンド・ナウ』 - Here & Now (1988年、Columbia)
  • 『ライヴ・アット・ザ・ボトム・ライン』 - Live at Bottom Line (1994年、A Touch)

マンハッタン・ジャズ・クインテット

  • 『枯葉』 - Autumn Leaves (1985年、Paddle Wheel)
  • 『ライブ・アット・ピット・イン』 - Live at Pit Inn (1986年、Paddle Wheel)
  • 『ザ・サイドワインダー』 - The Sidewinder (1986年、Paddle Wheel)
  • 『マイ・ファニー・バレンタイン』 - My Funny Valentine (1986年、Paddle Wheel)
  • Live at Pit Inn Vol. 2 (1986年、Paddle Wheel)
  • 『マイ・フェイバリット・シングス』 - My Favorite Things: Live in Tokyo (1987年、Paddle Wheel)
  • 『マンハッタン・ブルース』 - Manhattan Blues (1990年、Sweet Basil)
  • 『アランフェス協奏曲』 - Concierto De Aranjuez (1994年、Sweet Basil)
  • 『V.S.O.P.』 - V.S.O.P.: Very Special Onetime Performance (2008年、Birds)

ブリッチャー・ヘマー・ガッド

  • Blicher Hemmer Gadd (2014年、c-nut)
  • Omara (2018年、c-nut)
  • Get That Motor Runnin' (2019年、c-nut)
  • It will be alright (2023年、c-nut)

脚注 編集

出典 編集

  1. ^ このラインナップで1980年代中期にサントリーのウイスキー「ホワイト」のCMに出演したことがある。ただし当時のCMにロニー・キューバーは参加していない。

外部リンク 編集