ストレイト・レコード[注釈 1]Straight Records)は、フランク・ザッパと彼のビジネス・パートナー兼マネージャーのハーブ・コーエンのプロデュース作品や発掘品を流通させるため1969年に設立されたレコード・レーベルで、単にストレイトと自称していた。ストレイトと同時にビザール・レコードというレーベルも設立されている。ストレイトとビザールは、アメリカではワーナー・ブラザース・レコード系列で製造・販売され、その中にはリプリーズ・レコードも含まれていた。ストレイト・レコードは、イギリスではCBSレコードによって販売された。

ストレイト・レコード
Straight Records
親会社ワーナー (1969年–2012年)[1]
ザッパ (2012年– )[2]
設立1969年 (55年前) (1969)
設立者フランク・ザッパハーブ・コーエン
現況活動終了。ザッパ関連の録音はザッパ・ファミリー・トラストとザッパ・レコードに戻され[2]、ザッパ以外の録音はワーナーに戻された
販売元CBS(全英)
リプリーズ/ワーナー(全米、後に全世界:1969年–2012年)
ザッパ(全世界:2012年– )
ジャンル様々
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
本社所在地カリフォルニア州ロサンゼルス[3]

ザッパがストレイト・レーベルに所属するアーティストの大半を選んだ。彼の当初の意図は、アヴァンギャルドなアーティストのアルバムをビザールからリリースし、よりメインストリームなアーティストの録音をストレイトからリリースするというものだった。しかし、レコードの流通やアーティストのマネージメントに問題があり、当初のコンセプトは期待通りにいかなかった。ザッパ、マザーズ・オブ・インベンション、ワイルドマン・フィッシャー、レニー・ブルースなどは確かに「ビザール」に収まったが、それ以外のアーティストは「ストレイト」に収まることとなった。このため、ストレイト・レーベルからは、特にキャプテン・ビーフハート・アンド・ザ・マジック・バンドアリス・クーパー、GTO'sのようなアーティストたちのかなり変わったアルバムがいくつか発売された。

ザッパはパースエイジョンズの最初のLP『Acapella』の責任者も務めた。彼は、ジャージーシティのレコードショップでパースエイジョンズがライブで歌っているのを電話を通して聞いた。ドゥーワップへの情熱から、ザッパはすぐにボーカル・グループをロサンゼルスへと飛ばし、レコーディングに参加させた。ストレイトの他の有名アーティストには、ティム・バックリィや、ジュディ・ヘンスキー&ジェリー・イエスターというデュオがいた。これらのミュージシャンは、コーエンとの関係からストレイトに在籍することになった。

アリス・クーパーの『エイティーン (Love It to Death)』はストレイトから発売された。しかし、このアルバムが成功する頃には、すでにワーナー・ブラザーズから再発されていた。1972年以降、このアルバムと彼等のストレイトでの他の録音は、リプリーズまたはワーナー・ブラザーズから再発された。1973年までに、ビザールとストレイトのワーナーとの販売契約は終わりを迎えた。この年からの新しい契約により、ザッパとコーエンのワーナーとのビジネスは統合され、ディスクリート・レコードと名づけられた。ザッパとコーエンのビジネス・パートナーシップは、1976年に双方から訴訟を起こされ、険悪な雰囲気のまま終了した。数年後に成立した和解により、ザッパは自分の作品の所有権を保持し、コーエンはビザール、ストレイト、ディスクリートにおけるザッパ以外の作品のほとんどを所有することとなった。

1988年と1989年には、キャプテン・ビーフハート・アンド・ザ・マジック・バンド、アリス・クーパー、ティム・バックリィ、GTO's、パースエイジョンズ、ロード・バックリィによるストレイトでの録音が、エニグマ・レトロ・レーベルからCDとカセットで短期間ながら再発された。ザッパは1993年に52歳で死去。コーエンは2010年に77歳で亡くなっている。

1990年代初頭から、ストレイトのいくつかの音源の所有権が不明確になったという噂がある。そのため、ストレイトの音源がこれ以上は再発されないかもしれない。しかし、2000年代後半になると、これらの音源の一部(ティム・バックリィの『ブルー・アフタヌーン』や『スターセイラー』、キャプテン・ビーフハート・アンド・ザ・マジック・バンドの『リック・マイ・デカルズ・オフ、ベイビー』など)が180gレコードとして再発され、iTunes Storeで販売されるようになった。しかし、CDでの再発はされていない[注釈 2]。公式には発表されていないが、これらのアルバムの再発を妨げる条項はCDのリリースのみを対象としており、他のフォーマットには適用されないと考えられている。しかし、近年、これらのアルバムからの楽曲はコンピレーションCDにライセンスされ、収録されている。

所属したメンバー 編集

脚注 編集

出典 編集

注釈 編集

  1. ^ ストレート・レコード」の表記もある。
  2. ^ リプリーズから発売されたキャプテン・ビーフハート・アンド・ヒズ・マジック・バンドの『トラウト・マスク・レプリカ』(1969年)、キャプテン・ビーフハート・アンド・ザ・マジック・バンドの『リック・マイ・デカルス・オフ、ベイビー』(1970年)と『クリア・スポット』(1973年)、キャプテン・ビーフハートの『ザ・スポットライト・キッド』(1971年)は、2022年の時点でCDで再発されている。

関連項目 編集

外部リンク 編集