スバル・アルシオーネSVX
アルシオーネSVX(アルシオーネ エスブイエックス、Alcyone SVX)は、富士重工業(現・SUBARU)が1991年9月に発売を開始した5人乗りないし4人乗り2ドアクーペタイプの普通乗用車である。 本項目では、日本国外モデルのSubaru SVXについても記述する。
スバル・アルシオーネSVX CXD/CXW/CXV型 | |
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バージョンE フロント バージョンE リア 内装 | |
販売期間 | 1991年9月 – 1997年12月[出典無効] |
デザイン | イタルデザイン・ジウジアーロ |
乗車定員 | 5人/4人 |
ボディタイプ | 2ドアノッチバッククーペ |
エンジン | 3.3L 水平対向6気筒 EG33型 |
駆動方式 | FF/4WD |
最高出力 |
240PS/6,000rpm(JDM) 230HP/5,400rpm(USDM) |
最大トルク | 31.5kgf·m/4,800rpm |
変速機 | 4速AT |
サスペンション |
前:マクファーソン式ストラット 後:デュアルリンク式ストラット |
全長 | 4,625mm |
全幅 | 1,770mm |
全高 | 1,300mm |
ホイールベース | 2,610mm |
車両重量 | 〜1,620kg |
タイヤサイズ | 225/50R16 92V |
先代 | スバル・アルシオーネ |
-自動車のスペック表- |
概要編集
キャッチコピーは「遠くへ、美しく」、「500miles a day」。製造は富士重工業群馬製作所本工場(現: 株式会社SUBARU 群馬工場)で行われていた。
先代のアルシオーネがプラザ合意による急激な円高で販売コンセプトが大きく迷走したこともあり、北米市場で活況を示していたパーソナルクーペ市場をターゲットに投入された。メカニズムは先代から大きく一新されており、直接のつながりは無い。
主なマーケットを北米としていたこともあり、発表は日本に先行してデトロイトショーで行われた[1]。国際性のあるグランツーリスモと位置づけ、開発のポイントとして先代の高い空力性能(Cd値=0.29)は引き継ぎつつ、長距離を快適に走る事を目指した[2][出典無効]。
イタルデザインのジョルジェット・ジウジアーロによるエクステリアデザインが大きな特徴であり、当初のデザインスケッチやモックアップの段階ではリトラクタブル・ヘッドライトが備えられていたが、市販モデルでは窓井崇史デザイン[要出典]による固定式となった。グラスtoグラスのキャノピーはミッドフレームウインドーを日本で初めて採用している。これはドアガラスがルーフ面にまで回り込む形状であることからサイドウィンドウ全体を開閉できないため、一部だけを開閉するようにしたものである。
前述のグランツーリスモというコンセプトの位置付けに倣い、トランスミッションは4速ATのみの設定となった[3]。しかし、このトランスミッションはレオーネ用をベースとしたため最大許容トルクが小さく、不具合に至りやすいという欠点があった。後年、同メーカーのインプレッサの5速または6速MTに改装するカスタマイズを行った例もある。
駆動方式も日本国内では4WDのみとなり、先代モデルに存在したFFは北米仕様のみの設定となった。型式は「バージョンL」がCXD、北米仕様限定のFFモデルはCXV、それ以外はCXW。
意欲的なスタイリングコンセプトとメカニズムを持った同車であったが、車体価格も312万円〜439.4万円とハイグレードであり、日本での販売はバブル経済崩壊期と重なったこともあり、苦戦を強いられた。また発売当時は「スバル(SUBARU)」自体のブランドイメージが高級車市場でまだ周知されていなかった点も挙げられる[4]。1997年9月に製造終了[5][出典無効]、1997年12月[6][出典無効]までに販売終了となった。販売期間中の新車登録台数の累計は5944台[7]。
直接の後継車種はリリースされず、アルシオーネSVXの販売終了後、スバルのクーペ専用車種はBRZまで存在しなかった。
年表編集
- 1991年(平成3年)9月
- 発売。グレード展開は「バージョンL」と「バージョンE」の2種。フルオートエアコンや16インチアルミホイールを標準装備とし、上級グレードの「バージョンL」にはクルーズコントロールや本革シートも備わる。
- 1993年(平成5年)11月
- 富士重工業40周年を記念し、特別仕様車「S40」を300台限定で発売。「バージョンE」をベースに、新冷媒対応エアコン、ブルーガラスウィンドウ、専用インストルメントパネルを採用。
- 1994年(平成6年)7月
- 特別仕様車「S40II」を300台限定で発売。前年に発売した「S40」をベースに、ルーフとリアデッキまでボディ同色のカラーリングを施した。
- 1994年(平成6年)11月
- 特別仕様車「S3」を500台限定で発売。「バージョンE」をベースに、BBS製鍛造アルミホイールや高級オーディオを標準装備。
- 1995年(平成7年)7月
- 特別仕様車「S4」を発表。BBS製鍛造アルミホイールの採用やフロントグリル等のエクステリアを変更。インテリアはベージュ基調となる。
- 1997年(平成9年)9月
- 生産終了。在庫対応分のみの販売となる。
- 1997年(平成9年)12月
- 販売終了。総生産台数は5944台[8]。
車名の由来編集
アルシオーネは、すばる(プレアデス星団)に属している恒星であるおうし座η星の名前「アルキオネ」(Alcyone)にちなんでおり(スバルのマークで言えば六連星のうちの一番大きい星)、スバルのフラグシップであることを表している。
脚注編集
- ^ 『90年代国産車のすべて』三栄書房、70頁
- ^ 黒川商品本部 主管 談1992年6月当時
- ^ 当時はスバル4WDに搭載可能な多段ATが存在しなかったこともあり、本車に限らず大排気量AT車は4速の設定が多かった。
- ^ スバル・アルシオーネSVX (1991年〜) 名車?迷車?特集 -ちょっと懐かしい迷車たち2話Gazoo
- ^ “アルシオーネSVX(1991年9月~1997年9月)”. トヨタ自動車株式会社 (2019年12月31日). 2019年12月31日閲覧。
- ^ “アルシオーネSVX(スバル)のカタログ”. リクルート株式会社 (2019年12月31日). 2019年12月31日閲覧。
- ^ デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車第78号3ページより。
- ^ デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車第78号3ページより。