スペル星人

ウルトラシリーズの登場キャラクター(ウルトラ怪獣)

スペル星人(スペルせいじん)は、特撮テレビ番組ウルトラセブン』に登場する、架空宇宙人である。別名「吸血宇宙人(きゅうけつうちゅうじん)」[1]

概要編集

第12話「遊星より愛をこめて」に登場。

  • 身長:1.7メートル - 40メートル
  • 体重:100キログラム - 1万トン
  • 能力:マッハ20で大空を自由に飛ぶことができる
  • 目から怪光(破壊光線)を発する
  • 出身地:スペル星
  • スーツアクター:中村晴吉[2]

なお、本編には地球人に擬態した複数のスペル星人が登場する。

スペル星人は、母星におけるスペリウム爆弾の実験のため、その放射能で血液が著しく侵されてしまい、代わりとなる血液を奪うため、複数名が先行して地球に来訪した。

当初は、地球人の女性を対象に採血機能と血液の結晶化機能を備えたスペリウム金属製の腕時計(装着した人間は白血球が減少して昏倒する)をばら撒き、地球人の血液を奪っていたが、女性の血液よりも子供の血液のほうが純度が高いことを知ると、対象を子供に変更する。新聞で子供を対象とした「ロケットの絵を描いて、宇宙時計を貰おう」というキャンペーンを展開し、子供たちに腕時計を大量に配布して血液を奪おうと企むが、新聞で異変を察知したウルトラ警備隊に計画を阻止され、自らのアジトを破壊して巨大化し、地球人の血液を奪うことを宣言する。

ウルトラホーク3号を撃墜するなど応戦するも、搭乗していたダンがウルトラセブンに変身し、一騎討ちとなる。セブンのアイスラッガーを一度は回避したが、ウルトラ警備隊に円盤を破壊され、逃げようと空中に飛び上がったところを、背後から二度目のアイスラッガーで両断され、絶命した。

  • 当初、スペル星人はシナリオでは甲虫型の宇宙人として描写されていたが、実相寺監督のリクエストで人型に変更された(詳細は#スペル星人のデザインを参照)。
  • 語源はより。脚本にも「スベル星人」とも記載されていた。
  • 未発表作品「宇宙人15+怪獣35」では、蘇った宇宙連合軍の1体として名前が確認されている。
  • 「静止画による戦い」は『ウルトラマン』第35話のシーボーズ戦でも用いられており、監督は同じく実相寺昭雄が担当している。
  • 「スペリウム爆弾」の名称は、第38話でウルトラ警備隊がバンダ星人クレージーゴンに対して用いる最新型の爆弾にも用いられている。

スペル円盤編集

相手の目を眩ませる怪光とビームを武器としている。円を描くように旋回することで、光線をバリアー状に張れる。スペル星人との共同攻撃でセブンを苦しめるが、セブンのウルトラスパイラルビームでバリアを破られ、ウルトラホーク1号に撃墜された。

第12話の欠番について編集

スペル星人が登場する『ウルトラセブン』第12話「遊星より愛をこめて」は欠番扱いとなっている。1970年以降、日本国内では一切再放送されていないと同時に、映像ソフトにも収録されていない。欠番扱いとなる経緯に関しては下記を参照。

第12話の内容編集

宇宙のどこかで大爆発が起きた。ウルトラホーク2号で宇宙パトロール中だったソガ隊員とアマギ隊員は、大爆発による放射能を検出する。一方、東京では若い女性が突然昏倒し、やがて死亡する事件が多発する。分析の結果、彼女たちは白血球が急に欠乏する「原爆病」に似た症状を発していたうえ、地球に存在しない金属でできたメーカー名もネームもない謎の腕時計を所持していた。2つの「線」は、やがてアンヌの旧友・山辺早苗と彼女の恋人・佐竹三郎で交差する。佐竹が早苗に贈った腕時計には、人間の血液を奪う機能があった。そして、佐竹は地球人の血液を奪いに来たという本性を現し、スペル星人の放射能に冒された異形の姿をさらけ出す。

スペル星人は腕時計に偽装したメカで血液を収集するが、被害者は白血球が皆無に近くなり昏倒、ダンは「原爆病によく似た症状」という台詞がある。なお、作中ではセブンの出自がM78星雲であることが初めて言及される。

作品の評価編集

本編は監督 実相寺昭雄、脚本 佐々木守のコンビにより制作され、本放送では32.8%と全49話中第4位の高視聴率をマークした。しかし、本放送時は抗議などは一切なく、再放送も同様であった。

スペル星人のデザイン編集

劇中に登場するスペル星人の姿は、

  • 全身は真っ白
  • 凹凸のない能面のような顔
  • 体の所々にケロイド(火傷などによる皮膚の外傷状態。通常生活でも起こりうる。)を彷彿させる黒い大きなシミのような物があり、時折オレンジに点滅する。

佐々木守の脚本におけるスペル星人は、「かぶと虫のような」と表現されていたが、その経緯について佐々木は「何かの形にしないといけないから、そういう風に書いていただけで僕のウルトラマンの怪獣はみんなそうですよ」とのコメントを残している[3]

監督の実相寺昭雄はデザインに関する初期の打ち合わせで「毛細血管が浮き出たようなイメージで打ち合わせした」[要出典]「色が全部出ちゃったような青白さを出したかったんだよ 血管が浮き出ているようなね ジャミラとは違って乾燥していない体が透けていて赤血球と白血球がせめぎあうイメージで」といったすり合わせを行い、昆虫から人型への変更や、スペル星人の体色、ケロイドなど具体的なデザインの成田への依頼について、以下のようなコメントを残している。

  • ”スペル星人のケロイドや白い体は実相寺監督のアイディアだったのか?” との質問について「そうだね でもそれがあまり成田さんのデザイン意欲をそそらなかったんだね」「あまりいいデザインではなかったから、12話での特撮シーンは少ないですよ」[3]
  • 白い服にケロイドというのを考えたのは実相寺監督だったのか?” との質問について「デザインしたのは成田さんだけど、僕がこういう風(ケロイド状)にしたいと依頼したんだ」「最初は何か昆虫的なものだったらしいけど、それを僕が人間の姿にさせたんだ」「成田さんは怪獣を人間っぽくするのは嫌がる人だったから気が進まなかったようだね」[3]
  • ”被爆者を連想させるようなデザインだからまずい”という抗議団体の主張に対して「人の見方だから そう見えないと言えば終わり 笑いものにしているわけではない 」と反論した上で、「地球の話じゃないんだから」「地球が被爆の被害が少ないから 地球人の血を採りにきたわけだよ だからメトロン星人みたいな形じゃ困るんだよね[3]

また実相寺は同人誌のインタビューで、デザイン画のコピーを見た上で、「僕がうちあわせした時のデザイン画は、もっと書き込まれていて、ケロイドの部分は血管まで書いてあったような気がする 大きなボードに書いてあった」とのコメントを残している[4]が、実際にスペル星人の腰の部分に血管が見えているシーンは本編でも確認できる。

成田亨は、自著の中で彼が『ウルトラマン』で定めた怪獣デザインのポリシーと相反するために難色を示したものの、実相寺に押し切られ「ほとんど投げやりにデザインした」と回顧している[4]。また成田夫人も(スペル星人の件については)「撮影の最中に聞いておりました。『困ったもんだ ケロイド状のものを子供番組向けの怪獣に作らないといけないのか』と、うちに帰ってきてはっきり言っておりました」と、実相寺からデザインを要望された成田の苦悩について回顧している[3]

欠番までの経緯編集

1967年12月17日 ウルトラセブン 第12話の初回本放送が行われた。

1968年4月 講談社より出版された週刊少年マガジン19号(5月5日号)に「きゅうけつうちゅうじん」の別名がついたスペル星人が掲載された[3]

1968年5月30日 秋田書店より出版されたフリーライター大伴昌司の代表作『写真で見る世界シリーズ カラー版 怪獣ウルトラ図鑑』 初版で「被爆星人」の別名がついたスペル星人が掲載された[3]

1970年4月 講談社より出版された『たのしい幼稚園 5月号』に「きゅうけつかいじゅう」の別名がついたスペル星人が掲載された[3]

1970年7月10日 黒崎出版より出版された『ウルトラ怪獣写真えほん オールカラー版』初版で「きゅうけつかいじゅう」の別名がついたスペル星人が掲載された。その後12月20日の第6版はギャンゴの写真に差し替えられている。

  • 「きゅうけつうちゅうじん」「きゅうけつかいじゅう」「被爆星人」、別名をつけずスペル星人の名前のみ記載など、最初から一貫した別名の表記はなかった[3]
  • 本放送時後に何度も行われた再放送時でも問題視する反響はなかった。再放送も通常通りの放送スケジュールに組み込まれて放送され、関連商品も発売された上、各種イベントにもスペル星人の着ぐるみが度々登場した[要出典]

1970年 夏 ウルトラセブンのプロデューサー末安昌美の実弟で当時円谷プロの営業を担当していた末安正博は、親交のあった竹内博(当時中学3年)に詳しい設定資料を作ってほしいと依頼。竹内は大伴が担当した怪獣図鑑の文献や『週刊少年マガジン』『ぼくら』などの雑誌記事をまとめた資料集を作成した[5]。この資料上 スペル星人の別名は「被爆星人」となっていたが、円谷公認の設定案として採用され、各出版社に配布された[3]

1970年10月1日 小学館より出版された『小学二年生 11月号』のふろく「かいじゅうけっせんカード」に「ひばくせい人」の別名がついたスペル星人が掲載された[3]

1970年10月4日 このカードを見た女子中学生が、フリージャーナリストであり東京都原爆被害者団体協議会の専門委員でもあった父・中島龍興(筆名・中島竜美)[6]に相談、カードに記載された「ひばく」の文言を問題視した中島は『小学二年生』の編集長に抗議の手紙を送った。中島がこの件を所属していた市民サークル「原爆文献を読む会」のメンバーに話したところ、メンバーは知り合いの朝日新聞の記者にこの問題を伝えた[7]

1970年10月10日 朝日新聞に『被爆者の怪獣マンガ』『「残酷」と中学生が指摘』 などの見出しとともに「実際に被爆した人たちがからだにケロイドをもっているからといって、怪獣扱いされたのではたまらないと思った」との中島の長女の感想、「現実に生存している被爆者をどう考えているのか、子供たちの質問にどう答えるのか」との中島の抗議文と「同社(小学館)からの返事はまだない」などの記事が、小学館円谷プロ両社からの正式なコメントがない中で掲載された[3]

  • 抗議運動は短期間のうちに広島・長崎の被団協などにも拡大した。他の新聞社なども同様に抗議団体の主張のみを大きく取り上げた記事を記載したため、抗議行動は全国的規模に拡がった[要出典]
  • この後 中島は直接小学館を訪れ、当時『小学二年生』の編集長だった井川浩を相手に「机をバンバンたたく激しい抗議」を行なったとされる[7]が、中島は後のインタビューで「当時 被爆者の差別が多くなっていた」[7]と抗議の背景にふれた上で「相当頭にきたんでしょうね。カードしか見ていないのに抗議というわけですから」「僕の抗議は二次使用(であるカードのみ)を問題にしたということ でもそれが広がってしまって、放送そのものへの抗議に発展しちゃったんです はずみがついて運動がもりあがってしまった」[3]「カードがなければ抗議はしなかったと思う 放送したTBSに抗議はしていない」「番組を見ずに抗議したのは大きな問題だった」「記事は少しオーバーと思ったが、直接抗議に行った」 「私の投書が結果的に第12話を封印させてしまった 表現の自由を潰してしまったという思いがある 簡単に存在をなくすことは怖いことだ」などのコメントを残している[7]
  • 抗議を受けた井川は、後のインタビューで当時を振り返り出版元として「被害者への配慮が足りなかったと思い、紙面で謝罪した」 「被害者を怪獣扱いしたつもりはないので、被害者を怪獣扱いしたと報じた新聞にはこちらも抗議し、20紙以上が報道を詫びたが、朝日新聞は一切対応しなかった」 などのコメントを残している[7]
  • 抗議を受けて竹内が作成した設定資料の「ケロイド」の文言は黒く塗りつぶされ「被爆星人」の別名は「吸血星人」に差し替えられた[3]
  • 当時の円谷プロの状況を振り返り、竹内は「社長にまで及んだ抗議に社員は戸惑っていた 上司に頼まれ私はハサミでスペル星人の円盤のスチールネガを切った」、円谷プロで元特殊技術スタッフだった熊谷健は「被爆者を差別するといった気持ちはなかった。しかしケロイドにクレームがつき弁解できず」などのコメントを残している[7]
  • カードに記載された別名の引用元となった『怪獣ウルトラ図鑑』の著者 大伴昌司は、円谷プロから「(スペル星人の)設定や特徴は、大伴が作ったんじゃないか、けしからん」と叱られ、一時ノイローゼになったらしい と当時出版社の人間から聞いたとの竹内博のコメントが残されている。第12話の封印後、大伴は竹内に対して一度もスペル星人について語ることはなかったという[3]

1970年10月21日 朝日新聞の記事を皮切りに全国に拡大した抗議活動により『小学二年生11月号』だけでなく、カードと同様に「被爆星人」と記載のあった既刊の秋田書店 『怪獣ウルトラ図鑑』などにも矛先がむけられた円谷プロは発行元としての配慮不足について謝罪した。被害者を怪獣扱いしたとの報道については「原水爆を否定する気持ちと全く変らない態度で製作したものであります」「従いまして、一部の新聞が報じましたような被爆者を怪獣扱いしたとか、モデルにした等、そのような考えで製作したものでは毛頭ありません」と否定し、「今後一切、スペル星人に関する資料の提供を差し控える」と約束[7]小学館をはじめとする各出版社もスペル星人を扱わないことを取り決めた[要出典]。あわせて再放送中の第12話の放送も急遽中止したことで、抗議は一旦収束した[7]

  • しかしそのわずか半年後、本編の二次使用作品である『ウルトラファイト』の再放送でスペル星人が再登場したことで、円谷側は再び謝罪に追い込まれ、解決策として第12話の作品自体を封印することを決めた、とされる[7]
  • 封印ついては長く制作関係者や出演者に対しても伝えられることはなく、後のインタビューで佐々木守は「知ったのはずっと後。原爆実験はいけないということを子供たちにわかってほしいと思い書いたが、封印されて問題が大きくなり困った」、友里アンヌ役のひし美ゆり子は「封印したことを知らされなかった」、中島は「(インタビュアーの何が問題だったのかわからないという発言に対して)それが一番の問題、私はウルトラセブンの愛好者から加害者第一号として叫弾された 不明瞭な形で封印されたからそのようなリアクションが出る」など、封印の経緯説明の不足を指摘するコメントが残っている[7]

作品自体の問題有無と再公開に対するコメント編集

  • 当時の抗議はカードに対して行ったと主張した中島であったが、第12話の作品そのものについても実際の作品を鑑賞した上で、「監督さんが人間の形をした怪獣をつくっちゃったのかが引っかかりました。あれがゴジラみたいにね 動物的だったら問題はまったく起きないですよ」「被爆者に対する認識が確立していなかったということははっきり言えます」「作品そのものに問題がなければ二次使用作品が問題になるわけはない」[3]「ケロイドの形状がひっかかる。血を吸うという表現も気になる」[7]などのコメントを残している。
  • 一方で「少し修正することで再公開できるなら」「円谷がそう言ったことを理解して、第12話のニュープリント(修正版)を貸し出しては」などの対策案を提示した佐々木に対し、中島は「オリジナルで残さないと意味がない リアリティの問題は残るが封印はよくない」「血の問題も触れてほしくないと感じる人はいても理解する人もいるので議論する余地はある」などの前向きなコメントも残している[7]
  • 2005年のFLASHの取材に対し、原水爆禁止日本国民会議は「いま実際の番組をみても特に問題があるとは思わないが、被爆者自身が見てどう思うかが重要。今後経緯を説明した上で公開することは可能だと思う」、原水爆禁止日本協議会は「番組を確認していない」という前提で「被爆者を冒涜するようなことは許してはならない」などのコメントをよせた[7]

封印後のメディア露出編集

当初は商業誌へのサブタイトルも掲載を控えられていたものの、作品自体ではなく資料的なデータが例外的に公開されることが何度かあった。

  • 1980年 朝日ソノラマより出版された『宇宙船 Vol.2』のQ&Aコーナーで、第12話のサブタイトルと欠番に至る非常におおまかな経緯が、文字の大きさを他のQ&Aのものより小さくし、本の内側に目立たないようにして掲載された。
  • 1983年 新英出版より出版された写真情報誌『スクランブルPHOTO』で、第12話のオープニングとスペル星人の写真がモノクロで紹介され、欠番に至る経緯と第12話のビデオテープが1本10万円前後で取引されているなどの記事が掲載された。
  • 1983年 大阪で開催された日本SF大会で上映されたオープニングアニメーション『DAICON IV OPENING ANIMATION』の中で、スペル星人の姿が2度確認できる。
  • 1984年 竹書房より出版された豪華本『ウルトラマン大事典』で、スペル星人の写真や第12話のフィルムストーリーが公開され、エピソードガイドにもあらすじなどが掲載された。
  • 1984年 朝日ソノラマより出版された『ファンタスティックコレクション N0.35 ウルトラセブン グラフィティ』に、スペルUFOの見出しとともにスペル星人円盤のカラースチールが、第12話のタイトル、監督、脚本、監督、特殊技術、本放送日の情報とともに掲載された。
  • 1986年から数年に渡り東映ビデオより発売されたウルトラセブンのビデオに同封されていた放映リストに、第12話のサブタイトル、スペル星人の名称、脚本、監督、本放送日が記載された。
  • 1987年 講談社より出版された『ウルトラマン大全集II』の230pで、スペル星人の円盤の写真が掲載された。
  • 1987年 講談社より出版された『メーキング・オブ・円谷ヒーロー 2 サイエンスヒーロー・ワールド』の147-149pで、橋本洋二佐々木守大木淳吉池谷仙克による座談会の中で、第12話の欠番に至る経緯に言及している。
  • 1987年夏、深夜から早朝にかけTBSで放送された『泉麻人のウルトラ倶楽部』では、ウルトラセブン放映分の第1回目の番組オープニング時の解説にて、泉が「諸事情により放映できない回があり、今回も残念ながら放映はできません」とあらかじめ断った上で「第12話を除く全話」が放送された。
  • 1989年 バンダイビジュアルより発売された『レーザーディスク ウルトラセブン Vol.3』のライナーに「幻の第12話とは何か?」と題し、會川昇による第12話の解説(企画状況や欠番に至る顛末など)及び詳細なストーリーが掲載された他、本編のフィルムも一部掲載された。
  • 1991年 朝日ソノラマより出版された『ウルトラマン白書 第3版』で、注釈つきながら初めて放映リストに第12話の情報が記載された。
  • 1991年 太田出版より出版された『イカす!おたく天国』の著者、宅八郎と第12話監督の実相寺昭雄との対談にて第12話についての記事が掲載。この中で、実相寺は「抗議は自分や脚本の佐々木守のところには来ていない」「テーマは別のところにあった」「第12話について話すのはこの対談が初めてである」と明かしている。
  • 1992年 JICC出版局(現・宝島社)より出版された『別冊宝島 怪獣学入門』の初版で、『「幻の12話」を20年間追い続けた男』と題し、第12話の欠番に至った経過(編集部取材・文)が掲載されたが、第2版からは『ゴジラ COMICの逆襲』(JICC出版局)の広告に差し替えられている。
  • 1993年から1997年まで講談社のコミックボンボンに掲載された『ウルトラマン超闘士激伝』の中で、カネゴンナックル星人の後ろに座っているモブキャラクターの観戦客としてスペル星人が描かれているのが確認できる(完全版第3巻 43p)。
  • 1995年 三一書房より出版された佐々木守シナリオ集『故郷は地球』には、第12話のシナリオが完全に収録されている。
    • 佐々木は2003年の著書『戦後ヒーローの肖像 -『鐘のなる丘』から『ウルトラマン』へ』(岩波書店)内で第12話の封印経緯について触れ、抗議による欠番自体はやむを得ないとしながらも、「本放送を視聴していない」人々の抗議だったことは訝っていた。
  • 1998年 朝日ソノラマより出版された 竹内博の編集による『ファンタスティックコレクション 空想特撮シリーズ ウルトラセブン アルバム』初版に、第12話の製作No、サブタイトル、スペル星人の名称、脚本、監督、本放送日が掲載され、裏表紙にはスペル星人の円盤のカラースチール写真と、本編のフィルムからスペル星人の飛行シーンが掲載された。ただし1999年の第2版ではスペル星人の飛行シーンのみ別スチールに差し替えられた。
  • 2001年 8月3日付の朝日新聞は「幻紀行」のシリーズで、「封印の理由」「『差別』で論議 12話欠番に」「セブンに込めた願いは」などの見出しでこの問題を取り上げ、三浦宏の執筆によって欠番となった経緯を説明。佐々木や実相寺らの原爆反対を訴えたものと反論を載せ、アンヌ役のひし美ゆり子によるDVD化の提案と、広島平和記念資料館の元館長・高橋昭博にビデオを観てもらった上での「31年前に見ても差別だとは感じなかったはずで平和を願う気持ちが伝わる」というコメントを載せている。
  • 2004年 太田出版より出版された『封印作品の謎』で、安藤健二による従来の特撮系書籍とは異なる角度からの取材にもとづき、第12話の問題の経緯の詳細が報告されている。
  • 2004年 ファミリー劇場でウルトラセブンの再放送が行われた際、「ウルトラセブン第12話は永久欠番となっておりますので放送致しません。ご了承下さい。」というテロップが挿入された。
  • 2002年以降 12話会より出版された『1/49計画 ウルトラセブン12話大全集』で、非公式ではあるが関連の資料や関係者インタビューを集めた記事が掲載された。現在までに第3弾まで発行されている。
  • 2005年 光文社より出版された写真情報誌『FLASH 11月22日号 No.890』の77-80pで 袋とじ企画「ウルトラセブン 封印された第12話ー遊星より愛をこめてー」と題し、スペル星人の写真(ただしアトラクションスーツは本編で使われたものではない)が掲載され、つづく81-83pで「闇に葬られたウルトラ怪獣を追え」と題し、放送から封印までの詳細な経緯や、竹内博、井川浩、ひし美ゆり子ほか当時の関係者らの証言やコメントを多数掲載。最初に抗議文を送った中島龍興と第12話の脚本を担当した佐々木守らによる再公開に向けての打開策をテーマとした対談メモなども掲載された。
  • 2009年 ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメントより出版された『昭和42年ウルトラセブン誕生』の56pで、第12話のアフレコが1967年10月5日に行われ、11月4日に完成していたことが記載されている。また最終頁には、第12話のサブタイトル、脚本、監督、放送日、視聴率が32.8%と記載された各話視聴率一覧の貼り紙の写真が修正されることなく掲載されている。
  • 2011年 講談社より出版された『ウルトラ怪獣DVDコレクション6 メトロン星人』のブックレットの18pで、スペル星人の写真が掲載されている雑誌の写真ページ(1968年 ぼくら3月号・同年 別冊少年マガジンお正月特大号)が掲載された。
  • 2011年 洋泉社より出版された『ウルトラセブン研究読本』の319pで 第12話のサブタイトル、脚本、監督、特殊技術監督の氏名が掲載された。
  • 2014年 7月19日~8月31日 富山県立近代美術館において、『成田亨 美術/特撮/怪獣 ウルトラマン創造の原点』と題し、青森県立美術館所蔵の成田亨のデザイン画や彫刻・絵画作品とあわせ、未公開原画としてスペル星人のデザイン画の原画が初めて一般に公開された。
    • デザイン画はかつて同人誌に掲載されたデザイン画の原本[4]とみられ、模様のデザインもきちんと識別可能で同人誌ではかすれて消えていた部分まで識別可能な状態であったという。
    • 一般公開されたデザイン画はかつて同人誌の直接取材に対し成田夫人が「こんなデザイン画はみたこともない。こんな宇宙人は成田のデザインではない」[4]とのコメントを寄せていたものであったが、この展覧会では成田亨本人の手によるデザイン原画の一つとして展示された。またこの展覧会では成田夫人による基調講演も行われたが、スペル星人のデザイン画は図録には未収録となった。なお展示はされたが図録未収録のデザイン画はスペル星人だけでなく他にも多数あった。

上記の豪華本やレーザーディスクでの扱いはきわめて例外的なものであり(両者ともに流通部数が少なく絶版状態)、全体的には円谷プロの監修による書籍では第12話のデータのみ掲載されて写真などは公開されていないが、一部の当時のブロマイドの類には現存するものもある。1991年に朝日ソノラマより出版された『ウルトラマン白書 第3版』で、注釈つきながら放映リストに加えられたのを見本に、近年の関連書籍では「第12話は欠番状態となっている」などと放映リストに記載しつつ注釈で非公開であることを断るという形式が定着している。

現在、問題の詳細を掲載するにあたって円谷プロの同意を得ることは困難であり、円谷プロの版権を必要とする特撮系書籍でこの問題を扱うのは難しい状況となっている。

番組本編以外での同作品について編集

本放送直後の1968年2月、東芝音楽工業(現:ユニバーサル ミュージック合同会社)から発売されたシングル盤『ウルトラセブン 第2集』のB面に、この回の音声を編集・再構成したドラマ「腕時計の謎」(出演:森次浩司菱見百合子中山昭二ほか)が収められている(A面には歌「ウルトラ警備隊」を収録)。なお、1979年にはLPレコード『ウルトラセブン(東芝盤)』の初回盤に収録・販売されたが、封印後のリリースされたものなのか、再発盤において他のエピソードに差し替えられたため、すぐに店頭から消えた。東芝EMI側の手違いによって収録された模様。[8]また、スペル星人は『ウルトラファイト』の第45話「遊星の悪魔スペル星人」に登場しているが、欠番措置以降は「怪獣死体置場」と差し替えられ欠番となった。

1980年3月27日にTBSの情報番組『夕やけロンちゃん』の枠内におけるミニコーナーで再放送された。

日本国外での放送編集

1990年代アメリカ合衆国で放送されたTNT[9]では「Crystalized Corpuscles」[9]というエピソード名で放送されたが、1970年代に放送されたハワイ版とは異なる編集と吹替え[9]が施され、スペル星人は単なる吸血怪獣として扱われ、台詞の内容もそのように改変された。本編はオリジナルより短く、独自のBGMが挿入されているシーンが存在する。なお、TNTのライセンス契約は2001年に失効したため、TNT版の再放送・ソフト化の見込みはない[9]2012年に発売された北米盤DVDボックス『Ultra Seven: The Complete Series』(ウルトラセブン#映像ソフト化)はハワイ版でもTNT版でもなく、Golden Media Groupというライセンス元から供給された日本語版に新たに英語字幕を付けたものだが、第12話は供給されなかったため収録されていない[9][10]

国外における、『ウルトラQ』から『ウルトラマンタロウ』の権利は、円谷プロとタイ王国チャイヨー・プロダクションとで裁判になっていたが、チャイヨーでは第12話が欠番になっていることや、マニアの間で話題になっていることを熟知しており、ステージショーに新デザインのスペル星人を登場させていた[要出典]

原版編集

DIGITAL ULTRA PROJECTにおいて、『ウルトラセブン』は全編デジタルリマスターが行われているが、第12話で同様の処置が行われたかどうかは公式には不明である。しかし、実相寺は『1/49計画II(12話会)』のインタビュー記事で「テレシネしたって話は聞いたことがあります」と語っている。 また、制作当時に関わっていた人物がファンとの交流会の場で「12話も他のエピソードと同様にリマスタリング作業を施された」と証言する者もいる。 ひし美ゆり子高野宏一から、ネガはクリーニングして保管してある、と言われたという[11]

映像の流出編集

海賊版ビデオの流出
1980年代前期より、第12話の海賊版ビデオがマニアの間で広く出回るようになった。出所については諸説が存在し、詳細は不明である。
このビデオが流通するようになった1980年代前期は、ビデオデッキが普及する一方で映像ソフト市場は現在ほど充実していなかったため、手持ちの映像をダビングし合う習慣が特撮ファンの間に拡がっていた。そのため、本作のビデオもファン同士の交流の中でダビングを繰り返しながら流通していった。その一方、日本以外の放送局で通常に放送された第12話本編を録画したものも出回っている。
インターネットメディアでの流出
インターネットの発展により、第12話は次第に多くのユーザーに認知されるようになった。
WinMXWinnyなどのP2P技術を用いたファイル共有ソフトによって、第12話が出回るようにもなったのが始まりであったとされるが、出所は不明。YouTubeニコニコ動画などの動画サイトにもアップされた。

出版物編集

12話会より関連資料や関係者インタビューなどが掲載された、自費出版物が発行されている。円谷プロはチャイヨー・プロとの裁判で、この本を証拠として利用したという証言がある。

  • 1/49計画 ウルトラセブン12話大全集(2002年8月11日初版)
  • 1/49計画II 決定版スペル星人大全集(2003年12月29日初版)
  • 1/49計画III 遊星より愛をこめて大全(2006年12月30日初版)

その他編集

  • 帯番組『ウルトラ怪獣大百科』(1988年テレビ東京)のバットンの回でナレーターが、地球人の血液を狙った宇宙人や宇宙怪獣の手段を挙げており、その中に名指ししていないものの、「秘密の腕時計を使ってまんまと大量の血液を集めたりする方法」とスペル星人の存在に言及されている[12]
  • 2011年3月にファミリー劇場で本作のデジタルリマスター版が放送された際には、やはり第12話が欠番だったのに加え、第26話「超兵器R1号」も劇中で怪獣(ギエロン星獣)放射能を吐く描写があることから、同時期に発生した福島第一原子力発電所事故を考慮して放送中止になっている。
  • 映画『ウルトラマン・ウルトラセブン モーレツ大怪獣戦』では、ラスト近くにスペル星人がアイスラッガーで切断されるシーンがある(ただし、『快獣ブースカ』のDVD-BOXの特典映像ではこのシーンは除去されている)。
  • 2017年12月、アンヌ隊員役のひし美ゆり子は、放送50周年の記念としてスペル星人を象ったケーキを用意し、同話解禁を祈念する密やかなパーティーを開いたことをブログで報告した[13]。なお、ひし美はTwitterにもメッセージを投稿しており、その旨は報道もされている[14]

脚注編集

  1. ^ 1968年に発売された週刊少年マガジン19号(5月5日号)に「きゅうけつうちゅうじん」の記載がある。1970年の夏に出版社用に円谷プロが製作した公式設定資料には「別名・被爆星人」「特徴・全身ケロイドだらけ」との記載があったが被爆者団体からの抗議活動を受けて削除された。公式設定資料は、竹内博が作った『怪獣設定書』が元で、『怪獣設定書』は大伴昌司のグラビアなどで発表した物を纏めたもの(「1/49計画III 遊星より愛をこめて大全」竹内博インタビューより:12話会/2006年12月30日初版)。
  2. ^ 製作第9話、大木組制作日報。「ウルトラセブン撮影日誌」復刊ドットコム、2017年。69-70頁。ただし、宇宙人の名前は「ペトロ星人」と改称されている。
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 安藤 健二 (2004/9/1). 封印作品の謎. 太田出版 
  4. ^ a b c d 1983年に朝日ソノラマより発売された「成田亨画集ウルトラ怪獣デザイン編」の巻末には、未収録デザイン画についての成田自身のコメントがあるが、それによると「真っ白い服にケロイドをつけてくれないかというのが、演出の実相寺昭雄氏からの注文でした。これは、ウルトラ怪獣に対する私の姿勢に反するのでやりたくありませんでした。私はろくにデザインも描かず、高山良策さんに白いシャツとズボン、それにマスクを作ってください。できたら、適当にケロイドをつけてくれと実相寺氏の注文通りに依頼したら、高山さんが『そんなものでいいんですか?』と呆れて言ったのを憶えています」とある。このことからも、適当でないデザインの存在については不明。その後、「1/49計画III」に発見されたスペル星人のデザイン画が掲載された。
  5. ^ KODANSHA Official File Magazine ULTRAMAN Vol.5 ウルトラセブン第2集. 講談社. (2005年7月25日) 
  6. ^ 東京新聞:中島竜美氏死去 在韓被爆者問題市民会議代表:おくやみ(TOKYO Web)(インターネットアーカイブ2008年1月13日分キャッシュ)
  7. ^ a b c d e f g h i j k l m FLASH (光文社) No.890 11/22号. (2005年). 
  8. ^ ウルトラセブン12話レコード版 http://www1.odn.ne.jp/egota/Lab/S12RE.html
  9. ^ a b c d e 北米盤DVDボックス『Ultra Seven: The Complete Series』の解説書 p.15-p.19。August Ragone筆.
  10. ^ "ULTRA SEVEN" COMPLETE SERIES DVD BOX SET! - Shout! Factory's 45th Anniversary Release! The Good, the Bad, and Godzilla 続・夕陽の呉爾羅(August Ragoneのブログ). 2012年9月7日付.
  11. ^ ひし美ゆり子、樋口尚文『万華鏡の女』筑摩書房
  12. ^ ‪『ウルトラ怪獣大百科』 第216話(配信#238)「バットン」-公式配信-‬”. 2020年5月15日閲覧。
  13. ^ 12月17日は密やかに..(2017年12月19日付) あれから50年・・アンヌのひとりごと- ひし美ゆり子の ブログ
  14. ^ ウルトラセブン第12話「遊星より愛をこめて」が放送50年、アンヌ隊員の女優が解禁を祈るメッセージ ハフポスト

関連項目編集