スポーツパーソン・オブ・ザ・イヤー (スポーツ・イラストレイテッド)

1954年の創刊以来、アメリカのスポーツ雑誌『スポーツ・イラストレイテッド』誌は毎年、「その年に最もスポーツマンシップの精神を体現し、業績を残した選手やチーム」に対しスポーツパーソン・オブ・ザ・イヤー (Sportsman of the Year) を贈ってきた。当初は「スポーツマン・オブ・ザ・イヤー」と称し、女性に授与する場合は「スポーツウーマン・オブ・ザ・イヤー」と呼び替えていたが、後に「スポーツパーソン・オブ・ザ・イヤー」に改称した。選考対象は国籍を問わないが、過去の受賞者の大半はアメリカ人である。

最多受賞はレブロン・ジェームズの3回。2012年に初めて受賞し、2016年に2度目、2020年に3度目の受賞を果たした。

受賞者に贈られるトロフィーは、紀元前510年頃の古代ギリシャアンフォラを模した陶器製のもので、裸体でランニング、円盤投げ、槍投げをするヘレニズムの男性アスリートが描かれている。直径は8インチ(20.32センチメートル)、高さは18.5インチ(47センチメートル)である。オリジナルのアンフォラは1954年に『スポーツ・イラストレイテッド』誌が入手し、1979年に国立アメリカ歴史博物館に寄贈された[1]。現在は、受賞者にはティファニー社製の銀製のアンフォラのレプリカが贈られている[2]

受賞者 編集

以下に、歴代のスポーツパーソン・オブ・ザ・イヤーを挙げる。※印はスポーツ選手以外が受賞したことを示す。

受賞者 国籍 競技 業績
1954 ロジャー・バニスター   イギリス 陸上競技 1マイル競走で初めて4分の壁英語版を破る
1955 ジョニー・ポドレス   アメリカ 野球 ワールドシリーズMVP
1956 ボビー・モロー   アメリカ 陸上競技 1956年メルボルンオリンピックで金メダルを3個獲得
1957 スタン・ミュージアル   アメリカ 野球 ナショナルリーグ首位打者
1958 レイファー・ジョンソン   アメリカ 陸上競技 十種競技世界新記録
1959 インゲマル・ヨハンソン   スウェーデン ボクシング 世界ヘビー級王者
1960 アーノルド・パーマー   アメリカ ゴルフ PGAプレイヤー・オブ・ザ・イヤー
1961 ジェリー・ルーカス   アメリカ カレッジバスケットボール ファイナル・フォーMVP
1962 テリー・ベイカー英語版   アメリカ カレッジフットボール ハイズマン賞受賞
1963 ピート・ロゼール英語版   アメリカ プロフットボール NFLコミッショナー
1964 ケン・ベンチュリ英語版   アメリカ ゴルフ 全米オープン優勝
1965 サンディー・コーファックス   アメリカ 野球 サイ・ヤング賞受賞
1966 ジム・ライアン   アメリカ 陸上競技 1マイル競走世界新記録
1967 カール・ヤストレムスキー   アメリカ 野球 三冠王、アメリカンリーグMVP
1968 ビル・ラッセル   アメリカ プロバスケットボール NBA優勝チーム選手兼ヘッドコーチ
1969 トム・シーバー   アメリカ 野球 サイ・ヤング賞受賞、ワールドシリーズ優勝
1970 ボビー・オア   カナダ アイスホッケー NHL ハート記念賞アート・ロス記念賞コーン・スマイス賞ジェームス・ノリス記念賞
1971 リー・トレビノ   アメリカ ゴルフ PGAプレイヤー・オブ・ザ・イヤー
1972 ビリー・ジーン・キング   アメリカ テニス キャリア・グランドスラム達成
ジョン・ウッデン   アメリカ カレッジバスケットボール NCAA男子バスケットボールトーナメント優勝チームコーチ
1973 ジャッキー・スチュワート   イギリス 自動車競技 F1ドライバーズチャンピオン
1974 モハメド・アリ   アメリカ ボクシング 世界ヘビー級王者
1975 ピート・ローズ   アメリカ 野球 ワールドシリーズMVP
1976 クリス・エバート   アメリカ テニス 4大大会で2勝
1977 スティーブ・コーゼン   アメリカ 競馬 エクリプス賞最優秀騎手
1978 ジャック・ニクラス   アメリカ ゴルフ 全英オープン優勝
1979 テリー・ブラッドショー   アメリカ プロフットボール スーパーボウルMVP
ウィリー・スタージェル   アメリカ 野球 ナショナルリーグMVP、リーグチャンピオンシップシリーズMVP、ワールドシリーズMVP
1980 アイスホッケー オリンピック代表アメリカチーム   アメリカ アイスホッケー 1980年レークプラシッドオリンピック金メダル(氷上の奇跡
1981 シュガー・レイ・レナード   アメリカ ボクシング 世界ウェルター級王者
1982 ウェイン・グレツキー   カナダ アイスホッケー NHL ハート記念賞アート・ロス記念賞
1983 メアリー・デッカー   アメリカ 陸上競技 1983年世界陸上競技選手権大会で2種目で優勝
1984 エドウィン・モーゼス   アメリカ 陸上競技 1984年ロサンゼルスオリンピック金メダル
メアリー・ルー・レットン   アメリカ 体操競技 1984年ロサンゼルスオリンピック金メダル
1985 カリーム・アブドゥル=ジャバー   アメリカ プロバスケットボール NBAプレーオフMVP
1986 ジョー・パターノ   アメリカ カレッジフットボール NCAA男子バスケットボールトーナメント 優勝チームヘッドコーチ
1987 "Athletes Who Care"として、人道的な活動をしたスポーツ選手8人を表彰
ボブ・ボーン英語版   カナダ アイスホッケー 障害のある子供のための学校の支援
ジュディ・ブラウン・キング英語版   アメリカ 陸上競技 虐待された児童の支援
キプチョゲ・ケイノ   ケニア 陸上競技 孤児の支援
デール・マーフィー   アメリカ 野球 慈善活動団体での活動
チップ・リーヴス英語版   アメリカ カレッジフットボール 困窮児童の支援
パティ・シーハン   アメリカ ゴルフ 虐待された少女の支援
ロリー・スパロー英語版   アメリカ プロバスケットボール 学童の支援
レジー・ウィリアムズ英語版   アメリカ プロフットボール 高校生の支援
1988 オーレル・ハーシュハイザー   アメリカ 野球 サイ・ヤング賞、リーグチャンピオンシップシリーズMVP、ワールドシリーズMVP
1989 グレッグ・レモン   アメリカ 自転車競技 ツール・ド・フランス優勝、世界自転車選手権競技大会男子ロードレース優勝
1990 ジョー・モンタナ   アメリカ プロフットボール スーパーボウルで3度目のMVP
1991 マイケル・ジョーダン   アメリカ プロバスケットボール NBA最優秀選手賞、NBAファイナルMVP、NBA優勝
1992 アーサー・アッシュ   アメリカ テニス AIDS啓発などの人道的な活動の支援
1993 ドン・シュラ   アメリカ プロフットボール NFLで最も勝利したコーチ
1994 ボニー・ブレア   アメリカ スピードスケート 1994年リレハンメルオリンピックで金メダル2個獲得
ヨハン・オラフ・コス   ノルウェー スピードスケート 1994年リレハンメルオリンピックで金メダル3個獲得
1995 カル・リプケン・ジュニア   アメリカ 野球 連続試合出場のMLB記録を更新
1996 タイガー・ウッズ   アメリカ ゴルフ 全米アマチュアゴルフ選手権優勝、NCAAディビジョンI男子ゴルフ選手権英語版優勝
1997 ディーン・スミス   アメリカ カレッジバスケットボール カレッジバスケットボールでの最多勝利コーチ
1998 マーク・マグワイア   アメリカ 野球 シーズン最多本塁打(1998年のMLBシーズン最多本塁打記録対決も参照)
サミー・ソーサ   ドミニカ共和国 野球 ナショナルリーグMVP
1999 サッカーアメリカ合衆国女子代表   アメリカ サッカー 1991 FIFA女子ワールドカップ優勝
2000 タイガー・ウッズ   アメリカ ゴルフ メジャー選手権3勝
2001 カート・シリング   アメリカ 野球 ワールドシリーズMVP
ランディ・ジョンソン   アメリカ 野球 ワールドシリーズMVP、サイ・ヤング賞
2002 ランス・アームストロング   アメリカ 自転車競技 ツール・ド・フランス4連覇
2003 デビッド・ロビンソン   アメリカ プロバスケットボール NBAで2度目の優勝
ティム・ダンカン   アメリカ プロバスケットボール NBA MVP、NBA優勝、NBAファイナルMVP
2004 ボストン・レッドソックス   アメリカ 野球 ワールドシリーズ優勝
2005 トム・ブレイディ   アメリカ プロフットボール 2度目のスーパーボウルMVP、スーパーボウルで3度目の優勝
2006 ドウェイン・ウェイド   アメリカ プロバスケットボール NBA優勝、NBAファイナルMVP
2007 ブレット・ファーヴ   アメリカ プロフットボール 「彼の忍耐力と情熱に対して」
2008 マイケル・フェルプス   アメリカ 水泳 2008年北京オリンピックで金メダル8個獲得
2009 デレク・ジーター   アメリカ 野球 ワールドシリーズで5度目の優勝
2010 ドリュー・ブリーズ   アメリカ プロフットボール スーパーボウルMVP、ハリケーン・カトリーナからのニューオーリンズの復興に対する慈善活動
2011 マイク・シャシェフスキー   アメリカ カレッジバスケットボール NCAAディビジョンI史上最多勝利コーチ
パット・サミット   アメリカ カレッジバスケットボール NCAAバスケットボールにおける生涯最多勝利コーチ
2012 レブロン・ジェームズ   アメリカ プロバスケットボール NBA MVP、NBAファイナルMVP、NBA優勝、オリンピック金メダル
2013 ペイトン・マニング   アメリカ プロフットボール 5度目のNFL MVP、シーズンタッチダウンパスNFL記録、AFC優勝
2014 マディソン・バンガーナー   アメリカ 野球 ワールドシリーズで3度目の優勝、リーグチャンピオンシップシリーズMVP、ワールドシリーズMVP
2015 セリーナ・ウィリアムズ   アメリカ テニス グランドスラム3大会連続優勝、史上最年長の世界ランキング1位
2016 レブロン・ジェームズ   アメリカ プロバスケットボール NBAファイナルMVP、クリーブランド・キャバリアーズにNBAファイナル初優勝をもたらす
2017 ホセ・アルトゥーベ   ベネズエラ 野球 アメリカンリーグMVP、ワールドシリーズ優勝、ハリケーン・ハービーで被害を受けたヒューストンに優勝をもたらす
J・J・ワット   アメリカ プロフットボール ハリケーン・ハービーから1ヶ月も経たないうちに、ヒューストンのために3700万ドル以上の救援物資を集めた
2018 ゴールデンステート・ウォリアーズ   アメリカ プロバスケットボール NBAファイナル連覇
2019 ミーガン・ラピノー[3]   アメリカ サッカー 2019 FIFA女子ワールドカップ優勝、ゴールデンボール(最優秀選手)・ゴールデンブーツ(得点王)を獲得
2020 ローレント・デュバニーターディフ   カナダ アメリカンフットボール 2020スーパーボウル優勝チーム選手 新型コロナウイルス感染症対応のための活動に病院で参加
レブロン・ジェームズ   アメリカ バスケットボール 2020年NBA優勝 史上初めて異なる3つのチームでファイナルMVP獲得
パトリック・マホームズ   アメリカ アメリカンフットボール スーパーボウルMVP、ブラック・ライヴズ・マター運動に参加
大坂なおみ   日本 テニス 2020年全米オープン優勝 社会正義を実現する活動を支援
ブレアナ・ステュアート   アメリカ バスケットボール 2020年WNBAMVP 反人種差別とジェンダーフリーについて繰り返し発言

関連項目 編集

脚注 編集

  1. ^ “Sports Legends Donate To Smithsonian”. Evening Independent. Associated Press (St. Petersburg, Florida): p. 7C. (1979年6月19日). https://news.google.com/newspapers?nid=950&dat=19790619&id=zRwOAAAAIBAJ&sjid=Tn0DAAAAIBAJ&pg=4768,658615&hl=en 2015年6月29日閲覧。 
  2. ^ Hoffarth, Tom (2009年11月3日). “How much is that trophy in the window?”. Farther Off The Wall. 2015年9月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年7月14日閲覧。
  3. ^ Soccer legend Megan Rapinoe has been named Sports Illustrated's Sportsperson of the Year Alaa Elassar, CNN, Dec 10, 2019