スミス都へ行く
『スミス都へ行く』(スミスみやこへいく、原題: Mr. Smith Goes to Washington)は、1939年、コロンビア ピクチャーズ製作によるアメリカ映画である。
スミス都へ行く | |
---|---|
Mr. Smith Goes to Washington | |
![]() ポスター(1939) | |
監督 | フランク・キャプラ |
脚本 | シドニー・バックマン |
原作 |
ルイス・R・フォスター 『モンタナから来た紳士』 |
製作 | フランク・キャプラ |
出演者 | ジェームズ・ステュアート |
音楽 | ディミトリ・ティオムキン |
撮影 | ジョセフ・ウォーカー |
編集 |
アル・クラーク ジーン・ハヴリック |
配給 |
![]() |
公開 |
![]() ![]() |
上映時間 | 129分 |
製作国 |
![]() |
言語 | 英語 |
製作費 | $1,500,000 |

略歴・概要 編集
原作はルイス・R・フォスター(Lewis R. Foster)の『モンタナから来た紳士』。
主人公スミスは田舎のボーイスカウトのリーダーだったが、死亡した上院議員の代わりに、政界に担ぎ出される。スミスはそこで政治の腐敗と単身対決することになる。
第12回アカデミー賞で、作品賞を含む合計11部門にノミネートされ、原案賞を受賞。主演のジェームズ・ステュアートは、第5回ニューヨーク映画批評家協会賞において男優賞を受賞した。
ストーリー 編集
中西部の或る州選出の連邦上院議員が急死した。その州では新聞社を経営するジム・テイラーとその一派が、州知事をはじめとする政治家とともに、新規ダム建設に関する大規模な不正を行っていた。テイラーはある土地を二束三文で買い占めてから、その土地に政府のダムを誘致し、莫大な利益を得るつもりだった。連邦政府の歳出案を可決しダムの誘致を成功させるためには早急に新しい上院議員を選出しなければならない。しかし後継者選びは難航した。テイラーの手先である州知事は迷った挙句、ボーイスカウトの団長を務める青年ジェファソン・スミスを指名した。スミスは子供たちから絶大な人気があり、その親からの票が望めることと、理想は高いが政治に無知で、頭も悪く、テイラーの傀儡にしやすいことがその理由であった。そしてスミスは上院議員に選出され、合衆国の首都ワシントンで政治家となることになった。
出発の日、スミスはもう一人の同州選出連邦上院議員のペインと列車に乗り込んだ。偶然にもスミスの父親クレイトンとペインは志を同じくする親友だった。かつてクレイトンはジャーナリスト、ペインは弁護士として巨悪と戦っていたのである。クレイトンは一人で巨大な組織を敵に回して雄々しく戦ったが、様々な嫌がらせを受けた挙句、殺されてしまった。スミスはペインに問う。「一人の人間が、組織と戦って勝つことは出来ないのでしょうか」ペインは答える。「出来ない」
ワシントンに到着したスミスだが、若く純朴で世間知らずの田舎者が上院議員になったことを世間が放っておくはずはなかった。マスメディアはスミスについてあることないことを書き立て、世間の笑いものにしてしまった。スミスは激怒し、自分を貶した記者が集う酒場に文句を言いに行った。だが合衆国の政治を嫌と言うほど見てきた記者たちは、スミスを能無しの傀儡呼ばわりし、反対にこてんぱんに言い負かしてしまった。スミスは自分は(記者の言う通りの)能無しだと自覚させられ、意気消沈して家路についた。その夜、スミスはペインに会いに行き、少しは政治家らしいことをさせてほしいと懇願する。例えば法案を提出するようなことをだ。ペインはすぐには首を縦に振らなかったが、スミスの熱意に押されたのか、秘書の助けを借りて少年のためのキャンプ場を建設する法案を作ってはどうかと言う。子供が好きなスミスは二つ返事で頷いた。スミスは女性秘書のサンダースの後押しも受けて、法案を猛スピードで書き上げていった。
ある日の議会。スミスは突然立ち上がり、議場に響き渡る大声で「議長!法案を提出します!」。他の議員たちはスミスを嘲り笑う。議員たちも、スミスを能無しの傀儡だと思っているのだ。極度に緊張しているスミスは、ときどき声を裏返らせながらも自身の法案を読み上げた。スミスの一言ごとに議場は大きな笑いに包まれた。ところが、「このキャンプ場はウィレット川のテリー渓谷に位置し…」。その瞬間、ペインは血相を変え、議場を飛び出していった。傍聴席でこの議会を見物していたテイラーの手下もその後を追う。スミスは知る由もなかったが、スミスはテイラーがダムのために買い占めようとしていた土地に少年キャンプ場を作ろうとしていたのだ。もしスミスの法案が可決されたら、テイラーの野望は叶わない。初めての法案の提出を成功裏に終わらせたスミスだったが、彼を取り巻く環境は既に一変していた。父と同じ正義の味方として尊敬するペインは、とうの昔に悪に屈服しており、テイラーの不正に手を貸していた。そして、ペインとテイラーはスミスの法案を撤回させるために不気味に蠢き始めていた。
とうとうスミスがダムの不正に気が付くときがきた。ペインがテイラーとグルであることにも。まずはテイラーが、続いてペインが、スミスに対して脅迫に近い説得を行い、ダムの不正に目をつぶることと、キャンプ場建設のための法案を撤回することを要求した。スミスはペインが悪に染まっていたことに衝撃を受けるが、法案の撤回にだけは応じなかった。すると翌日の議会で思いもよらぬ事態が起こった。ペインがスミスを告発したのだ。スミスはキャンプ場予定地に私有地を持っていて、法案は彼自身に利益誘導をするためのものだという。もちろんテイラー一派のでっちあげだ。しかし議会は実績の無いスミスよりも、ペインを信じた。ペインの求めに応じてスミスの疑惑に関する公聴会が開かれることになった。公聴会では、テイラー一派がスミスが不正を働いたとする証拠、証人を次から次へと提出し、スミスはなすすべもなく追いつめられた。とどめにペイン自身が証人台に立ち、嘘八百を並べ立てた。合衆国の政治に絶望したスミスは折角与えられた反論の機会を放棄し、無言で公聴会を後にした。もはやスミスが不正を働いたと信じない者は誰もいなかった。スミスの支持者の子供たちさえも。その後、秘書のサンダースは、スミスをリンカーン記念堂の中で見つけた。スミスは声を殺して泣いていた。スミスはサンダースに、リンカーンのような政治家に憧れていた自分がいかに愚かだったかを語り、議員をクビになったら故郷に帰るつもりだと明らかにした。だがサンダースは気弱なスミスを叱咤し、テイラーやペインの巨大な組織と戦えと言った。スミスの父がそうしたように。ひとりぼっちで。「でもどうすればいい」スミスは尋ねる。「方法があるわ。教えてあげる」サンダースは答えた。
翌日。議会ではスミスの上院からの追放が満場一致で可決される見込みだった。しかしスミスは議会に現れた。その表情は決意に満ちていた。議会にざわめきがひろがった。クビになるのは避けられないのに、今さら何をしようというのか?いよいよスミスの追放決議案が採決されようというとき、スミスが突然立ち上がり、議長に発言を求めた。「議長!」傍聴人にまぎれたサンダースも野次を飛ばした。「彼に喋らせてちょうだい!」他の傍聴人もサンダースに同調した。「そうだ。彼に喋らせろ!」面白い見世物を期待したのかもしれない。そして議長はスミスに発言権を与えた。「早く私をクビにしたいようですね。あれだけの証拠があっては無理もありません。しかしその前に申し上げたい。この前は阻止されたが今度は言います。言い終わるまで去りません」何かを感じ取ったのか、ペインが起立し発言を求めた。議長がスミスに尋ねた。「発言権を譲りますか」嫌です!と、スミスは激しく拒否する。「わたしは昨夜、ある人から教えを受けましてね。議会では他人に発言を譲る必要はないと知りました。つまり好きなだけ話せるのです」いかなる上院議員も、他の議員の討論をその議員の同意無しには中断させることができない。スミスは上院の規定を利用して議事妨害(フィリバスター、牛タン戦術)を続けることにより、テイラーの不正を全国民に暴露しようと目論んだのだった。
そしてスミス上院議員、最後の演説が始まった。
スタッフ 編集
- 監督・製作:フランク・キャプラ
- 脚本:シドニー・バックマン
- 撮影:ジョセフ・ウォーカー
- 音楽:ディミトリ・ティオムキン
キャスト 編集
※括弧内は日本語吹替(初回放送1972年3月26日12:00-14:00 東京12ch『日曜ロードショー』)
- ジェフ・スミス - ジェームズ・ステュアート(堀勝之祐)
- サンダース秘書 - ジーン・アーサー(此島愛子)
- ペイン上院議員 - クロード・レインズ(千葉耕市)
- ジム・テイラー - エドワード・アーノルド
- ホッパー州知事 - ガイ・キビー
- ディズ・ムーア - トーマス・ミッチェル
- 上院議長 - ハリー・ケリー