セドナSedona)は、アメリカ合衆国アリゾナ州中北部、州都フェニックスより車で2時間ほど北のココニノ郡とヤヴァパイ郡にまたがって位置する市の名称。人口10,397人(2016年)[3]。市として制定されたのは1988年[1]

セドナ
Sedona
レッドロッククロッシング
レッドロッククロッシング
愛称 : Redrock Country
歴史
1988年
行政
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
  アリゾナ州
  ヤヴァパイ郡, ココニノ郡
 市 セドナ
市長 Sandy Moriarty
地理
面積  
  市域 48.2 km2 (18.6 mi2)
    陸上   48.2 km2 (18.6 mi2)
    水面   0.0 km2 (0.0 mi2)
標高 1,319 m (4,326 ft)
人口
人口 (2016年現在)
  市域 10,397人
    人口密度   211.6人/km2(548.0人/mi2
その他
等時帯 山岳部標準時 (UTC-7)
公式ウェブサイト : [2]

概要 編集

個性的な形をした赤い砂岩の岩山に囲まれた場所であり、レッドロック・カントリー(Redrock Country)と呼ばれることもある。「ベルロック」、「カセドラルロック」、「コーヒーポットロック」、「スヌーピーロック」などの愛称が付けられている。ハイキングやマウンテンバイク用の道がたくさんあり、近年パワースポットとして知られる観光地・保養地でもある[2]

歴史 編集

先住民族と入植 編集

古来、ネイティブ・アメリカンが聖なる場所(聖地)とあがめた場所だった[3]。セドナの南にあるモンテズマ・キャッスル国定公園 (アメリカ南西部にある最古の先住民岩壁住居跡)にあるモニュメント (Montezuma Castle National Monument) などの考古学的資料によると、11世紀にはネイティブアメリカンの一部族であるハバスパイ族がこの地に棲んでいたとされる。[3](最古としては700年頃にシナワ族が居住していたとされている)。ハバスパイ族はこの地をウィー グァルコ ホル ホルバ "wee gualko horu horuba"(=大地からブクブク泡立つ岩)と呼ぶ[3]。先祖からエネルギーや波動を受け取ることができるので、この地に立つこと自体が重要な儀式なのだ、と考えている[3]

1876年白人が初めて入植。現在の都市名は町の初代郵便局長セオドア・カールトン・シュネブリーの妻セドナに由来する。入植者は主に桃やリンゴの農場と牧場経営に従事した。1970年代に入ってセドナが大きく変化したのは、vortexと呼ばれるパワースポットの街として注目されたのがきっかけだった。既存の価値観に反発し、スピリチュアルな世界を信じる人々や、当時多かったヒッピー(Hippie) と呼ばれる人々が大挙してこの地に押し寄せた[3][4]。このようにして、もともとネイティブアメリカンの聖地だった場所は全米有数の「スピリチュアルな街」として世界的に知られ、年間約400万人以上の訪問者を抱える観光地・保養地となった[3]

観光地への変遷 編集

セドナはアメリカで最もスピリチュアル・ビジネスが盛んな地となっており、その集客数はアリゾナ州ではグランドキャニオンに次ぐ観光地となっている[5]。 地域一帯には上記のようなパワースポットが10カ所ほどあるとされており[3]、岩山の上などのvortexで瞑想会などが日常的に行われている。土産物店の看板には「psychic サイキック(超能力)」や「オーラ」などの文字が躍る[3]水晶などのパワーストーンを売る店も多い。(ただし、水晶はセドナ産というわけではなく、ブラジル産とのこと[3])。また「霊能力者」の看板を掲げる人も多いとされる[3]。 セドナ商工会議所観光局も自然と並んでパワースポットやスピリチュアル・ビジネスを観光資源として活用しており、公式サイトを通じて各種のセラピーツアーやヒーラーの紹介など情報発信を行っている[5]

この地でvortexについての科学的解明をしようと、15年ほど前から、休日ごとにセドナのvortexを自主的に訪れては調べている技術者がいる。娘を事故で亡くしたことがきっかけで現地を訪れたベンジャミン・ロントリー、という男性である[3]。コイルなどを使った磁力計などで地面の磁力(地磁気)を計測しノートPCで解析し、また、同時に、地面に横たわる人などの脳波を測定し、地磁気と脳波の相関関係を調べている[3]。セドナは他の土地よりも地磁気が強いため、「その地磁気が脳波に良い影響を与えている」というのが、ロントリー氏の現時点での仮説だという[3][要出典]

その独特の風土と環境ゆえに一度セドナを訪れた後、魅せられてリピーターになる者も多く、一部は移住するようになる。セドナの住民の7割はそうした移住者だという[3][要出典]

ハリウッド映画との関わり 編集

セドナはまたハリウッド映画黎明期から70年代にかけて、西部劇を中心に60本以上の映画撮影に用いられたことでも知られる。主な作品には『大砂塵』(原題・英語: Johnny Guitar)、『拳銃無宿』(原題:Angel and the Badman)、『襲われた幌馬車』 (原題:The Last Wagon)、『3時10分、決断のとき』(原題: 3:10 to Yuma)などがあり、ジョン・ウェインジョーン・クロフォードラッセル・クロウなどハリウッドを代表する有名俳優らがこの地を訪れている。

 
セドナの夕焼け
 
ベルロック
 
カセドラルロック
パノラマビュー

その他 編集

 
セドナのマクドナルド。景観保護のため外観は赤茶色のレンガ調で、「M」が通常の黄色ではなくターコイズブルーという珍しいデザインとなっている。

脚注 編集

  1. ^ [1]
  2. ^ 「癒しとスピリチャルな世界の町、セドナの楽しみ方」 セドナ商工会議所観光局、2018年3月7日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n NHK総合「地球イチバン 世界一の癒しの大地~アメリカ・セドナ~」 2014年10月16日放送
  4. ^ ニューエイジ運動」の記事も参照。
  5. ^ a b c 有元裕美子 『スピリチュアル市場の研究:データで読む急拡大マーケットの真実』 東洋経済新報社 2011 ISBN 9784492761991 pp.134-137.

外部リンク 編集