セレン化銅インジウムガリウム

セレン化銅インジウムガリウム (CIGS) はインジウムガリウムセレンからなるI-III-VI2半導体。原料はセレン化銅インジウム(しばしばCISと略される)とセレン化銅ガリウム固溶体である。化学式はCuIn(1-x)Ga(x)Se2でありxの値は1(純粋なセレン化銅インジウム)から0(純粋なセレン化銅)まで変化することができる。CIGSはカルコパイライト結晶構造を有する四面体結合半導体であり、約1.0eV(セレン化銅インジウムの場合)から約1.7eV(セレン化銅ガリウムの場合)まで連続的に変化するバンドギャップを有する。

セレン化銅インジウムガリウム

CIGS単位格子。赤 = Cu, 黄 = Se, 青 = In/Ga
識別情報
CAS登録番号 12018-95-0(CuInSe2)
特性
化学式 CuIn(1-x)GaxSe2
密度 ~5.7 g/cm3
融点

1070-990℃(x=0–1)[1]

バンドギャップ 1.0–1.7 eV (x=0–1)[1]
構造
結晶構造 正方晶、ピアソン記号 tI16 [1]
空間群 I42d
格子定数 (a, b, c) a = 0.56–0.58 nm (x=0–1) Å
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

構造 編集

CIGSはカルコパイライト結晶構造を有する四面体結合半導体である。加熱することで閃亜鉛鉱に変化し、このときの転移温度はx = 0の場合の1045℃からx = 1の場合の805℃である。

応用 編集

太陽光発電産業で使われる薄膜技術であるCIGS太陽電池の材料として最もよく知られている[2]。ここでCIGSは柔軟性の高い基板材料の上に堆積することができ、非常に柔軟で軽いソーラーパネルを製造することができるという利点を有する。効率の向上によりCIGSは代替電池材料の中で確立した技術となった。

脚注 編集

  1. ^ a b c Tinoco, T.; Rincón, C.; Quintero, M.; Pérez, G. Sánchez (1991). “Phase Diagram and Optical Energy Gaps for CuInyGa1−ySe2 Alloys”. Physica Status Solidi (a) 124 (2): 427. doi:10.1002/pssa.2211240206. 
  2. ^ DOE Solar Energy Technologies Program Peer Review”. U.S. department of energy 2009. 2011年2月10日閲覧。