ソチ・オートドロームロシア語: Сочи Автодром英語: Sochi Autodrom)は、ロシアクラスノダール地方ソチにあるサーキット。開業前はソチ・インターナショナル・ストリート・サーキット(英語: Sochi International Street Circuit)[1]、あるいはソチ・オリンピックパーク・サーキット(英語: Sochi Olympic Park Circuit)とも呼ばれていた。

ソチ・オートドローム
ロシアの旗 Sochi Autodrom
概要

2018年の空撮より
所在地 ロシア クラスノダール地方 ソチ
座標 北緯43度24分20秒 東経39度57分28秒 / 北緯43.405687度 東経39.957778度 / 43.405687; 39.957778座標: 北緯43度24分20秒 東経39度57分28秒 / 北緯43.405687度 東経39.957778度 / 43.405687; 39.957778
運営会社 オメガ
営業期間 2014年-
主なイベント F1
コース設計者 ヘルマン・ティルケ
Grand Prix circuit
コース長 5.848km (3.634 mi)
コーナー数 19
ラップレコード 1:31.304 (2020
イギリスの旗 ルイス・ハミルトン
メルセデスF1
Short circuit
コース長 2.313 km (1.437 mi)
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2014年ソチ冬季オリンピックのメイン会場を利用したロード/ストリートコースであり、F1ロシアグランプリを開催している。設計者はヘルマン・ティルケ

特徴 編集

 
ソチ・オリンピックパーク

カナダGPが開催されるジル・ヴィルヌーヴ・サーキットと同じく、オリンピック開催後の競技会場敷地を利用したコース。黒海に面したソチ・オリンピックパークに設営され、全長は5.848kmで、うち1.7kmは公道を使用する。現在のF1開催コースの中ではスパ・フランコルシャンバクー市街地コースシルバーストンに次ぐ長さとなる。コーナー数は19。

スタート/フィニッシュラインはオリンピックパーク北端の駅近くにある。メインストレートを通過後、五輪のメダル授与式が行われる中央広場をぐるりと回りこみ、ボリショイ・アイス・ドームアイスホッケー会場)、アイスキューブ・カーリングセンター(カーリング会場)、アドレル・アリーナスピードスケート会場)、アイスバーグ・スケート・パレスフィギュアスケート/ショートトラック会場)などの競技施設の周りを巡って1周する。

ジェンソン・バトン2014年のロシアGP初開催前に「韓国バレンシアのようなコースをひとつにした感じのサーキット[2]」という感想を残しており、ティルケの特色が前面に押し出された設計になっている[3]。市街地コースのように鋭角コーナーが多く、コース両側はコンクリートウォールに囲まれている。バックストレートエンドのターン14は左に緩く曲がりながら急減速するためコントロールが難しく、2015年にはカルロス・サインツJr.がバリアに衝突して病院へ搬送された[4]

また、路面が非常にスムーズで、タイヤへの負担が少ない。2014年ロシアGPでは1周目にタイヤ交換を行ったニコ・ロズベルグがそのまま最後まで走り切り、最下位から2位まで挽回した[5]

2023年からはサンクトペテルブルク近郊のイゴラ・ドライブ・サーキットに開催地を移転するため、ソチ・オートドロームでのロシアグランプリ開催は2022年が最後となる予定だったが[6]2022年ロシアのウクライナ侵攻の影響で開催中止となり、今後のロシアグランプリの開催自体もフォーミュラ1が主催者との契約を破棄したため、見通しが立っていない[7]。同年はFIA インターコンチネンタル・ドリフティング・カップも開催される予定だったが[8]、同様の理由で中止となっている[9]

建設 編集

 
2014年ロシアGPを観戦するプーチン大統領

2010年10月、ロシアのプーチン大統領がソチでロシアGPを2014年から2020年まで開催する契約を結んだことを発表した[10]ロシア連邦政府は建設費用を2億ドル(約152億円)と見積もり、うち1億9540万ドルを国が負担し、残りはスポンサーと民間投資で賄うとした[11]

国際オリンピック委員会 (IOC) は2つのビックイベントの準備が重なることへ懸念を示し、五輪開催に影響が出るようであれば、ロシアGPを1年延期する決定を下すとコメントした[12]

2013年1月、ソチのアナトリー・パホモフ市長はサーキット建設は予定通り進んでおり、オリンピック後の2014年秋に開催されるだろうと述べた[13]。同年3月には運営会社のフォーミュラ・ソチが破産し、建設会社のオメガが仕事を引き継ぐことになったが[14]、ロシア政府はサーキット完成に必要な資金を提供することを約束した[15]

2014年はロシアが国際外交上多くの問題行動を起こしたため、報道陣から「F1を行える資格があるのか」と質問がFIAに殺到したが、バーニー・エクレストンは「金銭上問題がないので」と発言し物議をかもした。

脚注 編集

  1. ^ Kabanovsky, Aleksander (2013年4月22日). “Vettel impressed by Russian circuit after first visit”. Autosport.com (Haymarket Publications). http://www.autosport.com/news/report.php/id/106997 2013年4月22日閲覧。 
  2. ^ 「初ロシアGPを成功に導く」/マクラーレン、ロシアGPプレビュー.Topnews(2014年10月9日)
  3. ^ 韓国とバレンシアのコースは2017年現在使用されることはない。
  4. ^ 大クラッシュのサインツ、ロシアGP出走が決定.Topnews(2015年10月11日)
  5. ^ "ロズベルグが51周走行のタイヤであわやFL". オートスポーツweb.(2014年10月13日)2016年1月16日閲覧。
  6. ^ F1ロシアGP、2023年からイゴラ・ドライブ・サーキットでの開催が決定”. f1-gate.com (2021年6月26日). 2021年6月26日閲覧。
  7. ^ FIA、ロシア人ドライバーの「中立的立場」での国際競技出場を認める。ロシアGPは正式に中止に - オートスポーツ・2022年3月2日
  8. ^ Sochi to host 2022 FIA Intercontinental Drifting Cup - FIA Drifting Cup・2021年10月15日
  9. ^ FIA、ロシアで開催予定だったインターコンチネンタル・ドリフティング・カップの中止を発表 - オートスポーツ・2022年3月1日
  10. ^ "F1=ロシアでGP開催へ、冬季五輪のソチで14年から". Reuters.(2010年10月15日)2013年6月6日閲覧。
  11. ^ "F1=露政府、152億円かけGPサーキットの建設を計画". Reuters.(2011年10月27日)2013年6月3日閲覧。
  12. ^ "国際オリンピック委員会にF1ロシアGP順延の権限". Topnews.(2011年1月14日)2013年6月6日閲覧。
  13. ^ "ロシアGPは11月開催?". GPUpdate.net.(2013年1月26日)2013年6月6日閲覧。
  14. ^ "ロシアGP主催者に破産報道". ESPN F1.(2013年3月20日)2013年6月3日閲覧。
  15. ^ "ロシア政府、ソチ・サーキットへの資金提供を約束". F1-Gate.com.(2013年4月5日)2013年6月3日閲覧。

関連項目 編集

外部リンク 編集