タイタス・クロウ・サーガ

タイタス・クロウ・サーガ』とは、イギリスのホラー小説家ブライアン・ラムレイが1970年代から1980年代にかけて発表した小説シリーズ。

解説編集

ブライアン・ラムレイはイギリス軍NATO軍の兵士として、欧州各地に派兵され勤務する傍ら、趣味で小説を書き始め、やがてアメリカのオーガスト・ダーレスに見いだされて作家デビューする。ラムレイはヒーローとしてタイタス・クロウを生み出し短編小説を何編か仕上げた。やがて彼を主役として、長編シリーズとして書いたものが、本サーガである。まず最初に短編「Cement Surroundings」を書き、まるごと組み込んで第1長編としたのが1974年の出来事。1989年に全6作で完結に至った。

ダーレスが発展させたクトゥルフ神話を、独自のオカルトアクションエンターテインメントとして再構築した。1970年代の神話作品としてはエポックメイキングな作品で、全神話作品中でも屈指のボリューム。クロウは短編ではまだホラーであったが、長編のサーガにてジャンルが完全に怪物退治のダークファンタジーと化した。タイタス・クロウのシリーズだが、特定の話ではクロウが全く登場しないことがあり、アンリの方が登場頻度がずっと高い。

短編集『タイタス・クロウの事件簿』 The Compleat Crow
①『地を穿つ魔』 The Burrowers Beneath
②『タイタス・クロウの帰還』 The Transition of Titus Crow
③『幻夢の時計』 The Clock of Dreams
④『風神の邪教』 SPAWN OF THE WINDS
⑤『ボレアの妖月』IN THE MOONS OF BOREA
⑥『旧神郷エリシア』ELYSIA:THE COMING OF CTHULHU

ブライアン・ラムレイにはドリームランドのシリーズが存在する。6作目の『旧神郷エリシア』は、タイタスサーガ5作に続く完結編であり、また幻夢シリーズ3作の続きにもなっている。全6作ではあるが、他作品との関連も大きく、合わせれば作品数は10を超える。

日本では短編集こそ出ていたものの、サーガはなかなか翻訳されなかったが、東京創元社創元推理文庫にて2006年から2017年にかけて順次刊行された。日本に入って来るまで30年かかっている。幻夢境シリーズは別途で日本語版刊行されている。

ハワード・フィリップス・ラヴクラフトの作品群の未来の出来事に位置付けられている。旧神と邪神は同胞という設定で、旧神は人類の味方である。冷戦時代に執筆された作品であり、また作者自身が軍人だったことも影響して、核技術に着目しているという特徴がある。またアポロ計画にミスカトニック大学は関わっており、月でクトゥルーの幼体を発見した[1][2]

発表前に、作家同士のオフレコで、ブライアン・ラムレイとリン・カーターにはやり取りがあったようで、リン・カーターが創造したゾス三神を、ブライアン・ラムレイの方が先に発表していたということになっていることがわかっている。『タイタス・クロウの帰還』でのこと。クトゥルーの娘であるクティーラが初登場したとき、ゾス三神の妹と説明されるが、ゾス三神自体がそこで初出であった。

登場人物編集

タイタス・クロウ
①②③の主人公。オカルト探偵。初登場作品は短編『縛り首の木』。
アンリ-ローラン・ド・マリニー
①②③⑤の主人公。記述者。クロウの生涯の友。ラヴクラフトの人物の息子。
ハンク・シルバーハット
④⑤の主人公。テレパス。
ウィンゲート・ピースリー
ウィルマース・ファウンデーションの長。ラヴクラフトの人物。
ティアニア
クロウ側のヒロイン。クタニドの子孫。
アルマンドラ
シルバーハット側のヒロイン。イタカの娘で、父神に抗い戦う。
モリーン
ド・マリニー側のヒロイン。ボレアの月の出身。
デイヴィッド・ヒーロー
幻夢境シリーズの主人公の一人。⑥にて参戦。
エルディン
幻夢境シリーズの主人公の一人。⑥にて参戦。
クトゥルー
邪神の王。ルルイエの主。
シャッド-メル
地を穿つ魔。グハーンの主。ラムレイの新たな邪神。
イタカ
風の邪神。ボレアの主。
クタニド
旧神の王。エリシアの主。ラムレイの新たな旧神。

タイタス・クロウの事件簿編集

短編集。最初の短編は1970年に書かれ、短編集が1987年に刊行された。

短編『ド・マリニーの掛け時計』に登場する大時計が、サーガで重要アイテムとなる。

①地を穿つ魔編集

1974年作品。地を穿つ魔物が北米に侵攻し、ウィルマース財団と死闘が繰り広げられる。クロウとド・マリニーは財団に参加し、邪神と闘争する。大嵐でクロウの館が倒壊し、クロウとド・マリニーは消息不明となる。

②タイタス・クロウの帰還編集

1975年作品。10年間行方不明になっていたド・マリニーが瀕死の状態で発見される。友の声に導かれ、クロウも時空の旅から帰還する。

③幻夢の時計編集

1978年作品。囚われたクロウを救うために、ド・マリニーは夢の国に向かう。クトゥルーの悪夢テレパシーが、夢の国を揺るがす。

④風神の邪教編集

1978年作品。ボレア編。イタカ事件を調査するシルバーハットは、イタカによって異世界ボレアに連れ去られる。ボレアでは、邪教徒とレジスタンスが対立をしていた。

⑤ボレアの妖月編集

年作品。ボレア編。ド・マリニーがシルバーハットに合流する。

⑥旧神郷エリシア編集

1989年作品。完結編。

関連作品編集

リンク編集

脚注編集

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注釈編集

出典編集

  1. ^ 『地を穿つ魔』284、302~308ページ。
  2. ^ 『タイタス・クロウの帰還』25、39ページ。