タイラー・スカッグス

アメリカの野球選手 (1991 - 2019)

タイラー・ウェイン・スカッグスTyler Wayne Skaggs , 1991年7月13日 - 2019年7月1日)は、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンタモニカ出身のプロ野球選手投手)。左投左打。愛称はスワッギー後述)。

タイラー・スカッグス
Tyler Skaggs
ロサンゼルス・エンゼルス時代
(2018年6月15日)
基本情報
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
出身地 カリフォルニア州サンタモニカ
生年月日 (1991-07-13) 1991年7月13日
没年月日 (2019-07-01) 2019年7月1日(27歳没)
身長
体重
6' 5" =約195.6 cm
215 lb =約97.5 kg
選手情報
投球・打席 左投左打
ポジション 投手
プロ入り 2009年 ドラフト1巡目(全体40位)でロサンゼルス・エンゼルスから指名
初出場 2012年8月22日 マイアミ・マーリンズ
最終出場 2019年6月29日 オークランド・アスレチックス
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)

経歴 編集

プロ入りと第一次エンゼルス時代 編集

2009年MLBドラフト1巡目(全体40位)でロサンゼルス・エンゼルス・オブ・アナハイムから指名され、入団。

ダイヤモンドバックス時代 編集

2010年7月25日にダン・ヘイレンとの1対4のトレードが成立し、スカッグスは後日発表選手として8月7日にアリゾナ・ダイヤモンドバックスへ移籍した[1]

2011年オールスター・フューチャーズゲームに出場した。後半戦には2Aまで昇格。158イニングで198個の三振を奪い、トレバー・バウアーと共にダイヤモンドバックスの期待の星となる[2]

2012年8月22日のマーリンズ戦でメジャーデビューを果たし、7回途中を2失点で初登板初勝利を挙げた[3]

第二次エンゼルス時代 編集

2013年オフの12月10日にダイヤモンドバックス、シカゴ・ホワイトソックス、エンゼルス間の三角トレードでエンゼルスに復帰した[4]

2014年8月10日にトミー・ジョン手術を受け、シーズンの残り試合の欠場が決まり、同年の12月にはリハビリにより2015年シーズンも全て欠場することが発表された[5]

2016年は2シーズンぶりにメジャーに復帰した。10試合に先発登板し、防御率4.17を記録。

2019年は開幕からローテションの一角として15試合に先発し、チームトップの7勝(7敗)を挙げていた。

突然の死 編集

同年7月1日午後2時18分、テキサス・レンジャーズ戦に向けた遠征の際に宿泊先のホテルで意識不明状態で発見され、その後死亡が確認された[6]。27歳没。同日の試合は中止となった。翌日、エンゼルスの選手全員がスカッグスの背番号45のユニフォームを着用し、試合開始前に黙祷が捧げられ、多くの関係者が彼の死を悼んだ。

7月9日に行われたMLBオールスターゲームの試合前に両軍の選手らがグラウンドに出て、スカッグスに黙祷を捧げた。また、エンゼルスから選出され、スカッグスとは同期入団だったマイク・トラウトは背番号45のユニフォームを着て試合に臨んだ。さらに両軍の監督、コーチ、選手らも胸に45番のバッジをつけ、スカッグスを追悼した[7]。7月12日、スカッグスが急逝して以来初めてとなる本拠地での追悼試合で、エンゼルスの選手全員がスカッグスの背番号「45」と名前が記されたユニフォームを着用し、試合前の追悼セレモニーではスカッグスの母、デビーが始球式を行った。この試合でエンゼルスは継投によるノーヒットノーランを達成した[8][9]。試合後、選手たちはマウンドへ足を運び、次々とユニフォームを脱いで盛り上がった場所に並べていった。プレートを清める選手もいれば、天を仰ぎ思いを馳せる選手もおり、思い思いの方法でスカッグスに別れを告げた[10]。7月22日にアメリカ合衆国カリフォルニア州サンタモニカで追悼式が行われた。MLB選手会は「タイラー・スカッグス・ベースボール基金」へ4万5000ドル(約486万2000円)を寄付したと発表した[11]

8月30日にアメリカ合衆国テキサス州タラント郡の検視局はスカッグスの死因について「アルコール、(オピオイド鎮痛剤の)フェンタニルオキシコドンによる中毒に伴う胃内容物の誤嚥であると発表した。オピオイドとアルコールによる酩酊状態で嘔吐、吐瀉物により窒息したと見られ、衣服に乱れが無かったため事件性はなく事故であると結論づけられた[12][13]。遺族は検出された薬物の入手経路の解明を求める声明文を出したという[14]

2020年10月16日、スカッグスの死因となった薬物を提供し、死に関与したとして、元エンゼルス球団職員のエリック・ケイがテキサス州連邦当局から2つの容疑で起訴されたことにより、他殺と断定された[15][16]。2022年10月11日、ケイに禁錮22年の有罪判決が言い渡された[17]

人物 編集

NBAロサンゼルス・レイカーズのファンであり、同チームに所属していたニック・ヤングの愛称であるスワッギー PのPを抜いたスワッギーがスカッグスの愛称である[18]

母親がメキシコ人であり第5回ワールド・ベースボール・クラシックメキシコ代表として参加することも考えていた[19]

詳細情報 編集

年度別投手成績 編集





















































W
H
I
P
2012 ARI 6 6 0 0 0 1 3 0 0 .250 133 29.1 30 6 13 0 2 21 1 0 20 19 5.83 1.47
2013 7 7 0 0 0 2 3 0 0 .400 170 38.2 38 7 15 2 2 36 2 0 23 22 5.12 1.37
2014 LAA 18 18 0 0 0 5 5 0 0 .500 464 113.0 107 9 30 1 4 86 7 0 59 54 4.30 1.21
2016 10 10 0 0 0 3 4 0 0 .429 219 49.2 51 5 23 0 2 50 0 0 23 23 4.17 1.49
2017 16 16 0 0 0 2 6 0 0 .250 365 85.0 90 13 28 0 6 76 5 2 46 43 4.55 1.39
2018 24 24 0 0 0 8 10 0 0 .444 533 125.1 127 14 40 0 5 129 2 0 60 56 4.02 1.33
2019 15 15 0 0 0 7 7 0 0 .500 335 79.2 73 9 28 0 2 78 2 2 41 38 4.29 1.27
MLB:7年 96 96 0 0 0 28 38 0 0 .424 2219 520.2 516 63 177 3 23 476 19 4 272 255 4.41 1.33
  • 2019年度シーズン終了時

背番号 編集

  • 37 (2012年 - 2013年)
  • 45 (2014年 - 2019年)

脚注 編集

  1. ^ Los Angeles Angels trade Joe Saunders to Arizona Diamondbacks for Dan Haren
  2. ^ D-backs' system loaded with arms
  3. ^ Arizona Diamondbacks' Tyler Skaggs pleased with 1st start in big leagues
  4. ^ Angels acquire LHP Hector Santiago and LHP Tyler Skaggs from Diamondbacks MLB.com
  5. ^ Skaggs slowly steering his way toward 2016
  6. ^ “大谷の同僚、エンゼルスの左腕スカッグスが27歳で急死 2日の試合は中止” (日本語). Full Count. 株式会社Creative2. (2019年7月2日). https://full-count.jp/2019/07/02/post426551/ 2019年7月2日閲覧。 
  7. ^ オールスターで急逝のエ軍・スカッグス投手に黙とう トラウトは背番号「45番」でプレー”. SANSPO.COM(サンスポ) (2019年7月10日). 2019年7月10日閲覧。
  8. ^ “スキャッグスを背に”エンゼルスが本拠地で継投ノーヒッター 大谷翔平は猛攻に繋がる左前打で8戦連続H”. ベースボールチャンネル(BaseBall Channel). 2019年7月13日閲覧。
  9. ^ 大谷感動!エンゼルス、急逝スカッグス氏追悼試合でノーノーリレー”. SANSPO.COM(サンスポ) (2019年7月14日). 2019年7月13日閲覧。
  10. ^ スカッグスへ捧ぐ― ノーノー達成後の追悼シーンに米感動「これこそが野球を特別に」”. THE ANSWER スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト. 2019年7月13日閲覧。
  11. ^ 急逝スカッグスへMLB選手会が約480万円を寄付”. Full-count | フルカウント ―野球・MLBの総合コラムサイト―. 2019年8月5日閲覧。
  12. ^ 急死したエンゼルスの元投手、体内からオピオイドとアルコール(AFP=時事)”. Yahoo!ニュース(2019年8月31日). 2019年8月31日閲覧。
  13. ^ INC, SANKEI DIGITAL (2019年8月31日). “エンゼルス元投手は吐しゃ物で窒息死 医療用麻薬検出”. 産経ニュース. 2019年8月31日閲覧。
  14. ^ 27歳で急死のMLB投手 体内から薬物とアルコール…嘔吐物による窒息死/デイリースポーツ online”. デイリースポーツ online(2019年8月31日). 2019年8月31日閲覧。
  15. ^ スカッグス急死に関与か、エンゼルス元職員が起訴 - MLB : 日刊スポーツ”. nikkansports.com. 2020年10月21日閲覧。
  16. ^ 急死スカッグスに薬物を提供? 起訴された元エンゼルス職員に終身刑の可能性”. Full-Count(フルカウント) ― 野球ニュース・速報・コラム ―. 2020年10月21日閲覧。
  17. ^ “19年スカッグス投手の突然死でエンゼルス元職員が禁固22年、死亡につながる薬物与える”. 日刊スポーツ. (2022年10月12日). https://www.nikkansports.com/m/baseball/mlb/news/202210120000086_m.html 2023年5月8日閲覧。 
  18. ^ Explaining Angels Players Weekend nicknames MLB.com (英語) (2017年8月24日) 2017年8月27日閲覧
  19. ^ Lacques, Gabe; Peter, Josh; Epstein, Jori (2019年7月3日). “100 best friends: Tyler Skaggs touched countless lives with big heart, sense of humor”. USA Today. オリジナルの2020年8月7日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20200807053502/https://www.usatoday.com/story/sports/mlb/2019/07/03/tyler-skaggs-touched-countless-lives/1638997001/ 2021年7月2日閲覧。 

関連項目 編集

外部リンク 編集