44Mタシュ重戦車(44M Tas nehéz harckocsi)は、第二次世界大戦中にハンガリーで開発された戦車である。

44Mタシュ重戦車
性能諸元
全長 9.20 m
車体長 7.10 m
全幅 3.50 m
全高 2.70 m
重量 38 t
懸架方式 リーフスプリング
速度 45 km/h
行動距離 200 km
主砲 43M 75mm戦車砲
副武装 34/40A M 8mm機関銃×2
装甲 20-120 mm
エンジン ヴァイス・マンフレートV-8H×2
264PS×2 (194kW×2)
乗員 5 名
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“タシュ(Tas)”とは、9世紀に現在のブダペストのある地域に移住し、現在に連なるハンガリーの基礎を築いたとされる、マジャル人の7つの有力部族のうちの一つの族長の名である。

開発 編集

1943年春、ブダペシュトのヴァイス・マンフレート社は、ソ連のT-34などに対抗し得る新型戦車の開発をスタートさせた。

新型戦車は長砲身の75mm戦車砲を搭載、避弾経始に優れたデザインを持ち、最大120mmの装甲を溶接で組み上げるというものだった。重量は38トンと見積もられた。これはドイツV号戦車パンターよりも軽量だが、75mm砲搭載の戦車は、ハンガリーでは重戦車に分類された。

エンジンは一時、T-34のV-12エンジンの使用も検討されたが、結局、トゥラーン戦車にも使われたヴァイス・マンフレート製V-8Hエンジンを2基搭載することとなった。走行装置は前方に起動輪、後方に誘導輪を持つオーソドックスなもので、転輪は中径の主転輪が片側6輪、小径の上部支持輪が片側5輪となっている。主砲は試作車では国産の43年型(43M)だったが、量産車ではドイツの7.5 cm KwK 42が搭載される予定だった。車体、砲塔共に傾斜した装甲をもち、防盾は半円形断面のもので、全体のデザインはパンターに酷似したものとなっている。

しかし、1944年7月27日、ヴァイス・マンフレート社は米軍機による爆撃を受け、製作中のタシュ試作車台も破壊されてしまい、計画は放棄された。

派生型 編集

タシュ駆逐戦車
タシュの車体を利用、極力低くした固定戦闘室に、ドイツのティーガーIIと同じ71口径8.8 cm KwK 43を搭載する。計画のみ。

参考資料 編集

  • Bonhard Attila, Sárhidai Gyula, Winkler László: A Magyar Királyi Honvédség Fegyverzete, Zrínyi Katonai Kiadó, Budapest, 1992., ISBN 963 327 182 7
  • Csaba Becze, Magyar Steel, STRATUS, 2006

関連項目 編集