ターフェルシュピッツ

牛肉の部位およびそれを用いたウィーンの伝統的な煮込み料理

ターフェルシュピッツドイツ語: Tafelspitz)は、牛肉を煮込んで作るオーストリア料理、およびその料理に使う牛肉の部位。ウィーンで特に好まれている[1]。ターフェルシュピッツは皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の好物として知られており[2]、当時のウィーン市民も皇帝にあやかって昼食にターフェルシュピッツをよく食べていた[3]

料理 編集

 
各種ソースを添えたターフェルシュピッツ。左下がシュニットラウヒソース、右下がアプフェルクレン

塊状の牛肉を、人参玉ねぎセロリパースニップ長ねぎなどの野菜や、ローリエ粒コショウなどの香辛料とともにブイヨンで長時間煮込んで作られる[4][5][6]

鍋から皿によそい、アプフェルクレン(すりおろしたリンゴホースラディッシュのソース[7])やシュニットラウヒソースドイツ語版チャイブ入りのサワークリーム[8])を添えて供される。

ほかにも、ほうれん草のソースや炒めたじゃがいも等の野菜が添えられることもある[6][7]

ドイツ・バイエルン州のフランケン地方にはクレーンフライシュという類似の肉料理があるが、豚肉が使われる場合がある点、そしてソースがセイヨウワサビ(フランケン方言でクレーン)で味付けされる点が異なる。

部位 編集

 
ターフェルシュピッツの位置

牛肉の部位としてのターフェルシュピッツは、尻と太ももの一番上との間のあたりの肉を指す[7]

日本では、この部位はもも肉の一部の「らんいち」や「イチボ」と呼ばれる[9]。また、アメリカではトップラウンド (top round) 、イギリスではトップサイド (topside) とよばれる部位に相当する[10]

脚注 編集

  1. ^ ウェクスバーグ『オーストリア ハンガリー料理』、p.43,47
  2. ^ マイケル・ブース『ありのままのアンデルセン ヨーロッパ独り旅を追う』晶文社、2017年、476頁。ISBN 978-4-7949-6950-7 
  3. ^ ウェクスバーグ『オーストリア ハンガリー料理』、p.43
  4. ^ ターフェルシュピッツ”. www.austria.info. 2020年1月22日閲覧。
  5. ^ Tafelspitz mit klassischen Beilagen (Classic Tafelspitz - boiled beef)” (英語). VIENNA – Now. Forever. 2020年1月22日閲覧。
  6. ^ a b 鈴木, 幸子 (2019年6月15日). “ウィーンの伝統料理/2019年版 皇帝も愛した国民食ターフェルシュピッツを食べるなら「プラフッタ」へ!”. 海外旅行情報 エイビーロード. 2020年1月22日閲覧。
  7. ^ a b c ウィーン名物料理「ターフェルシュピッツ」”. ウィーンの街を公認ガイドと歩いてみませんか! (2013年9月13日). 2020年1月22日閲覧。
  8. ^ GmbH, GuteKueche Medien. “Einfache Schnittlauchsauce - Rezept” (ドイツ語). www.gutekueche.at. 2020年1月22日閲覧。
  9. ^ 『平成28年度畜産物輸出特別支援事業 海外料理本にみる牛肉部位の利活用状況分析調査報告書』(レポート)、日本畜産物輸出促進協議会、2017年2月、14, 53, 57, 62–64, 66頁。
  10. ^ Tafelspitz - Translation from German into English”. en.pons.com. 2020年1月22日閲覧。

関連項目 編集